第14話 お題13-1 「聞き覚えのある声が聞こえた気がした」からはじまり「その後どうしたかなんて野暮なことは語るまでもないだろう」で終わります。

前回のあらすじ


地球と火星の戦争が始まるのと同時に、太陽系を脱出すべく予想される戦闘空域を避けるように移民船レタッチリは出発するも、アステロイドベルト付近で火星軍特務戦隊に見つかってしまう。


そして、火星軍特務戦隊の攻撃の一部が移住区のす観光ドームに被弾した。






《コージ達側》




 コージ達3人はシェルターに向かい入り口に到着するが「すまない。ここシェルターは一杯になってしまった。他のシェルターに向かってくれ」っと扉を閉められてしまう。




「マジかよ。どうする? 義体パイロット区画に向かうか? 俺もマリーも義体は使ったことはないぞ」




「心配するな。外部コントロールで起動できる。とりあえず向かおう。元々そうする予定だったしな。義体のパイロットは元々少ないから、駆り出されるかもしれないが、そのまま放り出されるよりかはマシだろうよ。肉体的には守られるしな。」




「早く行きましょう。コフィンが空いていればよいのだけれど……」




-義体パイロットルーム-


殺風景な部屋だった。単純に広い空間の中央にぽつりと操作パネルが設置されており、棺桶状態のカプセルは影も形もなかった。




戦闘状態の為部屋は赤い光で染まっていて、無造作にコージは操作パネルに近づくと操作を開始する。


コードを入力し、床から棺桶状のVR-PODが3台せりあがってくる。




「とりあえず、二人はF-5、F-6に入って、仕込み終わったら私も近くに入るから」




複雑な表情をして、マリーとアルフレットは、それぞれのVR-PODに入る。


コージが操作の続きをするとVR-PODは床に沈み込んでいく。


沈み込むのを見守った後、コージはVR-PODに乗り込み準備を開始した。




「VR-POD機動……OK、シンクロチェック……50%……OK スタンバイ……」




コフィンに入り機動準備をしていると、遠くから断続的に爆発音が聞こえ、


時折強い振動が襲ってくる。次第に意識が白く変わっていったのであった。








「コージ……コージ! 大丈夫? 」




どこからか「聞き覚えのある声が聞こえた気がした」目を開けると、目の前に工作用義体が2体いた。


F-5、F-6の義体、スリムな胴体、頭部は一つ目のカメラアイ。


脚部には補助シリンダーが取付られている。




それぞれのボディ部分には数字が書いてあり号機が一目でわかるようになっていた。


汎用型の義体だ。


通常作業をする為に作業用のバックパックに道具のギミックが搭載されている。




自分も同じ形状しているのを確認すると、


「声の聞こえ方は変わらないんだな。不思議な感じだ。大丈夫だよ。お待たせ」


っとコージは答えた。




「とりあえず、これで生身の体は保護されるから、状況確認と救助と修理かな?」


とNo.5のマリーが前向きに言うと




「あぁ……頼むから、船が沈まない事だけを祈る……」


直ぐにでも頭抱えて蹲りそうな弱った声でNo.6のアルフレッドが呟く




「とりあえず、移住区管理部へ連絡してみよう。装備の再確認をしておいて欲しい」


とコージは言った。




--




‐少し前に戻る 火星特務戦隊 旗艦アスティールブリッジ内‐




「艦長目標捕捉しました。」


「義体部隊2-6展開せよ。主砲準備。ブリッジ付近を狙え! 外しても移住区だ。資源量には変わりはない」


「了解です。スタンバイOKです。いつでも行けます」




「5秒後に発射せよ」




「5……4……3……2……1……発射ファイア」




暫くして、移民船の先頭頂上付近で着弾の爆発が起きる




「着弾確認です」




肉食獣の笑みを浮かべて艦長は号令する




「敵砲塔をつぶしつつ接近し制圧せよ」






-火星特務戦隊 第1義体部隊ラブラス隊-


「ちっ、余計な事を……もう少し考えて行動できないかね。我らが艦長殿はヒス女」




「仕方ない。我々は少し大回りして戦闘が本格的になった所で紛れてブリッジ制圧に向かう。艦同士の砲撃に巻き込まれては敵わん」




「途中まで小惑星に取り付いて流れていこう」




ラブラス隊はデブリのように近づいていく小惑星に取り付き様子を見る事にした。




-移住区整備部隊 コージ隊(?)-


「まさかの本当に軍部のお手伝いとは。装備はどうだった?」と呆れた声でコージが言うと




「リベットガンと爆薬(小惑星などでの採掘用)あと、レーザピッケルかな。ワイヤーセットもあった。


ブースターは作業用だから、最低限かな」マリーが正確に報告をあげる




「まさに死地に放り込まれる感じだな。」とアルが弱ったように言う




「取り敢えず、移住区画付近を守備との事だ。義体が落とされても理論上睡眠状態のままで保護はされるから安心しときな」とコージは笑うと装備のチェックを続ける。




しばらくして装備のチェックが終わり仮名コージ隊は、守備範囲自分の持ち場に向かうのだった。




-移民船レタッチリ 艦橋-


「敵艦船発見!」




「これより戦闘を開始する! ミサイル発射準備! 牽制射撃開始、ランダム回避運動も同時に! 」




「義体部隊展開! 駆り出せる部隊全部出せ!」




「ダミーバルーン射出、ゴミをデブリ替わりに射出せよ!」




「くそっ、後少しだと言うのに見つかったか……今回は殲滅戦になると思え!」




-軍用義体室-


軍服を来た兵士たちがVR-PODに流れるように乗り込んでいく。




「どんどん乗り込め! 部隊毎に展開し敵を潰せ!」




乗り込むと同時に射出される義体。レタッチリに乗っている戦闘用義体は紺で統一されており、プレートを着けた重装タイプ、ブースター付きの高機動タイプと汎用型に別れている。




それぞれが訓練で適正毎に振り分けられた兵士である。




「義体は幾らでもある、落とされたら次のVR-PODに乗り込め!」




紺色の機体が移民船周囲に展開されたのだった。




 ̄ ̄


移民船レタッチリと護衛艦5隻よりミサイルが発射される。


火星軍戦艦からも、同じくミサイルが発射される。




中間地点位の位置でミサイルとデブリ、ミサイルとミサイルがぶつかり爆発する。




高機動型義体がデブリと化したミサイルの欠片を回避しつつ接敵する。ライフルを撃ちながら、小型爆弾をばらまいていく。


各所で爆発を起こしながらバラバラになった義体の破片は他を巻き込んで破損させていった。




時折、戦艦と移民船の主砲が放たれる。


互いに艦を掠めて弾が飛び交う。




ーコージ隊ー


「ねぇ、あの小惑星の軌道不自然じゃない?」またもや、マリーが怪しいモノを発見




「OKあれを調査しよう。義体が貼り付いているかもしれない」


「コージが中央で、二人は援護って所かな?」


「Okそれで行こう。万が一落とされたら、VR-PODで接続先変えられるから。巧くやってくれ」




数十分たち、ある程度近付き念のため小型爆弾で軌道を反らすことにする。


爆弾が小惑星に近づいたとき、影から黒い義体が飛び出した。


「敵機発見! ポイント……」と言う報告を残して


あっという間にコージ隊は全滅した。




-少し前、ラブラス隊-


「隊長見つかった。始末しましょう」




「各自散開、敵義体を始末し艦橋に向かう」




「了解!」




爆弾が流れてきたタイミングでラブラス隊はライフルを撃つ。


作業用義体3体は、気づく間もなく胸部を撃ち抜かれ爆散した。




「練度が低い一般作業者か?」


「とりあえずは戦場に出てくるのが悪いんで。艦橋攻めましょう」




そうしてラブラス隊はレタッチリの艦橋に向かった。

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