第1話 お題:「冷たい風が頬を刺す」で始まり「やっと言えた」前編

 冷たい風が頬を突き刺す。いや、冷たい氷剣が頬を貫くような

そんな寒さの中、一人の少年が道を歩いていた。


 彼の名は「リーナシア」

延びすぎた髪は黒髪で後ろで束ねている。

たまに自分で切っているのか髪の先端はバラバラだ。

細身で筋肉質、バックパックに革鎧と

ショートソードを帯剣している。

容姿は可もなく不可もなくと言った所。

十人並みと言えば良いだろうか?


 冒険者になり、やっと初心者を抜け出したものの、

まだまだ経験も少ない為、簡単な仕事しか自信がなく

次の昇級までは時間が掛かりそうである。


 ん?うだうだ話してる私が誰だって?

そんな事はどうでも良いと思うけど、

適当に名乗っておこうか?

変なポーズを決めてシャキーンシャキーンっと

自分で口に出しつつ


『自称:天使のけんじ@治療中で暇人ココダイジです。』


うん、暇人。これが重要。一番大事な所ここテストに出るよ

これなくして私は私じゃない。と私は思う。

出来るだけ暇がつぶれるようにまさに暇潰し面白くいじ…

いや、まぁ、

『どうでも良い』ので話を戻そうじゃないか。


そんなMOBキャラをいや、彼を観察して行こうと思う。


リーナシアとアリア


1.

 今年の冬は、休暇を取る筈だったのだが依頼を失敗し、

違約金とで越冬資金を失った俺は、冒険者ギルドに呼ばれて、

とぼとぼと生活費を稼ぐために定宿の宿『荒くれものどもの巣窟亭』から、都市の中央下部にある冒険者ギルドへと歩いている所だった。


 歩いていると風が出始めて一気に空が曇り、ちらちらと雪が降り始める。

「……雪かよ…… くそ寒ぃ…… 早く帰りてぇ、何よりも天気変わりすぎだろっ」寒さでガクガク震える体を抑えながら、足早にギルドへと向かうが、だんだんと風が強くなり始め吹雪いてくる。

 「何でだよ。さっきまで良い天気だったろうが…

付いてねぇ……何より面倒くせぇ……取り敢えず、帰りてぇが、

呼ばれてるから、とっととギルドに行って暖まらなきゃな……」

 寒さで体が動かなくなってくる。まずい町中で遭難とか笑えねぇ。つか皆に笑われるし、いろんなモノをなくす気がする

たかが数百mの距離が遠く感じる。


 あと、少し…… 50m…… 前が見えなくなる程に吹雪始める。

……30m…… あと10m…… 寒い死ぬ……意識が飛びそうだ……

あと10cm扉を開けるだけだ……指が扉に掛かる瞬間


ドガッと勢い良く扉が開き、衝撃と共に俺の体が中に飛んだ。

「!?ぶべらぁっ! おぇッ!?」

 突然の衝撃と縦に廻る視界。宙を飛んでるような感覚、

飛び散る鼻血が、吹雪の中で舞い踊る美しく飛び散る

そう、俺は流星になったのだ。お星様になったよキラーン

……たぶん。

そして、「メテオメテオストライク!?」ドガッと派手な音を立てて、壁に見事にめり込みながらの顔面からの着地。


 「あっ!? リーナ大丈夫かっ!?」

知ってる誰かの声、小走りに近付いてくる足音。

俺の意識は、そこで消失した。


2.


 何かに追われるような夢……何かのうなり声や、鳴き声が聞こえる

石造りの通路を仲間と逃げている。追い付かれた仲間が激しい一撃を喰らって首が180度無理やり回転する。

 「……!!」名前を読んだ筈が、ヤベェ……仲間の名前出てこねぇ。

つか、頭半分ねぇだろっあれっ!? 冗談じゃねぇぞ。こんなのあり得ねぇ。いや、何よりそんなヤバい仕事を俺が受ける筈ねぇし。

 安全第一、情報収集し石橋を爆破してから渡れがモットーなのだから、恐らくこれは、夢だ、夢なんだ!っと叫ぶ。

そして、次の瞬間にぶん殴られて意識がぶっ飛んだ。


………


 パチパチと薪の焼ける音がする暖かい部屋で、

「!?ぷけらっちょ!?」と妙な叫び声を上げて上体を起こし、そして、ベットから落下した所で、俺は目覚めた。

 「がぁっ!?身体中が痛ぇ。何よりここ何処だ……

つか何で俺はここに居る?」痛みに悶えていると暫くしてコンコンコンと三回ノックの音がし、「リーナ起きてるかい? 入るよ?」

扉が開き見慣れた女性が入ってくる。


 髪は金髪、ショートでスレンダーな体つき、

黙っていれば、美人な方な同郷の腐れ縁の女だ。幼なじみとも言うが、英雄物語や、冒険譚のような、そんな甘い感情は無いと思う残念な事に

 因みに彼女の腕力はトロールも赤子のような感じだ。

前に一度だけトロールの頭を素手で砕いたのを目撃してる。

村の英雄では有るものの流石にあの時は、ちょっと本気で引いた。

細身の体に化け物な腕力。何処にそんな筋力があるんだよ?物語に出てくる勇者か何かか?

 「起きた……ようだね。床が好きなのかい? そんな所で寝ていて体は大丈夫なのかい? と言うか相変わらず、変な趣味でいて縦回転で空を飛んだり大怪我しないのだけは感心するよ」


 「アリアか?何で俺は此処で寝てるんだ?」

俺は、失礼な言葉をスルーし質問で返す。アリアに目を逸らされる。

それを見て、「つか、もしかして…「立て続けに聞かれても困るな。取り敢えず落ち着こうか。茶でもご馳走しようじゃないか。飲みながらゆっくりと話そう。用意している間に服を着ると良い」と被せるように早口で言い飲み物の用意をしに部屋を出て行ってしまった。


 「何もまだ言ってねぇぞ…」


………


 優雅にお茶を飲みながら、アリアはシレっと言う。「……と言う訳で、ファストコロニー近くの冬の洞窟に一緒に行って欲しい訳なんだよ」

流石に意味不明なので苦笑しながら言う

「何が……と言う訳で……何だよ。説明をちゃんとしろよ。」

 悪戯っ子の笑みを浮かべて「うむ、わかった。はっきり言おうじゃないか。最近の異常気象の原因が冬の洞窟にありそうなんだよ。

調査依頼が来たのだけれども、か弱い私には君のGゴk…ゴーレム並みの生命力が必要なんだよ。楯役肉壁が必要なんだ。

端的に言おう。盾になってくれ」

呆れた表情で、「今、ゴキって言おうとしたっ!? 扱いが雑っ! 雑過ぎんだろっ。断る! 何よりも面倒くせぇ」

と返事をすると、「仕事無しで、冬越せるならどうぞ(笑)」

アリアが優しそうな微笑みを背中から立ち登る浮かべながらオーラが見える言った。


こいつがどんな性格かを忘れていた。冷や汗がどっと出てく完全に忘れていた

「申し訳ありませんでしたっ‼️ 働かせてくださいっ!」

見事なまでの五体投地で、俺は叫ぶことになった。


……続けっ‼️

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る