尻からバグアイテムを産みだすと社会的死を迎えることになってしまったVRデスゲーム

宮古遠

尻からバグアイテムを産みだすと社会的死を迎えることになってしまったVRデスゲーム

 

 

 新西暦しんせいれき2094年。ある企業の開発した素晴らしいVRぶいあーるマシンが全世界で気軽に使えるようになり、仮想世界かそうせかいが完全にもう一つの世界として存在するようになった新時代。この物語の主人公―――諸星もろぼしリュウと、幼馴染おさななじみでボディビルダーの卜部うらべミツヨシは、巨大電気きょだいでんきウナギりのクエストへ出かけようとしていた。

 が! 

 そこへ悲劇はおとずれた! 

 突如あたりで異変がこり、モンスターの発生しない安全地帯の街中へ、今までみたこともない奇怪きかいなるモンスターどもが現れたのである! 

 そうしてそのモンスターの一体が、ミツヨシの背後へしのっていた! 

 が!

 リュウはそのことに、まったく気付いていなかったのである!


「あッ!」

「ミツヨシ!?」

 

 そのせいでリュウは、モンスターの、異様いよう筋張すじばった巨大きょだいならせん状の山脈さんみゃくが、ミツヨシのアバター内部にいただきからふもとまでまるごとすっぽりねじ込まれてしまうことを、許してしまった!


「ぐわーッ!」

「ミツヨシーッ!」


 リュウは叫ぶことしかできない! 


「ううーッ!」


 腹が変形するほどの一撃を受けたミツヨシは、そのままずるりと地面へうちてられた! 

 が! 


「う、う………ッ!」

「ミツヨシ!」


 日頃から身体を厳しくきたえていたミツヨシは、小鹿こじかのようになりながらも、どうにかこうにかその場へ、立ち上がったのである! 


「ミツヨシ生きてるか! 大丈夫なのか!」

「ああ、なんとかな………うう」


 しかしミツヨシは虫の息。

 しばらくは動けそうにない。


「待ってろ、いま治療ちりょうをして―――」


 そのときである!

 ミツヨシの内部で、なにやら異様いようこったのは!


「う―――ううッ!?!?」

「ミツヨシ!?」


 なにやらわけわからない、奇怪きかい多量たりょうな、おどろおどろしいみてくれの『バグアイテム』なるものが、ボドボド音を立てながら、次々つぎつぎミツヨシのアバターの尻部分しりぶぶんから、されてゆくではないか!


「うげーッ!」

「ミツヨシ―ッ!」


 群衆ぐんしゅうさけんだ!


「キャー!」

「ワーッ!」


 仮想世界は、大変なさわぎになってしまった!

 そこらじゅうで人々があわてふためき、仮想世界は大パニックにおちいっている!

 しかし事件は、それで終わりではなかった!

 はじまりにぎなかったのである!


 ―――ブウン


「な、なんだ!?!?」


 おどろくままリュウが見たものは―――

 なんとのミツヨシだった! 



「あ、あれは………! 

 ミツヨシの上腕三頭筋じょうわんさんとうきんッ!」



 現実世界で頭にVRぶいあーるヘッドセットを装着そうちゃくしたミツヨシの見事な肉体パーフェクトボディが、なぜかそこら中に、映し出されてしまっている! 

 幼馴染おさななじみのリュウが、それを見間違みまちがえるはずがない!


「う?! ぅうッ!?!?」

「ミツヨシ!?」

「ううーッ!」

「ミツヨシイイイイイイイイーッ!!」


 ありとあらゆる角度から映し出された現実のミツヨシは、ビクビクと身体を痙攣けいれんさせながらうんうんうなつづけ!


「ううーッ!」

「ミツヨシーッ! 駄目だめだ―ッ!」


 そうしてもう!

 アッという間に! 


「うーッ!」

駄目だめだミツヨシ―ッ!」


 現実世界のミツヨシは、仮想現実のアバターミツヨシと同じように!

 ―――美少女ロリケモ貧乳びしょうじょロリケモひんにゅうミツヨシと同じように!


「ううーッ!」

もどせ―ッ!」


 無数のえげつないシロモノを、自身の自慢じまん筋肉尻岩のようなものから、まるで火山が噴火ふんかでもしたかのようにして、多量の、えげつないバグアイテムを、次々とおみまいしていったのである!


「はあああああああああああああんッ!!」


 おみまいしていったのであるッ!!


「ミツヨシうわーッ! うわああああああああああーッ!!!!」


 群衆も叫んだ!


「きゃーッ!」

「うわーッ!」


 そうしてあわれミツヨシは、全世界の人々が見守る中、仁王立におうだちのままにほつものをおみまいし、まったく動かなくなってしまった………!


「ああーミツヨシああー! ああーッ!」


 リュウはなげいた!

 なげいたって、意味いみがないのに!


「うッ、う、ぅうッ、うッ………」


 ひくつくまま、社会的死しゃかいてきしむかえたミツヨシ!

 しかし―――

 しかしそれで、ミツヨシの死は終わりではなかった!

 まだまだミツヨシは、死んでゆかねばならなかったのである!



 ―――ピピ、ピーピーピーピー

 ―――ピガー

 ―――ピロピロピロピロピロピロピロ

 ―――キュイイイイイイイイイーン!



「な、なんだ………」


 そうして辺り一面に映し出されていったのは―――


「あ………ああ! ああーッ!」


 ミツヨシの性癖せいへき

 その、すべてだった―――


「ああーッ! ああーッ!」


 叫ぶリュウの目の前で、今度は、一体どこから入手したというのか、ミツヨシのいろいろの、ちょっと人様にはどうしたってみせるもんではない、尋常じんじょうではないほどにずかしい色々のシロモノおよび個人情報こじんじょうほうが、次々と湯水ゆみずのように、全世界へ向けて発信されてゆく!


「やめろーッ!」


 検索サイトでのニッチなエッチ文言もんごん、ハードディスク内に保存されたミツヨシじるし厳選げんせんされたエロ画像。エロ動画。エロ購入物その他諸々もろもろすべてのミツヨシの性癖せいへきが! 

 白日はくじつのもとへと、さらされきってしまったのである!


「あ、ああ………ああああああああああああーッ!」


 リュウは叫んだ!

 ミツヨシのへきを守ろうと、叫べぬミツヨシの代わりに、リュウは精いっぱい叫び続けた!


「うわああああああああああーッ!」


 けれどいくら叫んだって、さらしが終わることがなかった!

 ―――そうして。

 そうしておのれの全てをさらされきったミツヨシは―――。


「あ、あ。………あぁ―――………」


 言葉なくバグアイテムの草原くさはらへ、ドサリと倒れ込んでしまった………!


「ミツヨシッしっかりしろ! ミツヨシ!」


 リュウはミツヨシにり、その身体からだを優しく抱きかかえた。しかしもう、ミツヨシは動かない。

 あの、そこはかとないパワーを感じるサイド・トライセップスからの微笑み———

 その微笑みをもう、リュウは二度とみることができないのだ………。


「ミツヨシ………ミツヨシィッ! うう! ううーッ」


 ミツヨシの身体がみょうに軽い。

 ミツヨシのガワ。

 美少女ロリケモ貧乳アバターだけを抱えている所為せいであるはずなのに。

 リュウにはそれがどうにも、ミツヨシが本当に死んでしまったように、感じられてならなかった………!


「ちくしょう………ちくしょう! いったいなんのうらみがあって、こんな、こんなぁッ! ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお―――ッ!」


 そのときである!


『―――おろかなる人間にんげんどもよ』

「ハッ!」


 混乱するリュウたち群衆の頭上ずじょうに、なにやら形のよくわからない、しかしなにやら黒光くろびかりしたなにかモヤモヤしたものと棒状ぼうじょうのものがセットになって現れて、雷鳴らいめいの中、グバオとがなってこうった!



『我が名はナンバーツー糞なるもの。この世界に必要とされることのなかった、あわれなるデータの集合体しゅうごうたい―――おろかなる人間どもよ。貴様らに、人類最後じんるいさいご七日間なのかかんあたえうるときがきた。………戦え! そして我に、おまえたち人間が本当に必要にる存在か、証明してみせよ………!』



 それが後に云う、世にも恐ろしいVRデスゲームの始まりだった………!

 七日間―――

 タイムリミットが来るまでに、たして人類は、恐るべき存在『ナンバーツー糞なるもの』を、倒すことができるのだろうか!? 

 もし倒せなければ全世界に、全国民の個人情報とへきさらされ!

 そこへ追い討ちと云わんばかりに、核爆弾アトミックボムが落とされる!


 社会的に死に! 

 物理的に死ぬ!

 逃れるすべはない!


「俺がテメエをぶっつぶす! 首を洗って待っていやがれこん畜生ッ!」


『かかってくるがいい! そしておのれ存在価値そんざいかちを、私に証明してみせろ。ふふ、ふはははは、あはははははははははははは………!』


「くそおおおおおおーッ! くそおおおおおおおおーッ!」


 リュウは動かなくなったミツヨシを抱え叫んだ!

 ミツヨシの仇討かたきうちちのため!

 パソコン内部に納められた、おのれひそかな性癖せいへきを、全世界へとさらされぬため!


「うお――—ッ!!」


 ふた〇り魔乳筋肉質サメ娘お姉さんアバターふた〇りまにゅうきんにくしつサメむすめおねえさんアバターのリュウは、天へむかってえるのだった!



 果たしてリュウは、この戦いに、勝つことができるのか!

 最後に笑うのは人か!

 それとも、自我を持ったデータか!

 人類の未来は、仮想空間へ閉じ込められた、彼らの行動次第である………!






    TO BE 

    CONTINUED………? 

 

 

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