第34話
「私はいつも神野くんといつも一緒に寝ているのよ?これ以上の証拠がある?」
野次馬たちが全員黙り込んだ。
俺もこればかりは膝から崩れ落ちた。
終わった。俺の学生生活...。
一方山上はというと
「わ、私だって先輩と寝たことくらいありますよ!小牧先輩だっていたでしょう!?」
「あなたは一回きりじゃない?私は毎日寝てるのよ?わかる?」
周りからは俺への痛い視線が送られてくる。
ち、違うんだ!冤罪だ!
と思っている間にも小牧と山上の言い争いはヒートアップしていき、登校時間ギリギリまで続いた。
ちなみに俺の学校での知名度が上がった。
もちろん悪い意味で...。
***
放課後。周りからの痛い視線を無視しながら、俺は職員室へとやってきた。
「失礼しまーす…」
ドアを軽くノックし、開け、職員室の中を見渡す。
「おー!きたか、こっちだ、こっち」
俺を呼び出した先生。神坂 凜は、自分の机からひょこっと顔を出して手招きした。
「なんか用ですか? 停学中の宿題なら完璧にこなしたと思うんですけど…? 」
俺がそういうと、神坂先生はぴくりと眉を動かした。
「完璧にこなした? 完璧にこなしたと…? 」
だが神坂先生は怒りをこらえるかのように拳を握りしめて肩を震わした。
「はぁ、何か不備でもあったんですか? 」
俺は至って冷静に返した。
間違いない。俺はしっかりと停学中の課題をこなしたはずだ。
小牧がとなりにいたので間違いない。
「もう一度だけ聞こう神野。お前は停学中の課題を完璧に終わらせて不備なく全てを提出した、それでいいか…? 」
「はい。しっかりこなしたと思いますよ? 何か間違ってます? 」
「間違ってるわこのクソガキー!!! 」
俺が問い返した瞬間、神坂先生がキレた。
え? どうした? 何? 怖い怖い! やめて! 肩掴んで揺するのやめて!!
「落ち着いてください! よく考えて下さい! 俺は状況を把握していない! そして先生は何が間違っているのかを提示してない! これじゃ俺が理不尽に怒られているようにしか見えないですよ!! 」
しばらく揺すられながら神坂先生を落ち着かせる。
程なくして神坂先生は冷静さを取り戻したのか椅子に座りなおした。
「そうだな、神野が何が間違っているのかをわからないというのなら教えてやるのが教師だな…」
どうやらわかってくれたようだ。
俺は神坂先生の機嫌を損ねないように優しく尋ねる。ボクシンシ! ジョセイニヤサシク!
「それで? 僕の宿題のどこに不備があったんですか? 」
そう聞くと再び怒りがこみ上げてきたの神坂先生は拳を握りしめた。
「一応聞こう。神野、この反省文はなんだ? 」
先生はそう言って一枚の作文用紙を掲げた。
『反省文 神野柊
ムシャクシャしてやった。今は反省している。』
それだけ枠を無視して大きく書かれている文章。
「なんだって、そりゃ反省文ですよ?
それで? どこに不備があるんです? 」
俺は聞き返した。
すると次の瞬間。
ドンッ!
という音が響いた。
神坂先生が思い切り机を拳で叩いたのだ。
こ、こぇぇ…。
「い、いや、別に文を書くのがめんどくさくなってデカデカと書いたわけじゃないでしゅよ? ただいかに簡潔に僕が反省しているかを伝えようかと…」
「言い訳はいい! 」
ドンッ!
神坂先生はもう一度机を拳で叩いた。
「ひぃっ!! 」
俺は額に青筋を浮かべて肩を震わせる神坂先生を見た。怖すぎる…!
神坂先生は程なくして椅子から立ち上がった。
そして俺の肩に手を置き、耳元まで顔を近づけてくる。
こ、殺される…!
「今週中までに書き直してこい、いいな? 」
「は、はい!! 」
俺は今年で1番大きな声を出して返事を返した。
俺のことが好きらしい彼女に無理やり入部させられた話 破魔 由弦 @majin0519
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