第6話
「ふふ、おはよう。神野くん」
「な、なななな!? 」
俺は目の前の可愛いパジャマを着た少女を前にして狼狽した。
それはそうだ。朝起きてとなりに校内1のスーパー美少女が寝てたら誰だってこうなるもんだ。
「おま!? なにして、は!? 」
混乱が治らずに俺は慌てふためく。
「はあ、落ち着きなさい」
ため息を吐いた小牧は俺を優しく胸元に抱き寄せてきた。
「!? 」
俺は更に動揺する。まじで何したんだこいつ。
あ、今まで目では感じられなかった柔らかな感触が! やばい!
「今失礼なことを考えたでしょう? 」
「い、いや、別に」
俺は動揺が治まってきたので小牧から離れた。
「あ、」
小牧は少し残念そうな顔をしてから頰を膨らませた。
「で? 何でお前ここにいるんだ? 」
「部屋に入って起こしに来てあげたのに、ちっとも起きないどころか布団の中に入ったら抱き寄せてきたのよ? あなたが」
うん。倒置法で俺が悪いみたいにいうのはやめていただきたい。
「俺が聞きたいのはそこじゃなくて、何でお前がこの部屋に入ってこれたかだよ!? 」
「ああ、そんなこと。そこから入ったわ」
小牧が指差す方向には俺の部屋のベランダ。まさかこいつ俺の家を特定してロープかなんかを使って下から家に入ってきたってか?
「よく下から登ってきたな」
「下? 普通に飛び越えてきたのだけれど? 」
「飛び越えてきただぁ? 」
どこから飛び越えてきたんだこいつは? 忍者か? 忍者なの? 屋根から降りてきたの?
「ああ、いってなかったかしら、私、隣に住んでいる小牧と申します」
「はぁぁぁぁぁ!? 」
俺の絶叫が朝の住宅街に響いた。
***
「で? お前は部屋に入ってきたわけか」
「ええ、そうよ」
俺たち2人がいるのは一階のリビング。小牧は隣に住んでいるようで、あの部屋も小牧の部屋のようだ。
なるほど、だから俺のこと知ってて行動もだいたい把握されてたのね。
で、朝起きて驚かせてあげようとベランダを伝って部屋に入ってきたはいいものの起きないから誘惑に負けて添い寝しようとしたら俺自らが抱き寄せてきたというわけらしい。
「事情はわかった。つまりお前は痴女ってことか」
「何をいっているのかしら? 人を痴女呼ばわりするのはやめてくれないかしら私の体を散々弄り回したのに」
「俺そんなことしたの!? 」
「ふふ、嘘よ」
冗談を言いながら小牧は上品に笑った。いや、その笑いかた普通に可愛くて困るからやめてほしい。
「それじゃあ朝ごはんにしましょうか」
「いや、ちょっと待て。何さらっと俺の家で飯食おうとしたんだよ」
「別にいいじゃない。ご飯くらい。それとも何? 私と一緒に食べれない理由でもあるのかしら? 」
「いや、別にないが...」
俺は呆れながらもキッチンに向かった。
「あら? 料理できるの? 」
「当たり前だ。一人暮らしの必須スキルだぞ」
料理は両親に一番最初に覚えさせられた。
俺も結構料理の腕には自信がある。
「私が作ってあげようと思ったのだけれど、まあいいわ。私は一度家に戻って着替えてくるわね」
「へいへい」
小牧は当然のように階段を登って俺の部屋から自分の部屋に戻っていった。
はあ、もういいんですけどね?
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