第7話
刺激的な朝に取って代わり、普通に朝飯を食い終わった俺たちは着替えを済ませて通学路を歩いた。
「で? 何でお前も一緒についてくるわけ? 」
当たり前のように俺の隣を歩く小牧を見て、俺は困惑した。
「あら、私と一緒に登校できるのだからもっと感謝をすべきじゃないかしら? ああ、あなたは他の人と一緒に登校する方が稀だものね。ごめんなさい。気づいてあげられなくて」
「その優しさが一番の毒だわ! もうちょっと言葉を選ぼうぜ? 」
「ふん。神野くんなんてこれで十分よ。これからしっかり色々しつ…教えてあげるからね」
「おい、今躾っていいかけたろ」
「いってないわ」
という具合に話しながら登校している。このわずか2日でわかったことだが、こいつは紛れも無いSだ。
完全に俺をいじめて楽しんでる。
でもだからこそか、デレた時のギャップがやばい。それのせいなのか、あまり普段の罵倒も苦に感じない。やばい。俺さりげなく躾けられてるかもしれん。
「なあ、流石に学校近くなったら離れないか? 他の人たちがいたら恥ずかしいし」
「何をいってるのかしら? 私との噂が広まるのがそんなに嫌? それとも誰か知られたくない相手でもいるの? 」
「いや、そういうことじゃなくてだな…」
俺はどうしたものかと言葉を止めてしまった。
いや、噂をされると嫌、というより面倒くさい。というのが大きい。
あいつらリア充というのは噂の伝達が空気レベルに早い。そして奴らはそういった噂にえらく敏感である。もし知ったら直接聞いてくるやつはいなくとも、色々と面倒なことになりそうだ。
「まあ言いたいことはわかるわよ、要するに噂が広まるのが嫌なのではなくて噂によって過剰に反応する輩たちが面倒なのでしょう? 」
流石小牧。よくわかっている。
「ああ、そうだ」
「でもそれならなおさらわからないのよ」
「何がだ? 」
俺は首を傾げた。今の流れで理解したと思ったのだが、まだ理解してないらしい。
「別にその噂を鵜呑みにした輩が絡んできても、付き合ってるとでも言えばいいじゃない。どうせ近いうちに結婚するのだから」
「しねぇよ! いつ俺がお前と婚約した!? お前頭の中お花畑か!? 」
「あら、でも神野くんはいずれ私を好きになるわ。断言してあげる。それで自分の手足の先まで全てを捧げて私に絶対服従すると私に懇願してくるの…ふふふ」
と言い小牧は頰を赤らめた。
「仮に好きになったとしても流石にそこまではしないから! 服従した俺に何する気だよ! 」
「そうね、まず服を…」
「ごめんやっぱ言わなくていい」
これ以上聞くとこの場にお書きできないようなコンプラ発言が飛び出そうだったので、俺は小牧を黙らせた。
「まあ、兎にも角にもだ、少なくとも今は付き合っていないし婚約なんて今はもっとありえないから今日はここから別登校って事で」
俺は逃げるように学校の正門ではなく裏口を目指した。
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