第6話主不在の館
空腹を満たすために、第一ホールで食事を取ることにした。
ナンバーも誘いたかったが、なぜか見当たらない。
「どこにいったんだろ。」
「あんなヤツ、気にすることないぞよ。.....ムシャムシャムシャ。それにしても、おいしいぞよ。特にこの肉!beautiful tasteぞよ~。この料理を作ったシェフはどこにいるぞよか?お礼が言いたいぞよねぇ。」
いつの間にかメグは、わら人形の姿に戻っていた。
肉の塊をわら人形が頬張る――異様な光景だ。
「ナンバーが作ってくれたんだよ。意外に料理が上手なんだ。」
「あの男が作った!?まじぞよか......や、やっぱりおいしくないぞよ。」
そう言うと食べる手を止めてしまった。
よほどナンバーのことが嫌いらしい。
「じゃあ、その肉はいらないんだね?勿体ないし、わたしが食べてあげる。」
メグが食べていた牛肉を、フォークで取ろうとする。
「だ、大丈夫。自分で食べるぞよ。ルルロアに、無理をさせる訳にはいかないぞよからな。」
そう言うと一気に平らげてしまった。
もらえると思ったんだけどなぁ。残念。
「なんでそんなに、ナンバーの事を嫌っているの?」
「まずあいつは傲慢ぞよ。それにわらわを雑に扱うぞよね。それは許されないことぞよよ。」
そうかな?
わたしと同じような扱われ方だと思うんだけどな。
「多分、悪気はないんだと思うよ。たぶん.....だけどね。」
「悪気がない?ありえないぞよね。絶対あの男は、人の悪感情を楽しむ変態ぞよよ!」
「変態じゃないと思うよ。わたしの裸を見ても、なんとも思ってなかったみたいだし。わたしの魅力のなさのせいかもしれないけれど.....。」
「なにを言っているぞよか!?ルルロアは十分魅力的ぞよ!わらわが♂だったら飛びつくぐらいぞよ。保証する。.....それにあの男がなんとも思わなかったのは、ヤツの持つ変態性が特殊すぎるのが原因ぞよ。普通の男としての変態性とは、あまりにもかけ離れているぞよね。考えただけでも寒気がする。」
まあ魔術を使える人は、ほとんどが変な人だって聞いたことはあるけれど.....。
「そんなことないよ。メグは偏見持ちすぎじゃないかな。」
「.......相当あの男のことを信用しているぞよね。だけどそれは止めた方がいいぞよ。
アイツは危険ぞよからね。」
「まあ危なそうな人ではあるけど。」
「ルルロアが思っているよりも、あいつはヤバいヤツぞよ。あまりにも呪われすぎているぞよね。人殺しを生業としている以上、多少の呪いを受けているのは仕方がないことなのぞよが...。それにしてもだぞよ!あの呪いの量は規格外ぞよよ。何をどうすればあそこまでの憎悪を集められるのか、皆目見当がつかないぞよね。」
ドンッ!
いきなり爆発音が響いてきた。
「いったい何の音ぞよか!?」
ドンッ!
また聞こえた。
外の方から聞こえてくる。
「確かめに行こう。メグ。」
「ナンバーの不在を狙った敵ぞよかもな。」
窓からをのぞいてみると、白髪の老人が立っているのが目に映った。
なぜかその老人の周りから、断続的に小規模な爆発が起こっている。
「どうする?家に入れてあげる?寒そうだし。」
「絶対やばいぞよよ。あんな爆弾魔入れたらやばいぞよよ。この屋敷が崩壊するぞよね。それにただの老人が、吹雪の中を抜けてここまで来られるはずがないぞよ。」
う~ん。でもなんか優しそうな顔をしてるしなぁ。
入れてあげても大丈夫だと思うんだけどな。
「かわいそうだから、入れてあげようよ。それにもし敵だったとしても、メグならなんとかできるでしょ?」
「そ、それはそうなのぞよが....。」
「頼りにしてるよ。メグ。」
こうして爆発老人を家に招き入れることにした。
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