第6話 初異世界転生!

……

………

…………~ん。


何だかよく分からんが頭がフラフラする。

あー変な夢見ちゃったよ。

この年であんな厨二病真っ只中な夢見ちゃうなんて恥ずかちー///

神様とかプークスクスだろ。


…ザッ……


低血圧で朝起きるのがほんと苦手なんよね。

ボーッとする頭を抱えながら周りに目をやると木がたくさん生えている?

俺の部屋はこんなボタニカル満載の部屋じゃないぞ???

とりあえず暗いからまだ夜っぽいということが分かるが…???


「何だこれ???」


頭が混乱しているようなので深呼吸をして落ち着くことにする。

落ち着くために素数を数えるなんてことはしない。

パニックになると子供の頃から股間がむず痒くなる癖があるので股間に手が伸びる。


……ザザッ……


「は?………んん?」


少し落ち着いてきたので独りごちる。

これ以上パニックにならないように股間に置いた手は忙しげにモゾモゾとしている。

今の状況を少しずつ思い出してきた。


銀行の帰りに事故に遭って……神様とかいう頭のおかしい人が現れて………話の途中でいきなりブラックアウトって夢だったわ。


え…あれ……夢じゃなかったん?

いや待てよ、俺が寝ている間に奥さんが観葉植物置きまくったとか?

んなわけないよなー。


おいおいおーい!モ○イで買ったクイーンサイズのベッドじゃなくて雑草じゃねーかこれ!

ちょっと湿ってて気持ち悪いんですけどぉ!

何なんこれー!?


…ザッ…


とりあえず落ち着け俺っ!

パニクっても悪い方に転がるだけだ!

あかーん、ワケわからなすぎて考えがまとまらん。

神様助けてちょんまげ。

泣きべそをかきながら神様に祈った。


とりあえず暗くて知らない所を動き回るのは怖いので体育座りをしながらひたすらじっとしていた。

冷や汗と震えでなかなか落ち着かない。

もちろん頭の中では小さな俺達が現状を打破しようと絶賛会議中だ!


…ザザザッ……

………

どれくらい時間が経ったのかすら分からない。


さっきから時折聞こえる雑音がうっとおしくて仕方ない。

耳掻きでずっとガリガリされてる気分で大変気色が悪い。


「はぁ~…帰りたい……。」


少しずつ夢の内容を思い出してきた。

正直もう少し説明が欲しかったが今さらだ。

どうしようかこれから…トホホ。

いきなり異世界転生!とか勘弁してくれよ。


そーいや神様通信とかどうとかって言ってたよな。

もしかして神様がこの世界をナビしてくれるんじゃなかろーか?

それにしてはちょっと連絡遅くないか?

もう何時間経ってんだよ!

連絡もなしに普通の人がどこかも分からない所に放り出されてどないせーっちゅーねんという話だ。

さいとうた○をのサバイバルを昔に読んだことがあるというぐらいにしかサバイバル知識なんてないからね。


『……ザッ………ザザザッ……ロー!ハロー!聞こえてるかしら?』


神様キマシタワーーー!


「うぉぉぉーん!神様ー!会いたかったーん!」

いや、もうね、この時ばかりは神様に掘られてもいいと思ったね。


『ま!何なに!?私の時代キタコレ!』


神様の楽しげな声を聞いたとたん力が抜けて倒れそうになった。


「もう!何なんですかここ!

全く状況が理解できませんよ!

説明キボンヌ!」


早口で捲し立てた俺に神様は楽しげに話しかけてきた。


『まぁ落ち着きなさいって。

はい、深呼吸、深呼吸。』


一○さんじゃないんだから!

あわてないあわてない、一休み一休み、じゃねーよ!

人の気も知らないでのんきなもんだ、まったく。


『時間ないし簡単に説明するから落ち着いてちゃんと聞きなさいよ。

じゃないと後で後悔するわよ!』


神様通信って無制限のギガ使い放題じゃねーのかよ!


「で、この状況はいったいどういうことでしょうか?」


若干イラッとしながらも一応真面目に聞いておこう、後で後悔するのもイヤだし。


『とりあえず私の友人の世界への転生は上手くいったわ。

…少し失敗しかけたけどゴニョゴニョ…。

それは置いといて、ここで活動しやすいように20才の身体に戻しておいたから。』


おい、失敗しかけたとかどういうことだ?


『仕方ないじゃない。

私の管理下の世界じゃないんだからあんまり好き放題できないんだし。

まぁまぁそれはそれとして身体の具合はどう?

調子良くなったんじゃない?』


重要事項をサラッと流されてしまった。

鏡もない上にこう薄暗いと自分の身体がどうなってるのか全く分からない。

立て膝をついてみると確かに右膝の痛みはなくなっている。

肩も軽いし、晩酌で蓄えたお腹の浮き輪もへっこんでいる。

どうも自分の姿を見てみないことにはにわかには信用し難いが。


「神様なんだから姿見とかライトとか出せないんですか?

こう薄暗いと自分の姿も確認できませんよ。」


『う~ん、さっきから出そうとしてるんだけどどうも私はそっちの世界に干渉できないみたいなのよね。

まぁそんなもんよね、私が作った世界じゃないんだし、ゴメーンね。

友人からもそれはダメーって言われちゃったし。

とにかく私を信用しなさいって。』


さっき失敗がどうとか言ってた人?がどの口で。


…あれ?どういうこと?

VIP待遇でお出迎えじゃないの?


『というわけで俗に言うチート、俺Tueee的な能力とかは無いから頑張ってここでの人生を楽しんでね☆』


……

………はぁ?

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