第3話 いともたやすく行われるえげつない行為

「驚くところそこじゃなくない?」


首をコテンッと傾けたKAMISAMAさんはとても可愛くなかった。

ってかKAMISAMAさんってどんな漢字なんだ?

「笠間」「加美佐間」「守佐摩」う~ん、分からん。


「いや、手品でしょ?まさかディルドを出してくる手品師さんってのは初めてお会いしましたけど。」


他に驚くところといったらペカーッと光ってた渦かな???

最近の手品ってそんな演出もするのね、テレビで見るのとはちょっと違ったけど実際ビックリしたかな。


「いや、だからKAMISAMAって言ってるでしょ!!証拠に天変地異でも起こしてほしいの!?この辺一帯灰に変えてやろうかしら」


いよいよ頭のおかしいことを言い出したのでこいつぁぶっ飛んでやがる。

刺激しないように話さないとヤベー奴だわこいつ。


「すみません、いきなりのことで気が動転しておりました。大人しくKAMISAMAさんのお話を聞きますのでこの状態何とかしてもらえませんか?」


とりあえず下手下手に出る俺。

体がさっきからずっと痺れっぱなしで気色が悪い。

何故かはだけた乳首だけが感覚があるのが余計に気持ち悪い。


「あらっ!!ごめんあさせーせ。すっかり忘れてたわ、ホイッとな。」


KAMISAMAさんがディルドの先でクルッと丸を描いた。


「うわわっ!?」


今までピクリとも動かなかった体が急に動くようになったので膝から崩れ落ちた。

何なのこの手品、いや催眠ってやつか?


「ほんとビックリの連続ですよ。手品師で催眠術師で。ディルドを持ち歩いて町中で堂々と出すなんて。ビックリの玉袋みたいな方ですねKAMISAMAさんって。」


「あたしの玉袋にはビックリがパンパンに詰まってるわよ。」


ショートパンツを引っ張りあげる格好でウィンクしやがる。

だから可愛くないんだってば、ちくしょー。


「ところでお話って何でしょうか?いや、それよりもKAMISAMAさんってどんな漢字を書くんですか?さっきから気になって気になって。」


「あぁぁぁっ!!さっきから何か話が噛み合わないと思ってたらあんた私のことKAMISAMAって名字の手品師だと思ってたのね納得したわ~。さっきからKAMISAMA だって言ってるのにアクセントがワンサマーみたいのなってるもんね。スッキリしたわ~。」


KAMISAMAさんはしゃがみこむとアスファルトに何やら書き出した。


ブチュッブチュチュッブブブチュブリッボパッ


だから何で色のついたローションで描いてんだよ!!

公共の道路に何つーもん巻き散らかしてんだよ!!

ズルズルで車が滑っちゃうじゃねーか!!

こいつマジもんのヤベー奴だ!!

あぁー早くこの場から去りたい。


KAMISAMAさんは一仕事終えた後の大工の親方みたいに汗を拭いてめちゃくちゃ良い笑顔で親指クイッ。

そこに描いてあった漢字は………。


『神様』


「へ~『神様』って書くんですね。何とも神々しい名字ですね。」


珍しい漢字の名字もあるもんだと思ったが、まぁ世の中もっと珍しい名字もあるからふぅんってぐらいにしか思わなかった。


神様さんは不思議なものを見る顔で

「え?いや、まだ分からないの?神様は名字じゃないわよ!!私はGODよ!!G・O・D!!まぁ私はGODESSかもしれないけど///」


そんなデケーもんぶら下げて頬染めてんじゃないよ、気色悪い。


はぁ?神様?GOD?GODESS?

いや、意味は分かるけど自分で自分のことを神様だとか言っちゃうとかやっぱりこいつ頭のおかしい人だわ。

早く帰りたい。


「誤解がとけたところで私の話をば」


何の誤解がとけたのか全く分からないが神様は勝手に話を始めだした。

もう、この人を神様仏様ってことにしておこう。

これ以上刺激したら何されるかわかったもんじゃない。

とりあえず話だけ聞いてさっさと帰ろう。


「さてさて、ようやく私の自己紹介から、初めまして私の可愛いBABYちゃん!私は神様よ。そしてここは私が時間を停止した世界なの。オーケー?」


とりあえずここは相手に合わせておこう。

くわばらくわばら。


「なるほどオーケーです。さきほどは助けて頂いてありがとうございます。自己紹介が遅くなり申し訳ございません。~~~~と申します。漢字はこうです。」


石でガリガリとアスファルトに俺の名前を漢字で書いた。


「さっきも言ったけど今この世界は時間が止まってるの。正確には私が止めてるんだけどね。ついでにこの辺一帯の人には私とBABYちゃんとのHOT TIMEの邪魔になるので少しの間消えてもらってます。」


そういえば事故からそれなりの時間が経っているはずなのだが先程から俺達の周りでは何の音もしない。それどころか人もいない、横断歩道の向こうに犬を散歩させていたおじさんがいたはずなのだがおじさんも犬もいない。どこを見ても誰もいない。


そのことに気づいた瞬間ゾッとした。

何が起きている?目の前にいる神様は一体何者なんだ?こいつは一体さっきから何を言ってるんだ?変態手品師じゃないのか?ゲロ臭かった服や口もいつの間にか元通りになっている。訳が分からん、勘弁してくれ、マジで。


「やっと状況が把握でき始めたみたいね。

もっと手際よく話を進めたかったんだけど仕方ないわ。

よろしい、ではもう一度!

私は全知全能を司る神様ですわよ。

よろしくね、BABYちゃん!!」


そう言うと神様は空中に浮かび上がった。

そして手をなにげに横に振った。

一瞬だった、映画の中でしか見たことがないような光景があっけにとられた俺の目の前で行われたんだ。


神様の前から辺り一帯が消し飛んで本当に何にもなくなった。

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