(流々(るる)様の作品)『真実の境界線』vs『🈟おじタン、ほぼムス。』

   

【本格推理小説】

『真実の境界線』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891239021



【なんちゃってミステリ】

『🈟おじタン、ほぼムス。』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890379669



【本格推理小説とは、かくあるべき】

「読者への挑戦」が出来るほど、フェアな状態で謎解きが示されるのが本格推理小説だと思っています。その点では、参加作である『真実の境界線』はアンフェアな面があるので、本格と名乗ることはおこがましいかもしれません。

また、本格の魅力として「探偵が探偵であること」も挙げられます。単なる解説者にならず、ストーリーとして魅力あるものが理想です。


『真実の境界線』では、ミステリーをあまり読まないという方にミステリーの魅力を知ってもらいたい、その思いで書いた作品です。

上記の条件のうち後者に重きを置き、あえて短編でまとめることで「読みやすさ」を意識しました。




【私からの一言】

 まずは、『真実の境界線』。作品紹介(あらすじ)に「ミステリーの魅力をギュッと詰め込んだこの短編を贈ります」と書かれていましたが、読み始めすぐに「なるほど」と思いました。まさにそれっぽい要素満載ですね。しかもこの作品、わずか7,000文字の短編なのだから凄い! この短さで、よくこれだけ書けるものだ、と唸らされます。

 作者様は「参加作である『真実の境界線』はアンフェアな面があるので、本格と名乗ることはおこがましいかもしれません」と言っておられますが、そんなことはありません。きちんとした本格ミステリでした。

 しかし個人的には、だからこそ短編ではなく、それなりの長さで読みたかった、と少し残念にも思いました(事件の内容的には、長編というより中編でしょうか)。

 一般的に中篇や長篇の推理小説では、WEB小説としてはスローテンポになるような一見地味な展開や記述が出てくる場合もあると思いますが、それも推理小説においては、それぞれのパズルのピースが読者の頭に定着する時間を与える、という意味で必要なのではないか、と考えさせられました。


 続いて『🈟おじタン、ほぼムス。』は、プロローグを読み終わった段階で、改めて作品情報を確認。キーワードに「朝読小説賞」「児童も読めるミステリー」とあるのを見て、なるほど、と感じました。

 八つの物語からなる連作短編集です。一つ目の話を読んでいる途中で頭に浮かんだのは、江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズとアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズでしたが、あくまでも私個人の印象。

 というより、各作品ごとに結構がらりと作風が違うので、二つ目の時点で「最初の印象は間違っていた」と思いました。

 バラエティに富んだ短編集なので、人によって「どれが面白い」は異なるでしょうね。私が面白かった順に並べると、一作目「謎の男」、三作目「消えて現れた自転車」、六作目「凶器はどこへ」、五作目「サンタを捕まえろ」、四作目「超能力者イナモト」、八作目「スコット先生の宿題」、七作目「バレンタインチョコ事件」、二作目「トリック・オア・トリート」という感じでした。

   

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