第16話
それから魔物たちは一瞬で討伐された。
一度馬車を停め、怪我人の確認をしていく。
私とルフェルも騎士たちの様子を見るために歩いていく。
「す、すごかったなさっきの支援魔法!」
「あ、ああ……あんなに体が軽くなったの初めてだぞ!?」
「ああ! 魔物が一撃で倒せちまったよ! 今はむしろ、体が重たいぜ……」
さっきの私の支援魔法がうまく作用したようで良かった。
ルフェルが私の方を見て、微笑んだ。
「キミの魔法、凄まじい効果だったね。……ありがとう、騎士たちが怪我人だけで済んだのはキミのおかげだよ」
「……いえ、そんなことはありませんよ。私が、というよりもフェンリルが凄いんですよ」
中型犬程度のサイズになってついてきていたフェンリルが胸を張る。
ルフェルがその頭を軽くなでると、心地よさそうに目を細めていた。
「そうだね。フェンリルもありがとう」
「うん、どういたしまして。でも、僕はあくまでアルフェアの魔法を補助しているだけだよ。アルフェアの魔法の構築がとても丁寧だったから、あそこまでの効果になったんだよ」
「……つまり、やっぱりアルフェアも凄いってことだね」
ルフェルが微笑んできて、私は照れ臭くなって頬をかいた。
それから怪我をした騎士のもとに歩いていく。
「治療、行いましょうか?」
「は、はい……できますか?」
「はい。精霊契約を結んだばかりなので、他の治癒士と比べると劣るかもしれませんが……」
「いえ、とりあえず出血が止まってくれればそれでいいので」
騎士に従軍するように、精霊と契約した女性騎士もついている。
とはいえ、その数はどちらかというと少ない。
やっぱり、旅ができるほどの騎士となると、そこまで多くはいないからだ。
私はさっきやってみたみたいに、魔法を構築していく。
……精霊学園にいたときにたくさん練習したから、構築自体はうまくできた。
それを、フェンリルに渡して、それから魔法を発動した。
「『ヒール』」
私がそういうと、騎士の体を柔らかな魔力が包んだ。
次の瞬間だった。騎士の傷は完全に消えた。彼は目を見開きながら、自分の状態を確かめていた。
「……こ、こんなに凄い回復魔法……初めてですね!」
「いえ……そんなことは……。フェンリルのおかげです」
「や、やっぱり伝説の精霊だけあてとてもすごいのですね。助かりました」
ぺこり、と騎士がフェンリルに頭を下げると、フェンリルは自慢げに胸を張った。
……その姿が可愛かったので、私はフェンリルの頭を軽くなでる。やっぱり柔らかくて気持ち良かった。
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