第57話 事件
文化祭4日前の視聴覚室。
文化祭実行委員による準備も大詰めとなっている。
今も大きな丸テーブルを実行委員たちが囲んで、各々が仕事に従事している。
1年生の俺は比較的簡単な、作業のような内容で今は備品のチェックリストに印をつけたり、間違いがないか確認したりするだけ。
頭を使って何かをするってわけではないので、周りの会話は案外聞こえてきたりする。
「そういえば木梨さんいなくない?」
「あー。木梨さんはどこか他の教室で開会式と閉会式の挨拶文を考えてるらしいよ。金田君と」
「まあこの教室にいても東雲君が仕事取っちゃったからやることないもんね。というかどうして金田君と?」
「あの二人付き合ってるんだって。知らなかったの?」
「へーそうなんだー。言われてみれば仲良さそうだったもんねー」
なるほど、金田先輩がさっき東雲と話していたのは木梨先輩のところに行くためか。金田先輩は今日の分の仕事はとっくに終わらせているみたいだから東雲も許可を出したのだろう。
仕事内容に無理はないし、その仕事さえ終われば自由にさせてくれるって意外にホワイトな職場では?
今日は真昼はいなかったのでそれほど賑やかにもなっていなかった。色んな所に助っ人に行っているらしいし、今日はどこかのクラスの手伝いでもしていたのだろう。
俺もこの調子でいけばあと30分くらいで終わりそうだな。
俺は時計を確認する。針は17時50分を示していた。
18時30分までには帰れるか。
撮りだめてたアニメを観ようと思っていたのでちょうどいい。
家に帰ってからの予定を考えるのに耽っていると、隣で仕事をしていた神楽坂が席を立ち上がった。
ちらと見ると、どうやら彼女も仕事を終わらしたようだ。
「もう終わったのか?」
「ええ。今から少し用事があるので仕事のピッチを上げたんです。では私はこれで……」
荷物をまとめた神楽坂は東雲に声を掛けに行ったあと、視聴覚室を出ていった。
用事か……なんだろ。たまに屋敷に来客とかあるらしいし、その可能性はあるな。なんにせよ俺の考えることではないが。
それから結局予想通りの時間に俺は仕事を完遂させた。
というか、東雲が18時30分までを活動終了時間に決めていたので、俺を含めた実行委員全員がそこから自由解散となった。
普通に帰って、次の日普通に登校して、文化祭の準備をしてまた下校する。
これを文化祭が終了するまでただ続けるものだと思っていた。
しかし、現実はそうはいかなかった。
文化祭3日前。朝。
俺はいつも通りの時間に登校し、同じルートをたどって2組の教室に向かう。
その際、必ず3組の教室のそばを通らなければならないのだが、そこで見てしまった。
3組の出し物の準備の一部が壊されていて、その上、神楽坂がその犯人として最も疑われている現場を。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
更新遅れてすみません。
しかも今回は全然ラブコメしてない……。
次話は遅れないように頑張ります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます