第9話

突然飛び出して行ったラン。何処にいったんだろ?


ガチャッ


「今帰った。」


そういうランの後には


「やほー!姫様!

俺を置いてくなんて酷いじゃないっすかぁ!」


骸が居た。


「えっ!?嘘!本物!?」


ベットから飛び降り私の目線までしゃがむ骸の顔をびよーんと引っ張る


「いひゃいでふって!」


「本物だ…どうしてここが分かったの?」


骸は、私の本当の家族。

私を捨てた家族は私を養子として引き取った育ての親。

いつも会いに来ては、ふらりと消える骸。

ここ最近来なくなったから嫌われたのかと思ってた…


「姫様の場所は何処にいてもわかるって言ったろー?」


ニコッと優しく微笑む骸に抱きつく。

迎えに来てくれる人がまだ居てくれた嬉しさ

私を嫌っていなかった嬉しさ

そんな感情が混じり嬉しくて涙が出てきた


「あー、もう姫様は泣き虫だなぁ。

あっ!そうだ!姫様にお土産あるんだ!

っても沢山あるから庭行こー!あ、お前も来ていいよ?」


骸に抱き上げられる。久しぶりに嗅ぐ匂い。

この匂いは、私の安定剤だ。何処か懐かしい匂い。



庭に山積みにされたお土産…?


「えーと、どれがどれかわかるかなぁ?

あ、ちゃんと名前ついてるわ。

んーと、これがアヤメから。

今度は一緒に桜を見ましょう、だってさ」


アヤメさんは、とても色っぽいお姉さん。

骸の友達だって言ってた。


「わぁ、綺麗…!

骸!つけて!」


箱を開けるとガラスで作られた簪。


「んー…っほら、これでどうよっ!」


少しうんうん唸りながら私に鏡を渡す。

骸って器用だよなぁ…、何でもできる…


「これはー、チナから。

今度お茶会しようね!美味しいお菓子準備して待ってるからね!だそうだ。」


チナ君は、私と同じくらいの男の子。

お菓子が大好きで常にポッケにパンパンに入ってるしいつも飴舐めてるんだよなぁ。


「わぁ!美味しそう!

後で3人で食べよう!」


色とりどりのお菓子達が入っていて思わず顔がニヤける。


「次はー、セッカから…というか、セッカとセッカの執事から

今度城に遊びに来てあげてください。

ウジウジしてウザ…可哀想なので。

中身は、この前王が集めていた物を一工夫してみました。

ウザいって書きかけんなよ!」


相変わらずな感じで思わず苦笑いが出る。

箱を開けると、沢山の四つ葉のクローバーが小さな水晶の中できらめいていた。


「わぁ、凄い…」


「あれ、まだ続きあるわ。

ネックレスやイヤリング

ブレスレットや指輪など一緒に同封した物に付けるだけお手軽簡単アクセサリーとなります。

姫様の気分でかえてくださいね。だとよ」


何かはめられそうな所があるけど、これかな?

ブレスレットに試しにつけようと近づけると

淡く光り水晶は指から離れ吸い込まれるように窪みにハマった


凄い綺麗…ブレスレットを骸につけてもらった。

私の事…皆覚えてくれてたんだ…

皆骸の友達で骸が私に世界は広いんだと教えてくれた。

だけど、私はどうしても怖かった。

広い世界に出て自分は本当に一人になるのではって


それならば、檻のような場所でも

求めてくれる父達の為に頑張ろうって…頑張ってたのに。それすらも駄目だった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る