ランside

ティアラの匂いは何処か懐かしくてとても落ち着く。

ティアラの腰に抱きつき顔をグリグリすれば

本を読んでいたティアラが頭をなでてくれる。


何でこんなに…落ち着くんだろ


「っ!?」

「わっ!?突然どうしたんですか?」


こっちに物凄い勢いで迫ってくる禍々しい気配を感じ飛び起きる。

俺のテリトリーには誰かが侵入するとわかるようになってる。

この気配…何だ…?

初めて背筋がゾワゾワした。


「ちょっと、出てくる。

お前は家から出るな」


「は、はい?」


寝室から出てリビングに投げ捨てたまんまのローブを羽織り洞穴の外に出る。


「っ!?何者だっ!」


突然攻撃され咄嗟に防護結界をはる


「あっちゃー、やっぱり適当に攻撃は当たんねぇか!ハハッ

なぁ?姫様いんだろ?」


真っ黒な髪に赤目と紫の瞳をした男は折れた剣を投げ捨て俺を見た。


「姫…?誰だそれは」


「お前女の子拾ったろ?その子を迎えに来た。

って言えばわっかるっかなぁ?」


バカにしたように俺を嘲笑う男


「帰さない…って言ったら?」


「んー、それは辞めといたほうがいいよ。

だって、お前俺には勝てないし?

実力差もわかんねぇ程お子ちゃまじゃないよなぁ?」


確かに、初めて殺される恐怖を感じている。


「だけど、アイツが望まないのに帰す訳にはいかない。」


あんなに努力した者を裏切る世界に

このまま帰すわけにはいかない。


「ふーん。いいよ。それなら会わせてよ。

俺は何もしない。姫様が帰らないって言うなら無理に連れてきはしない。

全ては姫様の幸せの為、なんだからな。」


「…わかった。ついてこい」


ずっと軽快な口調だったのにティアラの話をする時だけ真剣な声だった。


それを…信じてみるしかない

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