第4話

「…落ち着いたか?」


「ずびまべん…」


渡されたティッシュで鼻をかむ。


「少しお前に興味が出た。

何があったか話してみろ。」


いつの間にか私は魔神の膝の上で後ろから抱きしめられていた。

うろ覚えではあるけど、泣いてる最中

あ、これ中々手が辛いとか

お、これは楽だぞとか聞こえた気もするけど!!

正気が戻って来ると同時に恥ずかしくなったが

どうせいつ死ぬかわからないのだから恥なんて気にしてられない!という謎理論でそのままの体制で卒業パーティーであったことを話した。


「別に婚約者が好きだった訳じゃないんですよ?

普通に婚約破棄を言っていただければ私は全然構いませんでした!

けど、まず!この婚約じたいあちら側から頼み込まれたものなんです!!

なのに、やってもいない罪をかぶせられるし

両親もその話を信じて捨てられるし…

私何かしましたか?両親の為に仕事も大幅に拡大させて働きましたし王妃としての修行も努力してました!

1日の睡眠時間2時間ですよ!?

休憩なんてとれたらいいほうだし!!

私そんないけないことしましたか…?」


父と母を助ける為寝る間も惜しんで勉強して

仕事の売上も年々倍になっていたし

王妃としてのレッスンも担当の先生方にはとても褒められた。

私…ここまでされるような事しましたか?


「うむぅー…俺はそちらの世界の常識はよくわからんが

お前が沢山努力をしたのはわかるぞ。

お前の手は、努力の証が沢山ついているからな。」


私の手を触り優しく言った。

私の手は、令嬢らしくない手

傷まみれでタコもいくつも出来てる。

ハンドクリームを塗っても追いつかないから

いつもは手袋をして隠していた。


「…っ」


「お前帰る家ないんだったな。

仕方ないから俺が面倒を見てやる。

まぁ、お前が住んでた世界の様な贅沢は出来ないがな」


スッと私を抱いたまま立ち上がる


「えっ!?わ、私重いから!下ろしていいよ!?」


「こんなもん、軽いわ。

俺を誰だと思っているんだ?魔神だぞ?

人ひとり持つのが辛いわけなかろう」


いや、恥ずかしいから!!

こんなの前世でもされたことないから!!


私の必死の訴えなど聞かずそのまま魔神はスタスタ歩き始めた。



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