北王国の大事件

プロローグ

 今の状況は絶望。

 町は混沌に陥り、人々の悲鳴が聞こえる。

 エレナも戦闘不能になるまで、俺の代わりに戦ってくれた。


 もう誰も死なせない。殺させない。


「うん?そんなボロボロの状態で立ち上がって何が出来るのかな?うん?うん?」

「出来るか出来ないかじゃないんだよ……。今ここで、俺は立ち上がらないといけないんだ。」

「うーん!かっこいい事言うよねー。うんうん。実に寒いよ!」


 あははは!!と目の前にいる狂人者は高笑いし、笑いすぎて涙が出ていた。


「–––––笑ってろ。俺がお前を殺す。何度死んでもな。」


 海堂春太カイドウ・ハルタは倒れた衛兵の剣を拾い、ゆっくりと目の前にいる敵へと向かった。


 エレナの仇。


 こいつがこの世にいる限り、エレナは救われない。

 だからお前は失せろ。


 ………たとえこの戦いが無謀でも、絶対的な差があったとしても。ハルタは止まらない。


 覚悟はもう出来ている。


 死んで、死んで、何回死んでも。ハルタは止まらない。


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