第6話 臨時の仲間
以前と同じ物をつけ、早速市場の奥にある建物。魔獣駆除取り扱い本部に足を運ばせていた。
本部の中は相変わらず賑わっており、駆除者と思われる者達が酒を飲みながら何か騒いでいる。
ハルタはそれを横目で見ながらも受付嬢の所へ行く。
「なぁ、仲間を募集したいんだけど、そんなのって出来るか?」
「えぇ。臨時の仲間でしたらすぐにでも出来ますよ。」
「そうか。なら頼む。」
「了解です。」
受付嬢は微笑んだ後、奥にある棚からポスターを取り出し、それをハルタに渡す。
「これを入り口の右側にある仲間募集の掲示板に貼ってください。」
「わかった。」
ポスターを受け取り受付嬢に言われた掲示板に貼ろうとした時。
「一緒に魔獣駆除に行く仲間を探してますか?」
後ろから女の子の声が聞こえ振り返ると、そこにはハルタと同い年ぐらいの少女が立っていた。
薄い紫色をした髪の毛は肩にかかるぐらいの長さで、幼さと可愛さが合わさったような……いわゆる童顔だった。
「ねぇ、聞いてます?」
「ん?あ、あぁ。聞いてる。募集してるよ……。っていうか今から募集しようとしてたけど。」
「そうですか。なら私を仲間に入れてください。」
「まぁ、別にいいけど。先に言っとくけど俺めっちゃ役立たずだからな?それでもいいか?」
「うん。君が役立たずだったらそれを私がカバーしますから。」
「そ、そか……。」
自分で役立たずって言うのは特に何も感じなが、他の人に言われるとなんか心に刺さるな……。
ハルタは内心へこんでいるのを隠し、言葉を続ける。
「そ、それじゃあよろしくな。俺はカイドウ・ハルタ。えーと……。」
「エレナ……。よろしく。ハルタ君。」
「よろしく。エレナ。」
「あー、えっとこの状況で悪いんだが……。」
突如、男の声が聞こえ、ハルタとエレナは声がする方へ向く。
「俺も仲間に入れてくれねーか?」
大柄な男が苦笑しながらそう言ってきた。
歳は二十歳ぐらいだろうか?金髪で短髪。そして人柄が良さそうな顔。
理想の兄貴分。そうハルタは思った。
「あぁ。構わないよ。さっきこの子……。エレナにも言ったんだけど、俺あまり使えないからそこんとこよろしく。俺の名前は––––」
「カイドウ・ハルタだろ?聞こえたよ。俺の名前はトレイタだ。よろしく。」
「あぁ。よろしく。トレイタ。」
ポスターを貼る前に仲間が2人も加わり、ハルタは苦笑しながらポスターを折りたたむ。
「2人もいたら充分か。まさかこんな早く来てくれるとは思わなかったけど。」
「あはは。それで、どの依頼を受けるんだ?」
「そうだな。報酬が多めで出来るだけ楽な依頼が望ましいんだが……。」
「高望みですね。」
「てへぺろ。」
片目を閉じ、舌をちょろっと出しているハルタを見たエレナは少し不快そうな顔をする。
「そんな顔しないでくれよ……。これなんてどうだ?」
ハルタはとある依頼の紙に向け、手をさす。
「えーとなになに………。バルドガドラ一体の討伐……!?おいおい、正気か?」
「えっ、なんでだよ。一体だけだし楽そうだろ。」
「場所を見てみろよ……。」
「えっ?」
トレイタの言われる通りに、依頼の紙に書いてある地図を確認する。
「アルファイド大森林……。なんかやばいのか?」
「お前何も知らないのか?アルファイド大森林って桁違いに強い魔獣の巣窟って有名な話だぜ?本当に腕に自信がある奴しか行かねーよ。」
「へ、へー……。」
仲間がいてよかった。と、心の底からそう思った。
もし、俺が1人で行ってたら、間違いなく死ぬな……。
「これなんてどうですか?」
ハルタがもしもの事を想像して怯えていると、エレナが依頼の紙を指さす。
「サドントカゲの殲滅……。確かに俺達でもなんとか出来そうだな。」
「そうなのか?……場所も近いな。それじゃあこれにするか。」
紙を取り、カウンターにいる受付嬢に渡し、この前と同じ作業をして、ハルタ達は地図に載ってある場所に向かった。
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