第37話対峙

「もちろん犯罪をした人が、何かしらの労役を強いられるようなものも奴隷と言いそれについては問題ないと思っています。しかし、人に奴隷として買われているような形は禁止なはずです。」


「そういわれてもですね。彼らはそういう扱いを受けることをしたのです。」


「罪を犯しても労役奴隷以外の奴隷は禁止です。ここではどのようなことをしたものが奴隷にされるのですか?」


「はて。何を言っておられるのか。彼ら獣人は存在自体が罪なのですよ。エルフなどは容姿がよく高く売れる。一番効率よく使っているのですから文句を言われる筋合いはありません。」


「彼ら自身が何かをしたというわけではないのにそういう扱いをするのはおかしいですね。この国は安全だと思ってきているのです。これでは彼らが本当に安全に住める場所を彼ら自身でつかむことが困難になります。」


「と言ってもここ30年ほどはこのような状態です。そして王国から禁止されていないということは、少なくともこの町に住む多くの人や、この町の橋を使う人は当然だと思っているということです。」


「なるほど。変えるつもりはないと。」


「そうです。」


「わかりました。もうあなたには頼みません。」


「ふふ。わかりましたと言いましたが、ただの商人風情に何ができると思っているのですか。世間を知らなすぎるみたいだ。もう少し勉強に精を出したほうがよろしいかと。(笑)」


「そのくらいは理解しています。ただの商人一人には難しいでしょう。」


「ふふふ。はははは。面白いジョークです。二人の商人でも変わりませんよ。」


「...」


「...」


「まだ自己紹介していませんでしたね。これが私の冒険者カードです。」


「ルイス!...しかしだ、勘違いしているようだが少し国王様の目に入ったからといって何もできないですよ?」


「少しの謁見くらい可能でしょう。」


「んー。そうですね。何もわかっていない。たしかに強いかしれませんがまだ子供。謁見が可能になったとしてもその前に事故に合うでしょうなぁ。(笑)」


「謁見を控えているものが死んだら不自然に思い調査されるでしょう。」


「命を懸けてこの状況を変えると?(笑)若いとはいいですね。(笑)もみ消されるに決まっているでしょう。さらにさっきの謁見が可能になるといったのもかなり低い確率での話。あまりにも実できない確率だ。(笑)」


「ならそこで低い確率だからできるわけないとその気持ち悪い顔で笑ってればいい。こっちはこっちでやるよ。」


「誰が王都でもみ消しているかも知らないような情報の少ないガキができるはずがないだろう。」


「想像はできている。しかもそれが外れても問題ない。」


「たわごとだな。」


「そうですね。たとえ教皇様が情報をつぶしていたとしても。ガキのたわごとです。」


「!?気分が悪い。かえれ!」


「そうさせてもらいます。」


 



「おい!」


「はい。」


「まずあの女を誘拐して痛い目に合わしてやれ。そのあとあいつに返せばそれを見て少し現実がわかるだろう。」


「承知しました。」




「あんな言い方してよかったの?最後のは余計だったと思うけど。」


「そうだなユリアの危険が増したな。悪かった。」


「それは大丈夫でしょ。フェルとルイスがいるし。」


「あぁもちろん向こうが何をしてきても対処する。」


「ほんとに来るかな?」


「まぁ多分すぐに来るだろうな。少し変更してここに泊まることにしようか。」


「はーい。」

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