第3話「登校と先輩とお弁当」

私は電車に乗った。ギリギリ間に合った。

時間は8時45分、始業は9時なので、間に合うかはわからない。


「やばい…遅刻確定かも…っ」

私はそう思っていた。










「…ん?あれは…」

奥に知っている人が見えた。功先輩だ。

蔦木 つづき こう陸上サークルの先輩であり、サークル部長でもある。





「あっ、唯月さん。おはよう。

どうしたんだ?まさか遅刻しかけたのかい?」






バレた…仕方ないか…



「あっ、いえ、ちょっと家事をしていたので…」





嘘なんだけどね…ごめんね陽君。

そう思いながら功先輩を見る。やっぱり功先輩はかっこいい。




「?俺の顔になにかついてるか?」

「あっ、いえ!ちょっと…考えごとを…」



功先輩を困らせちゃった…どうしよ…



そんなことを考えてたら、

「今日の夜、サークルで集合するから。ちゃんと来てくれ。あと、1年組にも言っておいて欲しい」


「あっ、はい!わかりました!」


咄嗟に返事を返す。

そして先輩は先に電車を降りていく。

後を追って私も電車を降りる。






「…先輩、かっこいいなぁ…

ハッ!でも、陽君にバレたら…」


そんなことを考えていると、8時55分になった。

…やっば!!!!!!!!!!

全力ダッシュで大学に向かう。


インターハイベスト8を舐めるなよ…





校門が見えた、時刻は8時58分。


よし、間に合った!と私は思った。








そして…









「ふぅ、間に合ったー。陽君はもう行ったかな?」

と思い、スマホを手にすると…


















「おねーちゃん、弁当忘れてるよ」とメールが入っていた。







「え、嘘でしょ…?」

私は咄嗟にカバンを漁る、しかし、何処にもお弁当は無かった。

「…。」私は講義の話が全然入ってこなかった。




数時間後、

「陽君のお弁当…食べたいのに…」

私がそんなことを言っていると、

「おい、星宮。職員室に行ってこい。お前を知っている誰かが来ていたぞ」と先生に言われた。





「えっ…」私はと思い、職員室に向かった。そこには、









「あ、おねーちゃん。なんで弁当忘れていったんだよ」

陽君がいた。



「陽君!?学校はどうしたの!?え!?」

戸惑いを隠せない。



「学校は午前中だったから、帰ったら弁当があるのに気付いてさ、それからここに来たんだ」



…なんて優しい弟なんだろうか。







「よ〜うくん!!ありがと〜!」咄嗟に癖がでた。

そう、陽君に抱きつく癖。それを教員の前でやってしまったのだ。

これ以上に辛いことはないだろう。



「…星宮、なにをしてるんだ?」

先生が私に言ってくる。ていうか先生がなにを言っているのかわからなかった。が、


「おねーちゃん、く…苦しいよっ」



あ、

私は赤面になる。恥ずかしい。


そして、、、

「っ!陽君、弁当もらうねっ!じゃ、またね〜!」


と言って逃走した。

「やばい…私、なんてことをっ!

帰って陽君にどんな顔で会えばいいのだろうか…」







結局、午後の講義も頭に入ってこなかった。


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俺は義姉に懐かれている? SoLs @lighsor_s433

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