第20話 いつもとは違うキスの味

高校生活初めてのテストは思いの他に手応えがあった。


返却は来週からだけど、おそらく全教科とも8割以上はあるはずだ。


「テストが無事に終わって良かったね。」


テスト最終日も学校は早く終わるので、葵はいつも通り私の家に遊びに来た。


私達はベッドに腰かけて会話をする。


「凛ちゃん?」


私は葵の呼び掛けに「何?」と答えた。


「約束覚えているよね?」


葵が不安そうに尋ねてくる。


「うん。やっぱりきたかって感じ……」


「私はこの時だけを楽しみに、勉強を頑張ってきたんだからね!」


「分かったわよ。で、どうするの?」


私は「テストが終わったら、何でもしてあげる」という約束を葵と交わしていた。


葵は「うーん。」と頭を抱えている。


私は葵が何を言い出すのかを考えると気が気でなかった。


「キスじゃいつも通りだから……」


葵が顔を赤らめながら真剣に考えている。


「深い方のキスも経験済みだから……」


私は葵の発言に思わずゴクリと唾を飲んだ。


「やっぱりエッチなことしか……」


「ちょっと待った!そ、それは破廉恥すぎるでしょ!


ぬ、脱ぐのは無理よ!絶対に無理なんだから!」


「えー。凛ちゃんから何でもするって言ってきたのに。


そっか。凛ちゃんは約束を守れない子なんだ……」


葵が意地悪な態度で私をからかってくる。


「脱ぐ以外なら何でもするから!」


「仕方ないなぁ……」


葵は真顔で少しの間、考え込んでいた。


そして何かをひらめいたのか、表情をパッと輝かせて私を見る。


「じゃぁ凛ちゃんからキスしてよ。」


「え?」


「いつもキスするのって私からだから。


たまには凛ちゃんからキスして欲しいかなって。」


「わ、分かったわよ……」


「あ、でも条件があるからね!」


私は何だか嫌な予感を抱いた。


「条件の一つ目は私をとってもドキドキさせること!


二つ目は私が満足するまでキスを止めないこと!」


「分かったわよ……」


私は初めて葵に自らキスをした。


自分からってかなり恥ずかしい……


私は「どうだった?」と葵に尋ねた。


「全然ダメ……」


「顔が真っ赤になってるし。」


「そんなことないもん!


私が満足するまでキスしてもらうんだからね!」


「分かったわよ……」


私は葵に二度目のキスをした。


「まだ物足りない!」


「欲張り……」と私は呟いた。


葵は顔を真っ赤にしてうつむいている。


その反応が余りにも可愛かったから、私まで恥ずかしくなってしまった。


「葵、顔真っ赤だよ。」


「だってすごく嬉しいんだもん……


キスはいつも私からだから。


凛ちゃんからキスされると、とてもドキドキする……」


葵は本当に照れているみたいだった。


私はそんな葵を見ているせいか、彼女のドキドキが自分にも影響する。


「やばい。超、恥ずかしいんだけど……」


私は恥ずかしさに頭をくらくらとさせながら、次はどんなキスをしようかと考える。


こうなれば意地でも葵の満足するようなキスをしたいと思った。

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金髪ビッチだった私が可愛い恋人に翻弄されて性の倒錯を起こしそうです。 アイカワ ヒカリ @syuha

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