第18話 女子高生の放課後(2)
私と葵は放課後、学校近くにあるファーストフード店に来ていた。
そして注文を済ませて空いている席を探していると、どこからか私達を呼ぶ声がした。
「凛ちゃーん!」
私を呼ぶ声は
どうやら
「誰かと思えば
「席も空いていることだし、どうせなら一緒に食べようよ!」
奈桜が私達に手招きする。
「そうだね。」
私は奈桜の隣に座った。
そして葵が美桜の隣に座る。
「葵ちゃんはなに買ったの?」
「私はチーズバーガーとポテトのセットだよ。」
奈桜が「私とお揃いだね!」と言った。
滝沢姉妹も先ほど席に着いたばかりらしい。
ハンバーガーもこれから食べ始めるみたいで、ポテトだけがどうやら少し減っていた。
「奈桜と美桜はいつも一緒にいるよね。」
私は2人に向かって言った。
「当たり前だよ。私と美桜はラブラブなんだよ?」
「なんか恋人みたいな言い方ね。」
「将来はそうなるんだもん!」
美桜が「変なこと言わないの。」と口にした。
「ま、私と奈桜は昔からの付き合いだからね。
もう家族みたいに思ってるし。」
「え!」と奈桜が叫んだ。
「私達ってそんな関係だったんだ!」
奈桜がそう言って人差し指2本をもじもじさせている。
「夫婦じゃないからね。」と美桜が苦笑いしながら念を押した。
「え!夫婦以外に何があるの?
もしかして私は犬……」
「いや、姉妹だよ。」と美桜が再び苦笑いを浮かべる。
「ふふっ。奈桜ちゃんっておもしろいよね。」
少し緊張気味だった葵が笑っている。
前から思ってはいたが、葵はけっこうな人見知りらしかった。
そのために教室内でも私以外とは
でも奈桜の天然具合が葵の心を
「奈桜ちゃんと美桜ちゃんって性格が全然違うよね。
喧嘩になるときとかってあるの?」
葵が2人に尋ねる。
「喧嘩はないかな。
奈桜が傷つくのは嫌だから。」
「美桜は私のこと大好きだもんね!」
「うん。」
「愛してるもんね!」
「まぁ、そうだね。」
「美桜ちゃん大好き!」
「ありがとう……」
嬉しさのために気が抜けている奈桜と、どんな言葉にもクールに対応する美桜。
この姉妹はいったいなんなのだろうか……
「そう言えば前から思っていたんだけれど……」
美桜がそう言って葵の髪に手を入れた。
「葵ちゃんの髪の毛って綺麗だよね。
物凄くさらさらだし。
「ありがとう……」
葵は急に髪を褒めらて照れているようだった。
相手がイケメン女子高生の美桜だからか、彼女はどうやら本気で照れているようだった。
まともに美桜と目も合わせられないのか、頭が垂れてしまっている。
しかもちょっと顔が赤いし……
私がジーっと葵を見ていると、彼女がハッとして顔を上げた。
葵が気まずそうに私を見ているけれど、別に妬いてなんかいないし……
私はスマホを取り出して、カメラを起動した。
「髪を褒められて照れてる葵と美桜のツーショット。」
私は後でネタに使うだろう光景を写真に収めた。
葵が「ふんっ」と言って、私のポテトに手を伸ばす。
「ちょ!それ私の大好物だから!」
「凛ちゃんが意地悪なこと言うからだもん。」
「じゃあ私も一個もーらいっ!」
葵が私の行動を予測していたのか、両手を使って私の手からポテトを守った。
葵が「予測済みだよ。」と笑って得意気になっている。
すると美桜が声を上げて笑った。
私は「どうしたの?」と尋ねてみる。
「2人って本当に仲良いよね。
そのストラップの片割れ、きっと葵ちゃん持っているんでしょ?
なんか初々しいカップルみたいだね。」
私と葵は美桜の発言を聞いて、面を食らってしまった。
確かに私達はカップルなんだけれど、さすがにちょっと恥ずかしかった……
奈桜が「葵ちゃんのも見せてよー!」と言う。
すると葵はなぜか顔を赤らめてスマホを取り出すのだった。
奈桜が2つのストラップをくっつける。
「わぁー!ハートだよ、ハート!
ラブラブなんだねー!」
私はファーストフード店でこれほどにもドキドキされられたのは初めてだった……
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