第11話 水族館デートを堪能中です!!

水族館は多くの人でにぎわっていた。


「見て見て!オオサンショウウオだよ!」


葵がとても楽しそうだった。


「とても可愛くない?すごく癒されるんだけど!」


「可愛いのかな……」


水槽にはゴツゴツとした岩のような巨大イモリが数匹いた。


「オオサンショウウオってブサ可愛いんだよね。」


「ブサ可愛い?水中のナマケモノてきな?」


葵が「たぶんそうだよ。」と言って笑った。


「でも本当に人気者なんだね。人がたくさん集まってるし。」


「次はあっちだよ!」と言って葵がはしゃぎながら歩いて行く。


私達は水槽を1つずつ見て回った。


葵はすごく楽しそうだったし、私も実際にはしゃいでいた。


そして私達はとても大きな水槽に辿り着いた。


「うわ!すごく大きな水槽だね!」


葵が巨大な水槽を前に目を輝かせている。


そんな彼女を見ていると、何だかこっちまで嬉しくなった。


「凛ちゃん、あの席に座ってちょっと休憩しようよ!」


巨大水槽の観賞用スペースとして、ベンチが後ろにいくつも並んでいた。


私達はそのベンチの1つに腰を下ろした。


「あれってジンベイザメだよね!


大きくて可愛い!」


ジンベイザメは物凄く大きくて、確かに迫力があった。


でもあれは可愛いとかではないような……


「葵は何でも可愛いって言うね。」


「あれ?もしかして嫉妬?


大丈夫だよ。凛ちゃんのほうが可愛いから!」


魚と比較されるのも、なんか複雑……


「手繋いでいい?」


葵が甘えた目で私を見てくる。


「別にいいよ。」


「キスしていい?」


「それは駄目。」


「ふふっ。凛ちゃんは照れ屋さんだからね。」


「公共の場でイチャイチャするのは良くないでしょ。」


「じゃあ家ならいいの?」


「家なら別に良いよ……」


あれ?葵の顔が赤くなってるんだけれど……


「なに照れてんのよ。


私まで恥ずかしくなるでしょ……」


「だって凛ちゃんが……」


私達は巨大水槽をたんのうすると、また館内を歩き始めた。


そして私達は南極大陸エリアに来ていた。


「これは本気で可愛い……」


「今までのは本気じゃなかったの?」


「当たり前だよ。でもペンギンは本当に可愛い……」


「そんなこと言うと、オオサンショウウオの前で謝らせるよ……」


葵は本当にペンギンが好きみたいで、何度もスマホで写真を撮っていた。


「凛ちゃん、写真撮るよ!」


「ちょ、近すぎ……」


「自撮りって初めてかも!」


「マジで?」


葵の初自撮りの写真には、背景になるはずのペンギンが1匹も映っていなかった。


「下手すぎ……私に貸して。」


私は中学時代に習得した自撮りスキルを最大限に活用して、自分でも完璧だと思える写真の撮影に成功した。


葵が「すごっ。」と感心している。


「私のスマホでも撮っとこ。」


私は自分のスマホを使って、もう1度写真を撮った。


「お!綺麗に撮れてるじゃん。」


「待って!なんか2人とも凄く可愛くなってるんだけれど!」


「そりゃ、そういうアプリ使ってるんだし。」


「そんなアプリあるの?!


私がとても小顔になっていて、肌もすごく綺麗になってる!


まるで別人だよ!」


「葵は本当に女子高生なの……」


「だって自撮りしたの初めてなんだもん。


でもこれからは増やしていくつもりだからね。」


葵が満面の笑みで私に言った。


自撮り写真を増やしていく……


それって思い出作りってことだよね?


私達って本当に恋人みたいだな。


そんなことを考えて嬉しくなっている自分がいた。


「どうしてニヤニヤしてるの?」


「へ?!別にニヤニヤなんかしてないし!」


「ふーん。」


「な、何よ!」


「別に何にもないよ。


今度はあっちのペンギンを見に行こうよ!」


葵が私の手を握って歩いて行く。


はたから見ても私達ってあきらかに友達以上の関係だよね。


まぁ誰かの目とかは気にしてないけど、なんか女性同士でこうやって恋人繋ぎしているのって、とっても不思議な感覚だ。


私達はしっかりと初デートを満喫していた。

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