エイプリルフール?

これは本編に関係ありません。

ただエイプリルフールだったので、なんか書いてみたくなっただけです。エイプリルフールに関係してればよかったんですけどね……。

















「陽輝……どこ行くの?」


「あぁ……友達に呼ばれたからちょっと出かけてくる。1.2時間で帰ってくる」


「わかったーいってらっしゃいー」


付き合ってからかなりの月日が流れ、数多く喧嘩をしたが別れずに迎えた四月一日。陽輝達が高校三年生となり、エイプリルフールと呼ばれる日でもある。


この日に陽輝は悠真と共に悪巧みをしていた。


「お、悠真。早速行くか」


「そうだね。協力してもらってる二人も多分待ってると思うから早めに行こうか」


交通機関を利用して、有名な繁華街へと向かう。


「ちょっと遅くないですか?女性は待たせたらいけませんよ?」


「まぁまぁ結奈。あたし達が早かっただけだよ!」


「ほんの10分ですよ。直樹君なら30分前にはきて待ってくれてるのに……」


「「一緒にしないでくれあいつと」」


待っているのは山崎の彼女の菊池と岡本の彼女の杉浦だ。今回の協力者になってくれている。


「とりあえず行こうぜ?あまり時間かけるのも良くないし翠に早く帰るって言ってあるんだよ俺」


「僕も小珀にはちょっと出かけるとしか言ってないからね」


「あたしだってたけちゃんに少し遊ぶって言っただけだしー、ささっと済ませよ!」


たけちゃんというのは岡本の下の名前、武之から来ている。


「それじゃあ行きましょう!お詫びの品探しに!」


今回この四人で立てた計画はこうだ。


1.お互いの彼女、または彼氏に遊びに行くと言って家を出る。


2.家に帰ったあと、記念写真を撮ったんだと言い、写真を見せる。(顔はうつさない)


3.その時の反応を確認して、自分への好意を確認する。


4.最後に説明とお詫びをして、プレゼントを渡す。


これには長年付き合ってたからこその心配から来ている。実はただ別れていないだけで、もう好きではないのではないのか……という考えを主に女子二人がしているのでそれに男子二人が付き合う形になっている。(ただし男子も気にはなっているようで、実は若干ノリノリ)


そのために今繁華街へ四人で来ている。ただ、どうも女子は馬鹿なようで、当初の目的を忘れすっかり楽しんでいる。


「これ可愛くない?どう思う?二人は」


麦わら帽子を手に取り、ワンピースを身体に当てながら意見を聞く杉浦。


「悪くはないんじゃないか?」


「似合うと思うよ」


無難な答えを言いつつ、男子二人はお互いの彼女に

似合いそうな服を探していた。お詫びのプレゼントとして渡すつもりである。


(あのワンピース小珀に似合いそう……普段はあんまり着ない黒とピンクの2色もありだよね……ふわっとした感じも絶対似合う……あれにしようかな)


(翠に似合いそうなのは……あれか?春物かわからねえけど白を基調としたパーカーってあいつ持ってねぇし、イメージ的にも普段と変わるはず……ただ俺は服を選ぶセンスが無いんだよな……怖ぇ)


悠真はあっさり決めるのに対して、陽輝は自分のセンスを疑って迷う。オドオドしているのを悠真は気づき、背中を叩く。


「いって、何すんだよ」


「迷わなくて平気だよ。多分大丈夫だから」


「……何考えてるのかわかったのかよ、ったく。お前がそういうなら信じるぞ」


先程迷っていたパーカーを手に持って会計に行く陽輝を悠真は温かい目で見ていた。最初は美的センスがなかった陽輝もまともになったものだなぁ……と感動しながら。


女子二人は二人で時折男子に意見を求めつつもお互いでアドバイスし合いながら一袋分の洋服を買っていた。


「いやーごめんね?ついつい盛り上がっちゃって……」


「なんかすみません。こちらから提案したのに勝手に時間を潰してしまって……」


買い物を終えた女子二人は、目的を思い出したようで謝る。


「いや気にして無い。とりあえず俺らは欲しいもの買えたし、な?悠真」


「そうだね。だから気にしなくて大丈夫だから二人の渡すものを買いに行って、写真撮って帰ろうよ」


「いやー優しいね。流石彼女もちの二人って感じ!」


「うるさいです。あの二人の彼氏なんですから当たり前です。それより私たちは早く買いに行きましょうよ」








「ただいま。ちょっと遅くなった」


「おかえりー、どこ行ってたの?」


「写真何枚か撮ってきたからそれ見て当ててみろよ」


あのあとすぐに女子達は別の店にすぐに行き必要なものを買ってきたので、写真を撮って解散となった。だが、帰りの電車が少し遅延して予定していた時間をオーバーして陽輝は家に帰った。そして家に帰るやいなや、翠に数枚の写真を送った。


「あー!ここって最近人気だよね!って……あれ?他の三人の顔が見れないし、二人女子いない?」


「顔は一応プライバシーだから隠してある。あと、言わなかったっけ?男女二人ずつで遊びに行くって」


「言ってないよ?てか女子って誰?」


少し妬いてるようにも見える翠を見て陽輝は温かい気持ちを感じていた。なんとも言えない、満足感とでもいうのか、妬いている翠を見て安心していた。


「女子?結奈と笑美だけど多分知らないよな?同じ学校じゃねぇし」


補足だが、笑美は杉浦のことである。


「下の名前で呼んでるだ……へぇー。ねぇ、陽輝、これは浮気でいいのかな?」


先程までは妬いていた翠だが、今は泣きそうな顔をしていた。彼氏が急に女子と遊んできた写真を見せられて最初は女友達と考えていたが下の名前で呼んだことでさらに親しい仲と勘違いした。


「浮気の定義がわからんが……とりあえずごめん。写真見てくれ。これも受け取ってくれ」


謝れたことでさらに泣きそうになる翠だったが、送られてきた写真を見て、完全に泣いてしまった。ただ先ほどとは違う理由でだ。


「良かった……よかったよぉ……浮気じゃなくてよかったよぉ……」


ソファに座っていた陽輝に飛びつく翠。お腹に顔をぐりぐりとしながら泣いている。お陰で今陽輝の服は現在進行形で濡れている。

最後に送った写真は、女子二人が今日は私たちが借りてごめんね?と謝っている写真だ。今頃佐藤さんの方にも届いている頃だろう。


「試すようなことして悪かった。お詫びの品がそれで、今日はなんでも言うこと聞くよ」


「……なんでもって今言ったよね?本当に?」


陽輝のなんでも、という言葉に反応した翠は、先程まで泣いていたことが嘘のように思えるほど獰猛な目つきをしていた。そしてそれを見た陽輝は、今日は大変だ……と悟った。


「服も嬉しいよ?だけど……今日は不安にさせたんだからさ、ちゃんとうちのことを好きだって証明してくれるよね?」


「……何をすればいいんですか、翠様。明日部活お互いありますから、なるべく影響が出ないように……」


「今日は寝かさないでね?たっぷりうちのことを愛してよ……なんでもって言ったもんね!」















「悠真……お前は平気だったのか?俺は朝の4時までは寝れなかったんだが……」


「羨ましいよ寝れて……こっちはNO睡眠だったよ……今日は辛いなぁ……」


次の日の部活は、目の下に隈を作ってげっそりとした顔で陽輝と悠真は顔を出し、監督に怒られながら練習をしたとか……。

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