第42話 残念だな(笑)
あっという間にテストまで時間は過ぎていき、気づいた時にはテスト一日目、二日目とテストを受けていた。
俺たち四人は、翠を除いた三人は楽々とテストを受けていったが、翠だけは毎日苦戦しながら受けていて、一日終わるごとに顔色が悪くなっていった。
テスト二日目と三日目の間に日曜日があり、三日目と最終日の四日目の教科を詰め込むための勉強会も開かれた。場所はまた俺の家で行われた。
「わからないよぉー、助けてぇ………」「何でこの答えになるの?!意味わからない!」「あぁもう暗記できるわけないじゃん!」「もう嫌だ……やだよぉ……」「……陽輝ぃ……陽輝ぃぃ……」と、翠は苦しみながらテスト勉強をしていた。最初は何とかなっていたが後半からやつれていって、最後はただひたすら俺の名前を呼んでいた。……涙目でプリント見ながら俺の名前読んでたのはなんかシュールだった。
まぁ俺は勉強を見ていたわけではないが、鬼教官と化した佐藤さんはやばかった。
特製プリントを大量に作って、一定量終わるまでは休憩を取らせない方針で勉強を見ていた。翠がわからないと言えばすぐに解説をして理解させ、文句を言いはじめれば説教が飛ぶ。
丸々一日使って行われた勉強会はとても有意義に行われたと思う(翠にとっては)。俺と悠真はただひたすら無言で説いてただけなので普段と変わらなかったのだが。
そんなこんなでテスト三日目と四日目も終えて、テスト返却日兼順位発表の日がやってきた。
付き合い始めた日から四人で毎日登校しているので、今日の話題はテストの話をするのは自然な流れだった。
「テストどうでしたか?翠ちゃん」
「ん、俺も気になるわ。赤点回避できたか?」
「僕も聞きたいな」
聞いてみるが、顔を青ざめたまま翠はただ首を横に振るだけだった。
そして口を開いて、
「最終日の英語……記号で答える問題だったからもしかしたら記号ずれてるかも。全部といたのに空白が一個残ってたし……」
あぁ……英語か。先生が筆記させるのは可哀想だよねーーと言って記号でしか書かせなかったテストか。ただあれ問題のレベルがどんどん上がっていくんだよな……最後の問題なんか某有名大学の入試にでた問題だったしな。
それにしても記号ズレって……一番辛くないか?
「もし記号がずれ———『何で最後に見直しをしなかったのですか!あれほど言ったのに……』」
慰めの言葉をかけようと思ったが佐藤さんが怒っているのでとてもじゃないがかけられる雰囲気では無くなってしまった。
「だって難しくて解く時間がなかったんだよ?しょうがないじゃん」
「それでも見直しはするべきですよ……はぁ……赤点じゃないといいですけど」
「まぁまぁ、それはテスト見てからって事でいいじゃないか。今回は僕と陽輝の勝負もあるんだし」
日曜に勉強していたときに、前半のテストはかなり手応えがあったので勝負を挑んだ。悠真は負けるとは思ってないのか、普通にOKをしてくれた。勝者に敗者は何か奢る、という条件だったが。
「今回は俺が勝つだろうから帰りになんか食いに行こうぜ」
「そう言って今まで一度も勝った事ないよね。だから今回も僕が勝つから、夕飯でも奢ってね」
悠真の言う通り俺は一度も勝ったことはない。ただそれは中学の話である。
「ま、そろそろ学校着くし、貼り出されてる順位見て俺の勝ちを証明しに行こうぜ」
「僕の方が順位は上になるのを見に行こうか」
二人で盛り上がって先に行こうとするのを見て佐藤さんが一言。
「……私が一番なことに変わりはないのですけどね……」
「「それはないない。絶対ないから(だろ)」」
佐藤さんも頭はいいだろうけど、流石に一位は取れないだろ……そう思っていた。
学校に着いて、昇降口に貼り出されている順位を見に行く。そこに貼り出されていた順位は———
「やりましたよ翠ちゃん!一位ですよ!」
「……小珀って凄いね。一位に教えてもらってて赤点とかとってたらどうしよう……」
「くっそ……二位かよ。しかも結構大差じゃねぇか。でもまぁ……悠真くん?今のお気持ちは?」
「……陽輝に負けることなんて一生ないと思ってたよ。はぁ……」
悠真は三位、二位を俺が取り、一位は佐藤さんだった。俺と悠真の点数の差はほんの少しだけだった。どちらが勝ってもおかしくない程の僅差だったが、佐藤さんは圧倒的だった。
「まぁ俺が勝ったので、今日は悠真の奢りで食べに行こうな?」
「そうだね……あぁもう悔しいな!」
佐藤さんには負けたが、悠真には勝てたので良しとしよう!しゃぁぁ!
余談だが、翠は見事に回答欄をずらして書いていたため英語だけ赤点を取っていた。……まぁどんまい。あとで佐藤さんに怒られてしまえ。
読んでいただきありがとうございます
点数ですが、一応10教科と考えて次のような点数を陽輝たちはとってます。
悠真……967点、陽輝……969点、佐藤さん……997点、翠……598点
まぁ佐藤さんは凄いですね笑
赤点は30点以下となりますので、回答欄ズレてなきゃ翠は赤点回避は余裕でした。
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