第41話 意外な事実
「なんで俺まで怒られなきゃいけねぇんだよ」
「「ははは………」」
時刻は昼休み。テストも近いのに授業に出れずに少し俺の機嫌は悪かった。
成績は良い方だが、未だ一度も悠真や佐藤さんには勝ったことがない。だから普段の授業で要点を理解しつつ問題を解いてテスト対策したかったのだが、今日はそれができなさそうだった。
受けれなかった授業も何気に大切な所があったりする。
「災難だったね……って言うしかないよね」
「うちのほうはそんなに酷く無かったし、このクラスの男子ってバカ多いよね」
ちなみに今日のお昼は三人だ。佐藤さんは違うクラスの友達と食べることも多い。まぁ悠真にべったりっていうのもどうかと思うしな……。
「この学校自体バカが多いと思うぞ。ただそのバカ達は運動面では良い成績収めてたりしてるんだよなぁ」
反省文を書かされているときに、担当の先生と少し話をしたときに聞いた(愚痴みたいに聞かされた)。
ここ数年、リア充を見ると暴れる生徒に限ってスポーツで全国大会を決めたり、県で優勝、選抜に選ばれたり……なんてことが多いらしい。
もちろん普通に過ごして、部活に積極的に取り組んで良い成績を残す者もいるのだが、品行が悪い生徒の方が成績は良いのだとか……。
だから学校では頭を悩ましている……と話を聞かされた。
俺のクラスにもいるらしい。名前は知らないが、小川や岡野と仲が良いやつで、中学時代にテニスで全国出場をしていて、テニス部唯一の一年でスタメンだそうだ。
だからこそあまり説教などで授業時間を潰したくないと教員側は思っているが、あまりにも今年の一年生はそういったことに過激で説教せざるを得ないのだとか。
何故か俺も含まれていたのはおかしいだろう。俺は被害者なのだから。
「うちらのクラス凄い人多いって知ってる?」
「凄いっていうのは、スポーツ面でか?」
「そうそう。よく陽輝を追いかける生徒いるでしょ?って言ってもたくさんいるからわからないね……えっとね、なんかこの人やばいって思った人いない?」
「それなら……今あそこで飯食ってるやつの片方だな」
そう言って俺が指を指したのは教室の一番端の前の席で仲良く話しながら飯を食っている男子二人組の髪が短いほうのやつを指した。
「あの人も凄いらしいよ。名前は沖田って言って、陸上の短距離の方で中学校のときかな?二〇〇メートル走の県一位、全国三位とかって聞いたよ」
え?俺楽々とは言わないが逃げきれるのだが?まぁ校舎とか色んな所を使って逃げるからなのかもしれないが。
「凄いんだな。他にいたりするのか?」
「えっとね……」
その後も翠から話を聞き、たまに悠真からも聞きながらお昼休みは終わった。
◇ ◇ ◇
「お邪魔します……」
学校が終わってうちは小珀と一緒に小珀の家に向かった。テスト勉強をまた見てもらうためだ。
何か忘れている気もするけれど、そんなことを気にしている余裕はない。中学校の時からテストは毎回危ない。周りに教えてもらってなんとか赤点を回避し続けて来た。赤点を取れば補修となり、部活には出られなくなる。そうなれば怒られるのは絶対。それだけはなんとしてでも避けなければならない。
「ちょっと汚いかもしれませんが……」
「全然綺麗だよ……うちの部屋に比べたら」
うちは整理整頓はあまり得意ではない。部屋が汚いという自覚はあるけれど、掃除ができない。未だに親に頼んで綺麗にしてもらってる。
その汚部屋に比べたら小珀の家(黒木くんの家でもあるけれど)はとても綺麗だ。家具の紹介をする某有名店のCMのように綺麗に整えられている。
物が散らかっているわけでもなく、本当に綺麗な家だった。
「流石に翠ちゃんの部屋よりは綺麗ですが、普段よりは汚いんですよ……」
「うちの部屋はしょうがないでしょー。うちが綺麗にできないんだから」
「まぁとりあえず上がってください。リビングで勉強しましょうね」
「今日もお願いします……」
リビングで勉強を始めてから三十分ほど経った頃、玄関の開く音が聞こえた。
「ただいま〜。……谷口さん、陽輝は?」
帰ってきたのはもちろん小珀の彼氏の黒木君だ。……やばい。陽輝を呼ぶの忘れてた。
「あっ!……ごめん、呼ぶの忘れてた……」
「んー、まぁいっか。陽輝いたら勉強しなさそうだし。このまま三人でやろっか」
「私もそれでいいと思います。翠ちゃんもそれでいいですよね?」
何故か小珀から圧を感じた。ちょっと怖い。……陽輝いないのは寂しいけど、教えてもらう立場なのはうちなので素直にいうことを聞く。
「うん、それでいいよ。分からないところはどんどん聞くね!」
こうしてうちは勉強に励むことにした。
遅れてすいません。テスト期間などと被って執筆する時間が取れませんでした。
誤字脱字ありましたら報告お願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます