第39話 見せつけよう
すいません。予約投稿忘れてました。
翌日、俺は寝坊してしまい陽奈に怒られながら家を出た。待ち合わせの時間に間に合うかわからないからだ。
「お兄ちゃん!いい加減起きて!遅刻するよ!」
最初はなに言ってんだよと思っていたが、昨日翠に明日迎えに行くと、約束していたのを思い出して飛び起きる。時計を見れば、もう七時を過ぎていた。
「やべぇ!陽奈、朝飯は?」
「わたしが代わりにやっておいたから早く食べて迎えに行ってきて!」
「何で知ってんだよ」
「お兄ちゃんの昨日の顔から読み取れるからだね、早く行ってきなよ!」
出来た妹だけど、時々凄すぎないだろうか?
そんな訳で現在走って翠の家に向かっているわけだ。家を出たのは二十五分。普段なら五分前とかには着くようにしている俺からすれば遅刻も同然だ。
翠の家に着いたのは三十一分。一分遅れたが、家の前には翠はいない。昨日、時間までには家の前にいると連絡が入っていたのだが……。
待つこと五分。ガチャ、という音とともに髪がボサボサの翠が出てきた。
「ごめん!待った?」
「いや、さっき来たところだ。誰かと同じで寝坊したからな」
待ったと言わないのは当たり前のこと。だが待たされたのは事実なのでからかう。
「何でうちが寝坊したって決めつけるの!」
「そりゃお前……そんなボッサボサの髪で焦ったように家から出てきただろーが」
「うっ……楽しみにしてたら寝れなかったの!」
上目遣いで睨みつけてくる翠。……うん、可愛い。
「これから基本毎日一緒に行けるだろーが……ちょっと失礼するぞ」
「うん……って、え?」
ボサボサの髪を手櫛で、少しずつ整えていく。悠真達には悪いが、どうせ遅れるなら翠の髪を整えてから行きたい。ボサボサなのはちょっとな。
指を入れて抄くと、さらさらの髪の毛が指の間を通る。肩までの長さの髪はさらさらとしていた。結構陽奈の髪も整えたりしてきたが、女子の髪ってなんでこうもさらさらなんだろうな……。
「ふぇ……ん……なんか手つきよくない?」
顔を赤くしながら翠が言ってくる。少しだけ息も上がっているような……。
「昔に結構陽奈の髪の毛弄ってたからな。小学校低学年あたりまではずっと俺が整えてたからな。三つ編みとか、編み込みとか結構できるぞ。そんなわけで慣れてるっていうのもある」
「そっかぁ……じゃあうちのも整えて?」
「言われなくても整えるつもりだ。ボサボサなまま登校させられねぇよ」
いや可愛いよ?ボサボサの翠だって悪くないけどさぁ!でもやっぱ普段の翠が一番だろ?
「ちょっと恥ずかしいかな……ボサボサなのは。それより、時間は大丈夫なの?少し遅れてたりしてない?」
「あーいまさらだろ。連絡は入れてあるから大丈夫だ。……こんなもんで平気だろ」
酷い寝癖とかは無かったのですぐに整えられた。普段の翠に戻った。
「ありがと!それじゃあ急いでいこっか!」
「そうだな……って、何故手を繋いだ?」
左手をつかまれる。……これから学校なんだが?どうなるか考えようぜ?
「だって付き合い始めたんだし、憧れてたんだよねー!彼氏と手を繋いで登校するのって。……ダメ?」
「いやダメじゃないが……隠そうとか思わないのか?」
本当はダメです。これ見られたら死ぬ自信あるからな。でも翠には待たせたし心配もかなりかけたからこれくらいはしてやらないとな。……でも明日、俺学校いかんのかな。
「別に思わないけどねー。陽輝ならそこそこ人気あるしうちも告白されることは無くなると思うしメリットしかないからね!……自慢もしたいし」
「そうか……」
二人の間に流れる気まずい空気。お互い恥ずかしがってるからな……。打破しないと。
「……とりあえず行くか。ちゃんと俺のものだぞっていうアピールを含めてな」
「……!うん!いこっ!」
繋ぎ方を変えて悠真達が待っている場所に向かう。
隣で嬉しそうに歩く翠の横顔は整っていて可愛い。どこか幼さを残しつつもパーツは整っている。
そりゃ人気もあるよな……クラスで一番人気なんだから。
取られないようにしねぇとな……と決意した。
読んでいただきありがとうございます。
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