第34話 勉強会

誤字を修正いたしました。







 四人が揃ってから始まった勉強会は、午前はスムーズに行われた。俺と佐藤さんが作ったテスト対策プリントを翠は一生懸命解き、その間、俺は自分の不安な部分の勉強を行い、わからなければ悠真か、佐藤さんに聞いて自分の勉強も進めていた。


 悠真はテスト対策は済んでいるっぽく予習中心で勉強していたり、佐藤さんも自分の勉強よりは翠のためのプリント作りなどをしていたが……。



「お腹空いたよー!もう疲れたー!ねぇ陽輝お昼ご飯は?」


 時計を見れば十二時半。よくここまで翠が集中できたと思う。途中唸ったりしていたが。


「僕もお腹減ったから、何か作って欲しいんだけどー」


「うるせぇ悠真。俺の手料理なんかそんな良いもんじゃねぇよ。何かデリバリーでも頼むか?」


 俺の手料理を男が欲しがるってなんだよ。普通彼女の手料理が食べたいって言うところだろ。


「紅島くん。食材さえあれば私が作りますよ?」


 わざわざ手料理を作ってくれるのか?女神かよ。


「作ってくれるのか?それなら冷蔵庫の中の物勝手に使って良いぞ。調味料はあそこにあるから。あと何か聞きたいことがあるなら随時聞いてくれて構わないから」


「わかりました!じゃあリビングで待っててください」


「小珀が作るなら僕は手伝うよ」


 俺と入れ替わるようにしてキッチンの方にきた悠真。


「べつに休んでていいんですよ?ゆうくん」


「小珀が休まないんだから僕も休まないよ。さ、ちゃちゃっと済ませよっか」


「そうですね……じゃあ———」


 この後、俺と翠は悠真達の新婚さんっぽさを見せつけられた……。翠は羨ましそうな目で二人をずっと見ていたが、俺は甘々な雰囲気に侵され無性にしょっぱいものが異常に欲しくなった。


 あんな光景見せつけられたら胃がもたねぇよ……。


 むかついたので、何枚か写真は撮り、今度クラスメイトにでも見せつけようと決めた。



 ◇ ◇ ◇


「んんーー!めっちゃ美味しい!小珀の手料理美味しすぎるんだけど!」


「このクオリティ……店で食べるのより美味いな」


「いつ食べても小珀の料理は美味しいね」


「少し手を抜いたのでもしかしたら美味しくないと思ってたんですけど、よかったです!」


 一時頃。佐藤さんは俺が作ったことのない料理を次々と完成させて、四人で食べていた。


 チャーハンとかすぐに作れるものだと思っていたのだが、目の前に置かれている料理は名前もわからなければ作り方もわからない。ただ言えるのは凄く美味い。この味のクオリティの高さで手を抜いているとは……


「佐藤さん。今度でいいからこの料理の名前と作り方を教えてもらってもいいか?」


「私で良ければ!」


「……うちも料理作れた方がいいのかな」


「まぁ谷口さんは気にしなくていいんじゃない?料理なら陽輝が作ってくれると思うし……」


「うんそうだね……ってどーゆうこと?!」


「なぁそこの二人。もう料理なくなるけど平気か?二人で話すのは別にいいんだが……」


「ゆうくんと楽しそうに……狙ってませんよね?」


「「それは絶対ないから」」


「ならいいんですけどね?」


「……無視するんだったら俺がちゃんと食べるわ」


「待って陽輝!うちはまだ食べるって!」


 こんなふうに過ごしたお昼の時間はとても楽しかった。午前中勉強したことをかなり忘れてるのかもしれないが、気分転換にはなったのではないかと思う。




 ◇ ◇ ◇


「もう限界だよー。なんで三人はそんなに集中できるのー?」


「僕は予習してるだけだから気軽に?」


「私は翠ちゃんのためのプリントを復習しながら作ってるだけなので……」


「俺は……まぁなるべく好成績をとって指定校を取りたいからな。そのためなら別にテスト期間ぐらいならなんとも?」


「勉強できるからって……羨ましいー!」


 お昼を食べ終えてから早二時間。翠の限界が来たようだ。息抜きでもさせるか……。


「なぁ翠。ちょっと外行ってパスでもしないか?軽い運動はストレス発散にもなるし」


「陽輝とパスするー!早く外に行こっ!」


 手を掴まれて玄関の方は引っ張られる。


「ボールが部屋にあんだよ。先に外に行ってていいぞ」


「じゃあ先に行って準備運動を済ませておくね!」


「いやそんなガチでやるわけじゃないぞ……」


 やる気満々の翠が、外に行くのを見てから部屋に戻ってボールを持ってくる。靴を履いて外へ出る。


「……いきなりだったね」


「……そうですね。とりあえず私たちは勉強しましょうか」


「うん……そうだね。それにしても本当にお似合いだよ」


 二人の会話は聞き取れなかった。















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