第33話 え?翠ってそんなバカ?



三人で計画を立てた日の夜に翠にはメッセージを送り、オッケー!と書かれているスタンプが返ってきたので日曜日に勉強会をすることに。


あっという間に一日が過ぎ、気づけば日曜日になっていた。


今日からテスト期間ということで部活はない。ただ、身体に染み付いた早起きの癖はそのままだ。


朝起きて時計を見ればいつもと同じ時刻。とりあえず、朝ごはんを作って陽奈と食べる。



 

◇ ◇ ◇



「お兄ちゃん、勉強頑張ってね!」


陽奈は俺の家で勉強会をすると伝えたら、「じゃあ私は友達の家に行ってくるね!」と言い、一日中遊ぶことになった。別に陽奈がいても問題はないのだが、多分陽奈からすれば居心地は良くはないのだろう。


「ん、せんきゅー。あ、これ持ってけ」


友達の家に行くということなのでちょっとしたお菓子代を渡して見送る。


「こんなにいいのに!……でもありがとう!」


大切に財布の中にしまって、「じゃあ行ってきます!」と元気よく言って遊びに行った。……野口さん三枚って多かったのか?



三人が来るのは十時頃。今の時刻は八時半をちょっと過ぎたぐらいだ。


とりあえず部屋の掃除を済ませる。女子が来るので、普段より細部までしっかり掃除をした。


次に俺と陽奈の服を仕舞う。陽奈の服は陽奈の部屋のベッドの上に置いておけばいいので、先に陽奈の服を畳んでまとめる。


俺の服もまとめ、リビングはそれなりには綺麗になった。まぁ、このぐらいにしておけば文句は言われないだろう。



綺麗になったところで茶菓子や飲み物の準備を済ませておく。今日買ってきたお菓子類を見栄え良く用意し、飲み物の方はしっかり冷やしている。


と、インターホンが鳴った。時計を見るがまだ9時半。不思議に思い画面を見ると映っていたのは佐藤さんだった。


「すみません。少し早く来てしまって……上がってもよろしいですか?」


「おう、構わないぞ。今から玄関に行く」


佐藤さんだけはまだおれの家に来たことはないので、出迎える。


「こんにちは。早く来ても大丈夫でしたか?」


「まぁ平気だな。とりあえず家に上がってくれ」


「お邪魔します……綺麗ですね。ゆうくんの家と大違いです……」


家に上がって、まず言われた。そこまで綺麗にしているつもりは無いが、綺麗と言われて嫌な気持ちはしない。あと、ゆうくんって……悠真か?可愛らしいな。


「ゆうくんは掃除が苦手なんじゃないんですかね?佐藤さん」


「ふぇ?あ!私、さっきもしかして……」


「ゆうくんって可愛らしいよな?今日はからかってやろっと……」


「やめてください!私が言ったのが悪いですけど!お願いですからゆうくんには言わないでください!」


「どーしよっかなー?」


からかう俺に対して焦る佐藤さん。たまにはからかってもいいだろう。悠真もからかってやる……


「いつもと雰囲気が少し違う……なんだろう……何かあったのでしょうか……」


「ど、どうかしたか?俺がからかいすぎたのは悪かったから……」


さっきまで焦っていたのに、今の佐藤さんは神妙な顔をして何かを呟いていた。……からかい過ぎたのか?


「い、いえ。なんでもないです。それより先に勉強始めてもよろしいですか?翠ちゃんのためのテスト対策プリントを……」


「え、そんなにあいつやばいの?」


「……やばいですね。よく私たちの高校に受かったと思ってます」


まぁ普段何かしら聞いてくる時点でそんなに頭がいいとは思ってはいなかったが……


「私と翠ちゃんって親同士が仲良くてよく遊んでたんですよね。それで他校でしたけど仲良くて。たまに一緒に勉強したりしたこともあるんですけど……」


「壊滅的だったと……」


「はい……多分部活の成績が無かったら落ちてたと思いますよ」


「そんなに悪いのか……」


今日の勉強会は翠のためにみんな頑張るのか……まぁ俺も翠に頼まれたからからな。


「……俺も手伝う。佐藤さんは何の教科の対策プリント作るんだ?」


「ありがとうございます!私は英語と地理をまず作ろうかと」


「なら俺は数学と生物をまず作るわ」


「よろしくお願いします」




◇ ◇ ◇



インターホンがまた鳴り、時計を見れば十時十五分。少し遅れているが、残りの二人が来たはずなので対策プリントの作成を一旦止め、玄関へ向かう。

ちなみにだが、佐藤さんは英語、地理に加え、歴史、物理の対策プリントも済ませ、現在古典のプリントを作成中だ。



「遅れちゃってごめんねー!色々準備しちゃってたから!」


「僕もごめんね。今日は少し寝坊して……それより、小珀いる?起きた時にはいなかったんだけど……」


……まぁ同棲してるのは知ってたさ。でも……やっぱりムカつくよな?


「気にしなくていいぞ。さ、家に上がってくれ。それと……なんか悠真ムカつくから山崎経由でクラスの一部に佐藤さんと遊んでたってデマ情報流すわ」


「おじゃましまーす!」


「ちょっ、陽輝?なんでそんなことを……」


翠は元気よくリビングへ向かっていった。……悠真、自分のしてることがわかってねぇのか。


「うるさい同棲野郎。早く勉強すんぞ。佐藤さんはかなり前から来て勉強してんだから」


「僕も起こしてくれればいいのに……(陽輝の雰囲気がいつもと違う?)」


「なんで言ったかわからねぇけどとりあえず自分で起きろや。ほら、さっさと勉強しようぜ」


「あ、あぁ。そうだね。(……昔みたいだ)」




メンバーも揃ったし、やっと勉強会の始まりだな。



















読んでいただきありがとうございます。

まだ新しい携帯に慣れておらず、執筆時間がかかってしまい毎日更新には戻せそうにないです。

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