第26話 写真


 *翠視点


 近くにコンビニがあったのでそこで冷却シートとアイスを買って陽輝の家に戻る。平日の昼間なのであたりに子供の姿は見当たらず静かだった。


 陽輝の部屋へ行くと、ぐっすりと寝ていた。薬の効果が効いているようだった。さっきよりは顔色も良くなっていて、ほっとした。


 さっき買ってきた冷却シートを貼り、陽輝を見ていた。


「こうしてじっくり見れば、かっこいい……」


 まじまじと陽輝の寝顔を見て呟く。思春期の男子なのに顔は綺麗で、鼻も整っている。顔をじっと見ていたら、ついついほっぺに触りたくなった。


「ちょっとならいいよね……」


 つんつん、としてみる。陽輝に変化はなかったが、楽しくなってきた。


 あまり良くはないことだと気付いて、やめる。……何しよっかな〜と思って周りを見ると、一枚の写真が飾ってあるのに気がついた。


「なんだろ……これって」


 飾ってある写真を手に取り見る。

 小さい子供が三人映っている写真だった。真ん中に陽輝っぽい男の子がいて、右隣に優しげな雰囲気の男の子。そして左隣に、昔の私と思われる女の子がいた。


 優しげな雰囲気の男の子を、見て、なにかが引っかかった。どこがで会っている気がする。


 ———悠真は俺の幼馴染。


 いつだったか陽輝が言っていた。幼馴染っていうぐらいなのだから、昔からいたはず。そしたら、多分この男の子は黒木くんだろう。


 きっとこの写真は、うちと陽輝と黒木くんが仲良く遊んでいたときに取られた写真なんだ。


 もしかしたら、黒木くんは


 明日にでも聞いてみようかな……と考えていたら陽輝がこちらを見ていた。


「どうかした?あ、アイス買ってきたけど食べる?」


「あとで食べるわ……冷凍庫にでも入れといてくれ。それと………手に持ってる写真気になったのか?」


「う、うん。陽輝の小さい頃の写真だからね。可愛らしいねー」


「可愛くなんかねーよ……その写真、翠と話したあの日に見つけたんだ……不思議だよな、翠と関わる度にあいつが夢に出てきたりするんだ……」


 風邪を引いていて辛いはずなのに、どこが穏やかな雰囲気を漂わせて話す陽輝を見て、うちも話そうか迷った。


 だけど、今、言うことじゃない気がする。陽輝も本調子じゃないし、黒木くんの方にも話は聞いておきたい……。


 だから、うちは知らないふりをする。


「うちの陽輝は、似てるからじゃない?お互い初恋を引きずってさ……」


「そうかもな……俺の方はもう平気だから、帰っていいぞ」


「じゃあ一旦帰って、夕方にまた来るね?具合が半日で良くはならないし、陽輝の家ってお母さんいないんでしょ?うちがご飯作ってあげるよ」


「いや、寝れば平気になるから———」


「そんな根性論は聞かないからね!ちゃんと栄養をとってちゃんと休む!だから夕飯は作るから!」


「………じゃあ頼む。あとで金払うわ」


「りょーかい!じゃ、ゆっくり休んでてね」






 *陽輝視点



 翠が出かけてからすぐ寝てしまい、目が覚めたときに見たのは飾っていた写真を翠が見ていたところだった。


 翠が手に持っている写真は、翠と話したあの日の夜、閉まっていた部活用具を押入れから引っ張り出してきたときに見つけたアルバムから出てきたものだ。


 あの写真以外、三人で映っている写真は無く、あいつとのツーショットもない。あるのは悠真との写真ばかり。


 中が良かったのだから写真ぐらいあってもおかしくはないと考えているのだが、まぁ何かあったのだろう。


 それより、翠に話さないと……と思っていたら翠から話しかけてきた。


 話しかけてきたので、返事をして写真のことで少し話す。……話していて、ふと思った。何故か翠とよく関わる日に限って夢を見ることに。


 翠に話すが、似たもの同士だから、といわれ、納得した。


 俺たちは境遇が似ている。だからこそ何か感じるものがあってその影響を受けて夢を見るのだと。


 何か言いたそうな顔をしていた翠には気付かずに。


 翠にはお世話になりすぎたので帰って貰おうと頼んだのだが、また来るね!と押し切られた。


 とりあえず一度帰っていったが……陽奈も夜は家にいるしなぁ……と考えながら眠ることにした。










携帯が割れて執筆しづらいのと、明日から学校が一日となるので慣れるまでは三日に二回投稿する、というふうに変えます。学校に慣れて携帯が治ったら一日一話投稿に戻しますので、それまではすみません……



 読んでいただきありがとうございます。……終わらそうと思ったのですか、もう一話だけ!


 誤字脱字等ありましたら、報告していただけると助かります。

 フォロー、応援をしてもらえるととても嬉しいので、是非!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る