第9話 何で俺が合コンに

 土曜授業のため午前で終わり、クラスメイトが部活に行くなか、俺は悠真と家に帰り(途中で襲撃者クラスメイトに遭遇したが)筋トレをしていた。まぁ、月曜からは悠真と部活に出るつもりなのである程度鈍った身体を治しておきたい。

 ただ、いきなりやり過ぎても良くないので少しずつ負荷をかけながらやっていたのだが


 ピーンポーン、ピーンポーン、


 とチャイムが鳴った。


 俺の自慢の妹は友達の家で遊ぶと言って今いない。なので、とりあえずモニターを見ることに。そこに映っていたのは俺を襲うクラスメイトの一人である山崎だった。


「何で俺の家を知っているのかまず聞いていいか?」


 相手をしないのは流石に可哀想なのでとりあえずモニター越しだが話しかける。


「それは黒木に聞いたぞ!なぁ陽輝は、今日の夜空いているか?」


「なるほどな。で、今日の夜は空いてないことはないんだが……」


「じゃあ、来て欲しいところがあるんだよ!今日合コンをやるはずだったのに一人来れなくなってさ、人数が合わないんだよ。お前、顔は悪くないから来て欲しいんだ!」


「断る。俺にメリットがない」


「そんなこと言わないでくれよ!俺達友達だろ?」


「ふざけんなぁ!お前らはいつも俺を殺そうとしてるのにこういう時だけ友達呼ばわりかよ!」


「まぁ、気にすんな。それより、来てくれるならお礼はするからさ、頼むよ!」


「女子のメンツは聞かないから、男子のメンツの名前だけでも教えろ」


「俺と、鈴木と、水間だ」


「やっぱり行くのやめていいか?俺、いつもそいつらに襲われてるからさ」


「俺が何とかするから頼むよ!今度なんか奢ってなるからさ!」


「ったく、しょうがねぇな。場所と時刻は?」


「サンキューな!場所は駅の近くのファミレスでいいって女子が言ってくれてな、時間は部活終わってからく来るやつもいるから七時半からだ!」


「あんま長居は出来ないかもしれないからな」


「来てくれるだけ助かるよ!じゃあ夜にな!」


 はぁ……やっと帰ったか。にしても、合コンとはな。他の二人の為にも恥をかくような格好だけはしないようにするか。

 とは言っても、服装のセンスがあるのか、と言われれば自信を持ってある!とは言えない。なので、俺を巻き込んだ元凶にでも聞くか。


「もしもし?どうしたんだい?」


「どうしたじゃねぇよ悠真。お前のせいで巻き込まれたじゃねぇか」


 御察しの通り、相手は悠真だ。


「いや、ごめんよ。彼等が今度って言ってたから早めに女子の方は教えたんだけどね?まさか今日あるとは思ってなかったし、欠席者が出るとも思ってなくてね。僕としては陽輝に新しい恋を見つけて欲しいのもあるから紹介しちゃった」


「俺はあの子以外に興味ない。……まぁなんか今度奢れや。で、俺は服装のセンスに自信がないからとりあえずこれから俺が自分なりで選んでみるからそれについてアドバイスでもくれないか?」


 悠真は佐藤さんと付き合い始めてから恥をかかせないようにファッションの勉強をしるので、こいつに頼めば問題はないだろう。


「そのくらいはしないとね。じゃあ、今からそっちに向かうね」


「おう。頼んだわ」










「ねぇ陽輝。ジャージは無いよ。流石に」


「何でだ?楽でいいじゃないか」


「仮にも合コンなんだからお洒落したら?」


 そうは言われても、出かけるときはジャージだからなぁ……。それ以外にも服は母さんが良く買ってきてくれるのであるのだがどうも着る気にはならない。


「はぁ……僕のせいでもあるからね。ちょっとそこに立ってて。クローゼットは陽輝の部屋だよね」


「良く知ってるな」


「何年の付き合いだと思ってるんだい?じゃあ少し待ってて。選んでくるから」



 待つこと十五分。満足そうな顔をして俺の部屋から悠真がでてきた。


「このパンツとスウェットを着て、夜寒そうだなって思ったらこのガーディアンでも着れば平気だと思うよ。とりあえずパンツとスウェットは今着てみて」


 そう言われて渡されたのは、キャメル色の長ズボンにライトブルーのスウェットにグレーのカーディガンというものだった。……長ズボンってパンツっていうものなのか。


「わかった。ちょっと待っててくれ」


 親友なので目の前で堂々と着替える。……これでいいのか?


「やっぱり似合ってるね。これならカッコいいよ。うーん、ネックレスとかワックスってある?」


「一応家にあるぞ。こんなものでいいなら」


「それなら付けて行ったほうがよさそうだね。それを付けて……ちょっと髪の毛いじろっか。ちょうど今長いから印象変えないとね」


 部活をしていた時は邪魔にならないようにスポーツ刈りをしていたが、引退してからは一回しか切ってなかったので前髪が目にかかるぐらいには伸びていている。切りに行かないとなぁ。



「ちょっと失礼するよー」


「あぁ?何してんだ?」


「今ワックスで髪の毛いじってるんだよ。もうちょっと待ってね……こんな感じでどうだい?」


「これ、俺なのか?」


 鏡の前に立って自分の姿を見ると、そこには自分でいうのもなんだがかっこよくなった俺がいた。全体的にぼさついてた髪を整えて前髪を右に軽く流すだけでこうも変わるとは……

 お洒落ってすげぇな。


「うん、かっこいいね。これなら大丈夫だと思うよ」


「ありがとな。正直ここまで良くなるとは思ってなかった」


「ちゃんとすれば陽輝だってかっこいいんだよ。まぁ今日の合コン楽しんできてね?」


「まぁ、ここまでしてもらったからな。あいつらのサポートしてくるさ」













「なんで陽輝くんがいるの?!」

「そりゃこっちの台詞だ。なんで翠がいんだよ」



 山崎に言われた通りにファミレス前に行くと、翠がいた。

 なんでだよ。















 読んでいただきありがとうございます。

 次回はちょっとふざけたりするかもしれません。

 誤字脱字等何かありましたら報告してもらえると助かります。

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