第2話 佐藤さんの相談
放課後。無事に生き延びた俺は五時間目休みに佐藤さんから届いたメッセージを元に集合場所へ向かっていた。
学校から歩くこと五分弱。ついたのは喫茶店だった。
中へ入ると、こっちです!という声をかけられた。奥の席に佐藤さんが座っていた。
「すまん。待たせたか?」
「私もほんのちょっと前に着いたばかりです」
「そうか。じゃ、早速話を聞こうと思うんだが……その前に軽く注文でもしていいか?」
「私も少し喉が渇いてるので先に注文でもしましょうか」
「で、俺に話があるってどうした?」
頼んだコーヒーを飲みながら佐藤さんに聞いた。佐藤さんの顔色は少しくもっているように見えた。
「実は、最近悠真くんがよそよそしいというか……何か隠し事をしているような気がして……」
佐藤さんは、ここ最近悠真の様子が少し変と思っているらしい。俺が見てる限り変なところなんてないんだがな……。
「最近何かあったりとかはないんだろ?」
「特にはないです……だから心配なんです。高校入ってから変だと思い始めたので……」
彼女の佐藤さんが変というのだから俺には気づかないところでいつもの悠真じゃないのだろう。原因があれば対処できるのにその原因がわからないのだから不安なのだろう。
朝の光景を思い出す限り上手くいってないとかはないはずだ。……さっぱり分からん。
「とりあえずちょっと変……みたいな感じなんだろ?悠真は佐藤さんには隠し事とか滅多にしないと思うから俺は今は悠真のことを信頼して待つべきだと思うぞ」
「そうですよね……私、悠真くんを信じます!」
「それでいいと思うぞ」
佐藤さんは話す前に比べて元気になったと思う。力になった……はずだ。
その後は悠真のクラス内での様子や、悠真を狙っていそうな子はいるのかとか、惚気話をちょっとされたりした。
「今日はありがとうございました!」
日がかなり沈んできたので会計を済ませ、佐藤さんを家まで送り届け帰路につこうとした時に佐藤さんにお礼を言われた。
「気にすんな。悠真とこれからも仲良くしてやってくれ。なんかあったら気軽に相談してくれていいからな!」
「わかりました!帰り道気をつけてください!」
おう!と一言返事をして家に帰った。
家に着いた頃にはすっかり夜になり、
「お兄ちゃん!遅い!」
と、妹の
言っとくけど、俺はシスコンじゃないからな?
「ごめんごめん。知り合いに相談されてな」
「お兄ちゃんのご飯はもう冷めちゃったから温めて食べてね!」
俺が小学三年生だったかな?父を交通事故で亡くし、母さんと俺と妹の三人家族になり、そこからは女手一つで育ててくれた。ただ忙しい時の方が多く、基本的には俺と妹で家事を担当している。母さんには頭が上がらねぇ。
「おう。食器は洗っておくぞー」
「ありがとねー!」
しっかりしているとは言え、一人で夕飯を食べるのは寂しいだろう。一緒に夕飯を食べれなかったのだからこんぐらいはしてやらないとな。
食卓に残っていたのは唐揚げと残りすくないサラダだった。唐揚げを温めなおして美味しく頂いた。うん、揚げたてじゃなくても美味しい。
どこが変なのか……そんなことを考えているうちにいつのまにか俺は夢の中に沈んでいった。
読んでくれた方ありがとうございます。
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明日の二十一時に投稿予定なのでできれば読んでいただけると嬉しいです。
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