歪な歯車
春風月葉
歪な歯車
噛み合わない周囲とのズレが私を孤独にする。心と体の軋む音、誰とも噛み合わない。それでも自分に価値を見出したくて、また回る。そうやって足搔いて、自らを削って擦り減らして他人のことも傷つけてしまう。そうやって、ただ傷だけを残した。それ以外に自分を残す方法を知らなかった。やがて周囲も噛み合わない私と距離を置くようになった。当然だ。誰だって傷つきたくはないし、傷つけたくだってないのだから。
周囲に拒まれようとも一人の歯車でありたくて、クルクルクルクル回り続けた。たった一人で回り続けた。何一つ意味のない空回りだ。
とうとう回ることにも疲れた。噛み合う誰かを見つけるまで噛み合わぬ歯車たちと回ればいいのかもしれない。しかし、私には誰かを傷つけるだけの度胸もない。ただ回って、回って、疲れて、止まって。誰かと踊れる未来を夢の中でだけ見ている。もう誰にも触れない。誰にも触れられない。一人で踊る。錆びて朽ちるまで。
誰かと触れなければ歯車は簡単に壊れない。孤独な時間は長く残酷。早く壊れてしまいたい。そう願うようになるのはとても自然だった。止まってしまった歯車はもう時間を進めない。
歪な歯車 春風月葉 @HarukazeTsukiha
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