「そしてその神話はまだ終わりません。

 現在17歳となったお二人は、

 人類初の宇宙学園の生徒に任命され、

 今また新しい神話をきざもうとしています。


 その姿は神々こうごうしくすらあります。


 この二人は今、我々われわれの想像すらとどかない

 高みに昇ろうとしています。


 我々は今、

 神話の目撃者となっているのです」



大仰おおぎょうなナレーションをうたうマスコミをよそに、

おくすることなく花道を歩む双子。



それとは裏腹うらはらにそれに続く学生達は、

形見かたみせまそうにおずおずとそれに続いていた。


それも無理はない。

15歳から入学を許された学園で、

特別すでに17歳で入学を許されたのは、

前を行く双子だけなのである。


後に続くのは若干15歳の、

少年少女ばかりなのだ。


とは言え決して無能と言うわけではない。

いやむしろ誰もがほこれるだけ優秀である。

IQ 200越えなど普通の、

世界規模の受験を勝ち残った、

その国を代表する生徒ばかりなのだ。


言うなればここにいるのは、

受験オリンピックの、

メダリストばかりなのである。


そんな猛者もさばかりだとはいえ、

前を行く双子の偉業いぎょうの前ではかすみ、

前菜ぜんさいにもならないのも事実であろう。


人間の偉業は神の偉業の前では、

かき消えてしまうものだ。


それほどこの双子の存在そんざいは特別であり、

すでに神話であった。


だが不思議とこの双子にじる者はなかった。


それはそうである。


人が神とり合おうとするだりうか?


嫉妬しっとするだろうか?


この二人はきそい会うライバルなどではなく、

ただ見上げ崇拝すうはいるだけの、

人を超越ちょうえつした存在そんざいなのだ。


生徒達の中でも、

すでにその存在は神格化しんかくかされていた。


そんな15歳の生徒30名の行進に、

フラッシュのシャワーがびせられていた。


そしてその行進が通りすぎると、

その後に続くように年少の少年少女がふたたび、

宇宙船から降りたって来た。


その姿すがたを受け、

再びアナウンサーが饒舌じょうぜつに語りだす。



「高学年30名の入場に続きまして、

 キッズ部門の入場です。


 こちらは若干13歳にして宇宙に降り立った

 12名、未来をになう少年少女の行進です。


 おさなくして親元おやもとを遠く離れ、

 宇宙に降り立った初々ういういしい若人わこうどたちの行進です」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る