安西先生、男子だけど女子高に行きたいです!

譜楽士

少年は貪欲に女子高を目指す

「はい、二者面談を始めます。立島くん、進路は決めましたか?」

「安西先生、俺は女子高に行きたいです!」

「うん、あきらめて試合終了しましょうか」

「いいや、俺はあきらめません…! たとえ男の娘と言われようとも!」

「完全にフツーの男子中学生のあなたがスカートはいたら、男の娘じゃなくてただの変態です」

「たとえ世界のすべてが俺を間違いだと言っても! あきらめちゃいけないものが絶対にあるはずなんだ!」

「それは女子高にはないと思います」

「いいえ、女子高には夢があるんです! ツンデレ幼なじみにデキる女の先輩、義理の妹に人妻の先生が俺を待ってるんです!」

「それはあなたの脳内で待ってるんです」

「脳内にはもっといます! 獣耳娘にメイドさんに魔法少女に守ってあげたくなるような清楚系の王女様、逆にどこ守ってんだ鎧の女戦士やくノ一、それに幽霊やエルフやボクっ娘や巫女さんやポニテメガネの隠れ巨乳が! 他にもたくさんの女の子たちが、俺を慕ってくれているんです!」

「ライトノベルの読みすぎですね」

「あーあー。ぜんっぜんモテなくて冴えない男が、チート能力手に入れてウハウハハーレム作る話とかに憧れるなー」

「読んでて虚しくないですか?」

「最近はそういうのが流行りなんですよ! ネット小説ではいっぱいそういうのありますよ! スマホでめっちゃ読んでます! 便利ですよねスマホ! 親に隠れて18禁画像もいっぱい見られます!」

「スマートフォンって便利な電話ですね。警察に通報もできます」

「ああ、うだるようにモテたい。おっぱいの谷間に顔をうずめたい!」

「相撲部屋への就職をおすすめします」

「嫌だ! 相撲部屋じゃなくて俺は女子高に行くんだっ! そこで運命の人と巡り合って殺されたと思ったら異世界に転生して強くてニューゲームで魔王を倒して世界を救ってヒロインと将来を誓い合うんだ!」

「先生はそんなきみの将来が心配です」

「大丈夫です! 世界を平定してからのアフターフォローもばっちり! 悪の芽は伸びる前に摘み取って駆逐してやる! うははははは!」

「それはきみが魔王になって終わるエンドですね」

「そんなことないですよ! この世界の王になった俺は世界中の女性からモテにモテて一大ハーレムを築くんです! めでたしめでたしです!」

「お話の中の世界ではね」

「そっか、俺小説家になればいいんだ! ハーレム小説書いてがっぽがっぽ印税もらって、そのお金の力で女の子にモテまくってハーレム作ればいいんだ!」

「これほど応援したくない夢も他にないですね」

「いいや先生、夢はあきらめなければきっとかなうんですよ!」

「そうですね。では有名な小説家を輩出した学校に、あなたを推薦しましょう」

「やったー! モテるためなら例え火の中水の中あの子のスカートの中だー!」

「はい、私立漢乃拳学園の推薦書。もしかしなくても男子校です。がんばってください」

「嫌だあぁぁ!? 安西先生、俺は女子高に行きたいんですうううっ!?」

「まるで成長していないですねえ…」

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安西先生、男子だけど女子高に行きたいです! 譜楽士 @fugakushi

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