第147話 威風堂々

 ブルーノヴァの総攻撃で、視界がまったくなくなった。

 いや、城の大きな部屋さえなくなり、外とつながったグリモア城。


 空中に飛びあがったブルーノヴァが、胸の装甲を解除して、高出力のついにレーザを、狙いなどせず、縦断の爆撃で範囲数キロの地表を攻撃する、


 強力な爆弾とレーザーにより、地表は数万度にもなって、範囲の砂は解け始め、半径五百メートルの灼熱化したクレータが出来あがる。


 空中でバアル、黄金龍を探知するブルーノヴァ。


「やったか?」


 探査結果を待ちながらも、高温のるつぼと化した地表に、手ごたえを感じるラシャプ。


 しかし、それは何事もなく、地上に立つ。

 腰まで数万度の高温の溶岩に浸かりながらも、神々しいまでの金色を発していた。


「ばかな!」


 ラシャプの呟きに、黄金龍が地上から答える。


「俺はこの世界の一つの個、破壊する事も溶かす事もできない」


 黄金龍の言葉に、意図したこと、納得の言葉を発するラシャプ。


「おまえ全体で、これ以上分解できない1つ粒子だというのか。さすが天の神さえ、倒すことができなかった強者よ。だが、フレームノヴァを起動しているこの機神を捉える事は無理だよ」


 ふん、黄金龍はドロドロと溶ける地表から、右手のインフェルノソードを振り込んだ。機神ブルーノヴァの姿が揺らめき、攻撃をかわしてから、ラシャプが吠える。


「よし全パワーをぶつける! 勇者パーティさえ壊滅させた最終スキル」


「了解! スキル発動! シャイン、フリーズバイト、ソニックブレード、ヘキサグラムフォース……ラーニングしたスキルを全て発動します。エナジィパワーを最大出力へ移行します」


 ラシャプが機神に攻撃指示を出す。


「よし。いけ」

 直後にブルーノヴァの装甲が回転し、現れた主砲にエネルギーが集まる。


『超破壊兵器 シャイニングブラスト発動』


 ブルーノヴァが真っ白に輝いた。

 空中から光の弾丸が降り注ぐ。

 床に命中した光の弾丸は爆発を繰り返していく。


 しかし黄金龍は、その身に受ける攻撃を金色のエナジィで弾いていく。


 歩き出した黄金龍は、エネジィを高め始めた、その力はインフェルノソードへと集まる。黄金龍になったバアルがラシャプに問う。


「ラシャプ、おまえが本当に機神の所有者かどうか、これでわかる」

 黄金龍の手にしたインフェルノソードは、数十メートルまで黄金の炎をまき散らす。


「むん!」


 黄金龍の一撃、だがフレームバースト、加速装置を起動したブルーノヴァは簡単に黄金龍の攻撃をかわした。


「僕がこの機神の所有者じゃないって!? クク」

 ラシャプの目が険しくなった。


「おまえこそ、死にぞこないのバアルに憑依しているだけ……なに!?」

 ラシャプの反論の途中で、ブルーノヴァも右肩に裂け目が入る。


「どういうことだ!? 完全に回避した筈なのに……」


 ふっ、鼻で笑った黄金龍が飛び上がり、インフェルノソードを振る。


「やはり、おまえはブルーノヴァの持ち主ではない。神の力を理解してない。たしかに俺は仮の身だが、己の力は理解している。おまえでは俺には勝てん。機神をもっていたとしてもだ。おまえにはオーバースペックだな」


 フレームバーストを使い、再び、金龍の攻撃をかわした、ブルーノヴァのの背中が大きく裂けた。


「なんでだ! なぜ、おまえの鈍足の剣が当たるんだ!」


 ラシャプの叫びにラバーズが答えた。


「こちらがフレームバーストで加速した瞬間、範囲一キロの立方体の全てをインフェルノソードの剣が切り裂いてます」


 一撃で一キロ範囲を削り取る黄金龍に、驚嘆しかないラシャプ。

 ふっ、またも鼻で笑い、剣を振る黄金龍。


「まあ、そういうこった、加速しようがどうでもいい、お前が動ける範囲をすべて斬るだけだ。おまえ驚いているようだが、機神の本当の力なら、こんなのどうにでもなるんだが……つまらんな。まあ、俺は時間稼ぎの為に来ただけだ。ガキは躾してもらえ」


 再度、フレームバーストを実行したが、今度は右手、左足を切り裂かれたブルーノヴァが地上に落ちる。


 落ちた機神に悠然と近づく黄金龍がラシャプへ言った。


「さて、アレがくるまでの時間稼ぎはできた。未熟なのに世界を滅ぼしかけた、その事を叱ってもらってこい……それとバアル、おまえ、なかなかいいよ。窮地になったら黄金龍の力を授けよう……俺の気まぐれでな、アハハ」


 言葉が終わるか早いか、黄金龍は金色のエネジィを解き、ドラゴンウォーリアにもどったバアルが、前向きに倒れた。



 




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