第137話 女王の覚悟

 古代のオーパーツ、神の船ノーチラスに、攻撃を開始したエンジェルナイト。

 数千もの戦士たちは、空中に舞い上がり上空からノーチラスへ槍を突き立てる。


 エンジェルナイトの槍はイナズマをまとい、凄まじいは火力を見せる。

 炎に囲まれるノーチラス、しかしその火力は見かけだけで、内までは届かない。

 ノーチラスのシールドは強力で、本体に近づく事さえできなかった。


 攻めあがくエンジェルナイトへ、ノーチラスからの反撃が加えられた。

 甲板に無数のレーザー砲が現れ、一斉に光の筋を無数に放った。

 甲板の近くにいた数百の、エンジェルナイトが一瞬で消滅。


 アークランド白く高き塔の上空で続く、数千のエンジェルナイトの攻撃、だがノーチラスのシールドを破ることができない。


 アークランドの女王スユンが命じる。

「衛星タイタンを起動せよ」

 アークランドの中央管理システムのセントラムが答えた。

「了解。衛星タイタンノ起動ヲ開始シマス」


 スユンが続けて、攻撃目標を指示した。

「攻撃目標を戦艦ノーチラスに設定せよ」

「了解。攻撃目標ヲノーチラスニセッテイ。エネルギー充填完了。タイタンノビーム発射角度ヲ変更」


 軌道計算中に、セントラム中央防御システムが、女王に注意を即した。

「我ガ軍が、タイタン攻撃軌道ニ乗リマス。ノーチラス攻撃中ノエンジェルナイトハ退避サセマス」


 女王スユンが首を振り、戦闘指示を変更させた。

「エンジェルナイトの退避は行わない。ノーチラスはジャンプにより瞬間移動が可能だ。フッラが作ったチャンスだ、このままタイタンの射線上に居てもらわないとビームが当らない」


 中央管理システムのセントラムが再確認を行う。

「エンジェルナイトニ、戦艦ノーチラスノ包囲ヲ維持サセマス。コノママデハ我ガ軍ニ大キナ被害ガ出マス」


 女王は深く頷いて、その決心の強さを見せた。

「構わん。どんな被害を出そうとも、今のうちにノーチラスを落とし、乗船している闇の王を倒す。ラシャプが次のオーパーツを動かす前に。それが私マスティマ、天の神子の願いだ」


 遥か空の上で人工衛星タイタンの攻撃システムが動作を開始した。


「緊急。アークランドノ全住民へ。衛星タイタンノ攻撃システムガ起動。全員対衝撃、対閃光防御ニハイレ。攻撃開始マデ、カウントダウン。10・9・8・7・6・5・4・3・2・1」


 キュィィィン。遥か空の上で人工衛星タイタンの主砲である光子砲が瞬いた。

 大気を振動させながら、強烈な光の粒子の束がノーチラスを直撃した。

 タイタンの超撃でアークランドの空が真っ白に染まった。


「現在、タイタンノ主砲ノ影響デ、センサーヲロスト。回復ハ90秒後」

 間をおいて中央制御システムからの報告。

「センサー回復シマシタ。状況確認中……ノーチラス、ダメージ小」


「やはりだめか。タイタンの光子パワーを全開にするか? だがそれではノーチラスを破壊できたとしても、国が消滅する……かつてノーチラスは天の神子の最終ウェポンを受けても、破壊されなかった……フッラの技術もあるのだろうが、やはり難しいか……」

 絶望を感じた女王にセントラムの緊急報告が届く。

「ノーチラスニエネルギー反応有リ。敵主砲ノ攻撃ト思ワレマス」


 スユン女王が素早く指示を与えた。

「アークランドのシールドレベルを最大に!」

「了解。シールドレベル最大」


 輝きを高める城のシールドに、間髪おかずにノーチラスの主砲が放たれ、防御は成功しシールドの上を滑るノーチラスの主砲。その巨大なエネルギーが城のシールドと激突、再びアークランドの空を真っ白に染める。


「ノーチラス主砲ノ防御ニ成功」

「よし、なんとか耐えられた。マスティマの予言は回避できるのか……我々は生き延びる事が出来るのか?」

 女王が呟いたその時、アークランドの宮廷内部に再び警告が響く。


「ノーチラスガ、ジャンプシマシタ」

「何だと?」

 女王スユンが想像してなかったノーチラスの動きに驚きを見せた。

「城のシールドが邪魔になってジャンプはできないはず!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る