第127話 六龍王の剣

 上空をドラゴンウォーリアの一筋の光が輝き、闘いの地へと導かれる。

 上空から落下するバアルが地上の仲間に声をかける!

「またせたな。転生勇者バアル、参上! さあ、最後の戦いだ!」

 大魔王の電撃で地上に落ちて、大魔王に「ボスと戦え」と言われ、戦場から離脱していたバアルが空中から急ぎ戻った。


「来たか転生勇者! ドラゴンウォーリア! バアル!」

 獣王アスタルトが喜びを見せた。


 六龍王との戦いを続けるアガレスが叫ぶ。

「役者は揃った。オレ達の切り札……大魔王の子バアルよ。今こそ、その力を解き放て!」


 バアルが剣を引き抜き、集中して剣に想いを込める。

「そうだ……これで終わらせる!」

 強い思いが剣に光り輝くエナジィに込められていく。

 魔法剣、武器の強化スキルで、勇者の持つ剣が翠のエナジィで通常の五十倍に強化された。


「猛る炎を消すのは翠の風」

 バアルが呟いた。

 翠のエナジィは赤のエナジィに対して、50%もの優位性を持つ属性だった。


「はぁあ!」

 バアルが全身に力を入れた、その瞬間バアルの姿が消える。

 短距離の瞬間移動スキル縮地を使い、一瞬で六龍王の後ろに飛んだバアルは、翠の力を宿した剣を力の限り打ち込んだ。


 バアルの攻撃を左手でとっさに受ける六龍王。その手が傷つき血を流す。

 それを見たアーシラトが叫ぶ。


「これは……俺に傷をつけるとは……」

 思わず傷口をさわる六竜王。

「六龍王! これを使ってください!」

 アーシラトの手から一羽の小さな赤い鳥が現れた。

 アーシラトが両手で大事そうに抱えると、小鳥は徐々に大きくなりついには炎の大鳥になった。


 両手を空に向けて広げ、巨大な炎の鳥を宙へと放つアーシラト。

 飛び立った炎の鳥は六龍王の右手に吸い込まれた。

 炎の大剣インフェルノソードが姿を現す。


 インフェルノソードかつて、光の神と戦った、六頭竜の王が使ったとされる古代の神の武器。

 竜のエナジィにより造り出された大剣で、その中心には六頭の竜が絡みつく。

 六頭の竜は使用者のエナジィにより、その輝く色を自由に変え、所有者を有利な属性に変化させ、優位に戦う事が出来る。


 六龍王がインフェルノソードを振ると、六頭の竜が青い炎を放つ。

 青のエナジィは調和、そしてバアルの翠に特攻を持つ色。

「クク、通者の翠の龍の力は確かに俺の赤龍では相性が悪すぎる。だが残念だったな、王の証のインフェルノソードは持つ者の属性を変える。今度はおまえの苦手な青の属性を与えてやろう」


 六龍王がインフェルノソードを縦に振る、ズガガガン。大地が割れ空気が燃え、弱点の属性その強大な力がバアルを襲う。

「くぅ」

 魔法剣で強化した剣で衝撃波を弾き、空中に逃れるバアルを背の翼を広げ追撃する六龍王。

 振り返るバアルへ、六頭の剣が再び、ゴオオオ、青い火を噴く。


「うあぁあ」

 まともに青き炎を浴びたバアルは地上へ落下する。

 執拗にバアルを追う六龍王に、アガレスの剣がバアルを守る様に打ち出された。


 キーィン。ソウルイータとインフェルノソードが、すれ違いざまに共鳴する。


 すばやく次の攻撃体勢に入る二人。

 再び振り降ろされたお互いの剣は、胸の上でクロスしてガッチリと合わさる。

「ふん」二人が同時に力を込める、同時に互いの剣圧で吹き飛ばされる二人。


「アガレス、その体でやるものよ」と思うわず呟く六龍王。

  空中で翼を利用して体勢を変え、地上で立ち上がろうとしているバアルへ斬りかかった。傷ついたアガレスはまだ体勢を立て直せずにいた。

「おまえが死ねば終わりだ……バアル」

 無防備のバアルに、真上からインフェルノソードが振りおろされた。

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