第123話 矛と盾
アーシラトも闇龍軍団も、ダゴンの強さに既に声も出ない。
さらに右手で挑発するダゴン。
「面倒だな。まとめてこいよ!」
一対一万での無双! 力と力の戦いが続く。
合わせて六龍王の強烈な攻撃に負傷しながらも、ダゴンの前進は停まらない。
アガレスがその光景を見て言った。
「まさに矛盾だな。強力な炎の矛の六龍王」
フッと笑いながら答えを返すアスタルト。
「怒れる銀の盾のダゴンか?」
そんな二人の傷を癒す為に、微かな白銀のエナジィが瞬いていた。
アイネはダゴンが稼いでくれた、時間で回復のエナジィを使っている。
「大丈夫か、アイネ」
アスタルトが心配そうに尋ねるが、黙ってコクリ首を振ったアイネ。
「腕は……右手は戻らないのか。再生の魔法は使えないのか?」
アスタルトが悲しそうに聞くが、アイネはまたも黙って首を振る。
「再生の魔法は両手が無いと使えないのです」
アガレスは少し前から考えていたことを言葉にした。
「ツクヨミを呼べばいい。大魔王なら再生の魔法を使えるだろう?」
勇者バアルを治癒させた大魔王の魔法。
「時間が経てば、おまえの腕の再生は難しくなる」
ライオンの顔をした獣王アスタルトが哀しそうに、アイネの右肩の傷口を舐めた。
「大丈夫よ。アスタルト」
微かに笑うアイネ。それを見たアガレスがスクッと立ちあがった。
「どこへ行く? アガレス」
アスタルトが見上げると、ダークナイトは姿勢を正した。
「決着をつけにさ。ダゴンにばかり活躍をさせても、面白くないだろう?」
「まったくだな」
鼻で笑い、アスタルトも立ち上がろうとした。
「アスタルト、おまえは止めとけ。さっきアイネをかばって内臓をやっただろ? アイネはもう戦う事ができない。お前が守ってやってくれ」
二人を置いてアガレスは、大剣ソウルイータを抜き六龍王の所へ向かった。
アガレスの見立て通り、大きなダメージを受けていたアスタルトは、なんとか自分の足で立ち上がり、哀しい目をしたままでアガレスを見送った。
その目には、昔の仲間の姿が映っていた。
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