第122話 無双の騎士
六龍王が昔のダゴンの所業を述べると「ふふん」とダゴンが鼻を鳴らした。
「分かってるじゃないか。準備運動はこれくらいでいいぜ。こいよ六龍王。いや、かかってこい、モート!」
燃えるようなエナジィ、強き力を発するダゴンの瞳。
全てのナイトの頂点に立ち、その無双ぶりからシルバーナイトと呼ばれた姿が、六頭竜の力を得た最強の敵を前に発現した。
ゆっくりと、ダゴンとの間合いを詰める六龍王。同時に横から闇龍軍団の槍部隊が突入した。
ダゴンは目線を六龍王から動かさずに、巨大なグングニルの端を掴み、左右に振り回すと、ダゴンに突っ込んだ兵士達は、紙の様に斬り裂かれた。
「ふっん!」
六龍王の右手がダゴンの腹を狙った。
ダゴンは回避せずに身体を前に出して、六龍王の拳の当たるタイミングをずらす。
胸の装甲で六龍王の攻撃を受けたダゴンは、兜を着けた頭で六龍王の顔へ頭突きを入れる。
後ろへ下がった六龍王は左手の手刀をダゴンの首に落すが、ダゴンは首を横に傾け、兜の側面で手刀を受けた。ダゴンは衝撃で数メートル横に飛ばされたが、地面で強く踏ん張り態勢を整える。
『光よ貫け ラ・ピュアライン』
アーシラトの魔法が撃ち込まれ、足元を崩されよろめくダゴン。
そこへ六龍王の強烈な蹴りがダゴンの顔を狙った。
ダゴンはとっさに左手のイージスの盾で、六龍王の蹴りを受け止めるが六龍王の力で後ろに押される。
「く、そおぉおおおおおおお!」
ダゴンが吠え、右足を大地が揺れる程に強く踏み込み前に出た。その圧力で六龍王がバランスを崩す。
ダゴンは地面を蹴って、六龍王の胸元へ一気に踏み込む。
「こ、この!」
驚異の速度と圧力に思わず呟いた六龍王。
踏み込んできたダゴンへと、右手を打ち込む、ダゴンが叫ぶ。
『シールドバッシュ』
六龍王が打ち出した拳を受け止め、イージスの盾で六龍王を数メートル後ろへ弾き飛ばす。
『オメガストライク』
再び叫んだダゴンは、真っ直ぐに六龍王へグングニルを突きだす。
赤いエナジィを纏った、グングニルの衝撃波が六龍王の身体を貫通する。
うめき声を上げて崩れ落ちる六龍王に、大きく強く踏み込んで追撃に入るダゴン。
危ういタイミングで、魔法の詠唱が響いた。
『鋭き氷の壁 ラ・フリーズバイト』
目の前に氷の壁が出現しダゴンは氷の中に閉じ込められる。
アーシラトの氷の魔法が六龍王を支援した。
「間に合った」
アーシラトがため息をついた直後、氷の壁に閉じ込められたダゴンの目がギョロリと動く。
「アーシラト邪魔すんな! このぉぉお!」
アーシラトの氷の壁は、ダゴンの気合の一発で砕け飛んだ。
氷の欠片が降り注ぐ中で、首を左右に振りながら、ダゴンが再び六龍王へ向かう。
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