第97話 アイネの戦い
封印の島の地上で、赤龍王とアスタルト達が戦っている時、地下では闇の王との戦いが続く。
相手は三百年前のエールの英雄「鉄のアイン」
アインへと近づくアイネ。
「今度はおまえが相手か? なるほど人材は多そうだ」
分身を解いて一人に戻ったアインが新しい相手へ向いた。
「どうやら私の先輩のようですね」
アイネの着る白いローブは赤く縁取られ、胸には五つの角を持つ魔法陣が刺繍されていた。
首飾りの中央には、青き光を湛えたクリスタルが輝いている。
「なるほど……おまえは現在のエール騎士団長というわけか。これは面白い」
顎を撫でるアインに、黙ってうなずくアイネ。
「では……続けるとするかな。団長殿」
アインが再び分身する、今度の数は四十八体に増加していた。
「同郷のよしみで数を追加しておいた……さあ、行くぞ!」
四十八体のアインが、アイネに襲いかかった。
アイネは、静かに目を閉じ集中する。
ガガ、ガガ、ガガ、ガガ。ガガ、ガ
撃ち込んで来る数百もの剣劇、その全てをアイネが、双剣オリオンで叩き落とす。
アイネはアインが出す音と、そのエナジィの波動を読みアインの攻撃に対抗した。
攻撃を続けながらアインはアイネの動きに感心する。
「すごい才能だな。さすが団長だけの事はある。だが……おまえに相手を殺す覚悟はあるのか? 自分の行動に命は賭ける事は出来るのか?」
アインが攻撃速度を徐々に上げながらアイネを攻撃していく。
変化を付け間隔をずらした攻撃に、認識していたアイネのイメージがズレ始めた。
完全に回避は出来なくなったアイネは、左手の甲で回避できない攻撃を受け止める。
アインの攻撃はだんだんとアイネに当たり始め、左手から血が滴り落ちる。
攻撃を続けながら、アインが言った。
「どうした? さっきの奴の方が勢いがあったぞ? 攻撃してこないのか?」
さらにアインの剣を受け、動きが鈍ってくるアイネ。
「団長……お前も死ぬか? 巫女が悲しむな」
「アイネ! もう止めて!」
イルが叫びながらアイネに駆け寄る。
「だめ! こっちに来ないでください!」
アイネが珍しく大きな声で叫び、驚いて立ち止まるイル。
「そこで待っていてください……すぐに終わらせます」
アイネの全身にエナジィが宿り、超高速で魔法詠唱を始めた。
詠唱を優先するアイネは受ける攻撃を、急所を外すだけにしている。
急激に被弾するアイネだが、その瞳は強いエナジィに溢れていた。
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