第96話 第三形態赤龍王

 グレンを目標にした赤龍王が消えた。

「転写」移動するのではなく、一瞬でその身体を目標の空間に移動する。

 竜のエナジィを全開で使用する者が使える、高速移動スキル。


 残像も残さず、転写でグレンの前に現れた赤龍王は、グレンが構える時間も与えずにエナジィで強化した拳で殴り始めた。


 超高速の拳による弾幕が際限なく撃ち出される。

 その重く早い一撃一撃は、グレンの動きを止めた。

「グフゥ」口から血を吐いたグレン。

 そこへさらに竜の闘気を高めた赤龍王の一撃。

「ふん!」打ち込まれた拳はグレンの脇腹に突き刺ささった。

 アバラ骨が折れる音が聞こえた。

「消えろ!」赤龍王が次の一撃を構える!

「やめろ!」

 アガレスが赤龍王とグレンの間に入る。

「待っていたぞ、アガレス。おまえでも……息子は可愛いかな?」


 ズブリ、最大に高めたエナジィを纏った赤龍王の手刀が、無防備なアガレスを突き抜けた。

「お前達の失敗は……親ばかなところかな? クク」

 赤龍王が不敵な笑みを浮かべた。


「父さん!」

 貫かれたアガレスの姿を見て動揺するグレンは、その場に座り込んだ。


「赤龍王!」

(縮地)戦士の最上級クラスが使う、移動距離を足さばきで、高速で移動するスキルを使い一瞬で、後ろに現れた獣王に回し蹴りを入れて弾き飛ばした赤龍王は、貫いたままのアガレスを空中に放った。


 獣王は地上を蹴り縮地で移動し、アガレスをキャッチして、赤龍王から離れた場所へと移動させる。


 空中で圧倒的な力を保持する赤龍王が全員に伝える。

「これからは地獄だぞ、クク」

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