第94話 暗黒騎士参上
巻かれるような強く風が吹く大地。
見晴らしが良い中央の丘で走る風を見ている巨躯。
赤龍王は大魔王に向かった。
「おまえの思惑は分かった。ただ俺も退屈している、もともと待つのは性に合わない」
大魔王は少し残念そうに答えた。
「そこまであなたが言うなら、戦ってみたくなったけど、お客さんが来たみいたいよ赤龍王」
「おっと、デートの途中だったかモート」
背後からの聞き覚えのある声に、赤龍王は微かに笑った。
「まあな。もうデートは終わりだが、待ち人はまだ来ない」
後ろの声が思慮している。
「この場所をアーシラトが指示したのか。おまえにここで待てと」
赤龍王は後ろを振り返り、声の質問に答えた。
「そうだ、この場所に連れてくる。待ち合わせの時間に遅れているがな」
「そうか、ならば……」
赤龍王の前に立つ巨大なライオンが嬉しそう答える。
「久しぶりにオレ達と遊んでくれよ……モート、赤龍王と言った方がいいか?」
獣王アスタルトの逆立つ獣毛が風に流され立つ。
赤龍王が丘の下から、駆け上がって者に気がつく。
「ほう、獣王アスタルトと、あれはダークナイトアガレス、その息子グレン…………で? 遊ぶのは三人でいいのか。強いぜ俺は」
フッとアスタルトが笑った。
「数ばかりいたって、しょうがないだろ?」
赤龍王が大剣ブルトガングを抜いた。
「そうか、そうだな。では始めるか……その前に」
赤龍王は大魔王に確認した。
「遊び相手はアスタルト達でいいのだな? おまえは参戦しないのだろうな」
ニコリ、笑顔を見せた大魔王は大きく頷いた。
「もちろん「俺が一番強い」は男の同志でどうぞ」
大魔王の答えに剣を構えて獣王に向かった赤龍王は、炎の剣を抜き放った。
アスタルトが後ろに飛び間合いを取った。
「いきなり抜刀か? やる気満々だな、フフ」
笑みを浮かべた、獣王アスタルトに、ブルトガングを構えた赤龍王。
「獣王アスタルトとダークナイトのアガレス……少しはやる気を出さないとな。昔のよしみもある、ちゃんと遊んでやるとしよう」
赤龍王が答えを返した時にピク、アスタルトが動いた。
「速い……」赤龍王が呟いた。
アスタルトの姿がフッと一瞬で消えた、視線で相手を探す赤龍王に問う声。
「おい、後ろ向いてて大丈夫か?」
アガレスがアスタルトに気を取られた、赤龍王との距離を詰めてきた。
ガキィィン、アガレスの剣ソウルイータの激しい打ち込みを、片手で持つブルトガングで受けた赤龍王。
「久しぶりに楽しそうだな……ダークナイト!」
剣を振り払い、アガレスを数メートル弾き飛ばす赤龍王。
「……そうか。オレはドキドキしている」
アガレスの言葉に意外そうな赤龍王。
「ん? まるで女のような言いぐさだなアガレス」
「まあ、受けてみれば……わかるさ」
斜めから回り込んだアガレスの剣が赤龍王へ放たれた。
ザキキキンン、アガレスが笑みを浮かべる。
「どうかな赤龍王。受けてみてオレの一撃……ドキドキしないか?」
アガレスの一撃を受け、そのまま払い飛ばした赤龍王……だが。
「この太刀筋……この威力」
アガレスの剣の威力に、驚く赤龍王に再び切りかかるアガレス。
「このぉ!」一歩押し込まれ、赤竜王が左手を添えて、両手で受け止めアガレスの剣圧に体を反らされる。
「フフ、ドキドキするだろ? 本当の強敵(とも)とは、自分が殺られると思える奴の事だ。久しぶりだよモート、俺は楽しすぎて身震いがする」
アガレスがソウルイータ、暗黒の魂を食らう両手剣を大きく振りかぶった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます