第64話 勇者の色
「ありえない、新しいエナジィを造り出すなんて……そんな力……なんなんだ!」
あたしの瞳は碧く輝き、全身を白い光の衣が包む。
白く輝く衣は敵の攻撃を全て弾く。
天へと高く掲げた勇者の剣の昴に、蒼と白のエナジィが伝わり、空の青の色へと変えた。
「どうしたんだ? アナトのエナジィの色が変った」
ダゴンの問いにナメコが答えた。
「わたしのエナジィを合わせて新しいエナジィを得たアナトは、真の力を引き出した……決着は近い」
あたしは全身にわき上がってくる、新しい力の解放を待っていた。
「まだ、まだよ、もっと力を、もっとエナジィを頂戴!」
青い空から降り注ぐ光が、あたしのエナジィをさらに高める。
「私が……魔女アーシラトが恐怖を感じている……これが目覚めた勇者か」
椅子から立ち上がるアーシラト。
大きな空洞にエナジィを最大まで高めた、あたしの叫び声が響いた。
『新たな光 ラ・超新星(スターバースト)』
あたしのエナジィがビックバーンを起こし、灰色の兵士達を砕き、そして椅子ごとアーシラトを砕き始めた。
アーシラトの手からナメコのエナジーを封じられた、白色のガラス玉が落ち粉々に砕けた。
「なるほど……やはりあの方が言う通り……この力は使える……」
バキバキバキバキ、勇者の奥義がアーシラトの言葉すら粉々に砕いた。
あたしが起こした、エナジィのビックバーンで空間に穴が開き、周りの空間を吸い込み始める。
全てが砕かれ、空間に空いた穴から全てが吸い込まれていく。
ナメコは渦を巻く風の中で呟いた。
「封印の玉は砕かれた。アナトありがとう。これで元に戻れる……待っているね。エールで会おうね」
剣を地面に落としたあたしは、ナメコの言葉が聞こえてなかった。
全てのエナジィを使い果たし、あたしは空間に開いた穴に吸い込まれた。
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