悶々と過ごす。気まずい雰囲気は当たり前


 帰ってきて、お風呂に入る。そのあとご飯を食べて、歯磨きをする。宿題をして本を読む。いつもと同じ過ごし方。


 けど、そこに割り込んでくる彼女の言葉。


 正直、誰からのものでも自分への好意は嬉しい。ましてや、それが超絶美少女なら、なおのこと。

 

 彼女の言葉が嘘だった、とは思いたくない。

 そう考えると余計に苦しくなる。

 あの言葉をどう捉えるか。

 単純に僕のことが、好き、なのか。

 

 それとも……、嘘……の告白、だったのか。

 考えると胸が痛い。なんか詰まってて息苦しい。詰まった異物吐き出したくとも吐き出せない、そんな感覚。


 そこで悩んでばっかりだと、一生答えは出せないだろう。


 けど……、なんだろう。この気持ちは……。


 彼女の良い所ならいくらでも言えそうなくらい、たくさんある。

 誰にでも優しい。思いやりがある。何に対しても一生懸命。スポーツは全般的に得意だし、そのおかげなのか集中力もある。優秀だし、すごくイケメン。みんなを引っ張ってくれるし、まとめるのが上手。美少女だし、スポーツ女子だからか程よく筋肉がついていスタイルが良い。あと……、足が長くて綺麗……。特に、大腿部から踵にかけて。足首は細いくスラッてしてる。


 要するに、彼女は十分魅力的な女性だと思う。


 なら、彼女を星川さんよりも好きなのかと問われると、分からない。


 今までの僕の中ではダントツで星宮さんが一番だったけど、今は星川さんと月見さんでせめぎ合っている。


 彼女は今気持ちで過ごしているのだろうか……。

 

 悶々としながら、夜を眠る。


_____________


Side 月見 小鳥


ちょうどそのころ―――

 

「んんんんんんんんん~~~~っ!!!!!」

 

言っちゃった~~~~~!!!!

遥に、す、好きって……言っちゃった~~!!!!!


 ベットの上で枕に顔を押し付けて叫びながらのたうち回っていた。


 いつもの落ち着いている雰囲気の仮面は外れ、一人の純真たる乙女が顔を出していた。


「はわわわわわわわわ」


 反応を見たらわかる通り、正真正銘、彼女にとって初めての告白だったのだ。


遥と付き合えたら、甘えさせてくれるかな……。

……きゃあああああああ!!!!!

うれしいいいいいいいい!!!!!


 そして、重度の甘えん坊なのだ。


「はっ!」


けど、嫌われてたらどうしよぅ……。

振られたら……。

うううううううぅぅぅぅぅ……、こわい……。


明日からどうやって接すればいいのかなぁ……。



_____________

Side 御子神 遥


翌日――


 月見さんとどう接すればいいかな。

 いつも通りにできるかな……。


 そして、早速。

 

 学校の玄関、会ってしまった。彼女と――。

 そう! 月見 小鳥と!


 気まずい。物凄く気まずい。

 けど、その空気に負けず!

 挨拶は大事!


「あ、お……おは、よう!」

「お、おはよ」


 2人とも吃ってしまった。

 ……気まずい……。


 ピューーーーーーーーーーン!!


「あっ……」


 月見さんが走っていった……。早い。


 玄関に残される俺。それを見たほかの生徒のいぶかしんだ視線。

 その中に混じる、怪しげに光る瞳。


 誰かはすぐに気づいた。だって、僕を悩ます元凶―――

 

 星川さんだった。


 



 


 




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階段から響く足音 遠くからの君の声 咲春藤華 @2sakiha

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