中学生になり

 僕達は中学生になった。



 僕が恋心を持って、早2年。

 その間、発展という発展はなく。

 何かあるとするなら、彼女や友達より速くなったことだろうか。今、僕のいる中学校で走るのが1番速いのは僕になる。

 

 僕は陸上部に入った。彼女も友達も。ほかに、彼女の友達や知らない人も。


 クラスは彼女と一緒だった。正直、叫びたくなった。友達とは別だったが。


 そして、小学女子長距離県一位も同じクラスだった。

 

 この少女は陸上部には入らず小学の頃からしていたバスケ部に入った。長距離も速いが、バスケも上手だった。そして、こちらも美少女。


 彼女には負けるがなっ!


 クラスで僕は俗に言うボッチとなった。

 人から話しかけられると喋れるが、自分から話しかけるのは苦手だった。休み時間や昼休み、クラスの人は他のクラスのところに行くことが多い。彼女も別のクラスのところに。

 だから、教室に残っていたのは僕や僕のような人達だった。

 

 結果、僕は中学の3年間の昼休みはほぼ図書室で過ごした。

 

 彼女のクラスの席は僕のふたつ後ろ。喋る機会もないし、僕から喋りかけることもない。なんか、緊張する。


 喋ることができる時の会話は大抵部活のことについてだった。

 僕にとってはそれだけでも嬉しかった。


 そして、彼女と同じクラスなだけ彼女の噂は早く届いた。

『二組の〇〇くんが彼女に告った』とか『二年の先輩が彼女に告白した』など。

 彼女が告白されるのは当たり前だと思った。そして、彼女の噂が聞こえる度に怖くなった。

 

 彼女が誰かと付き合ってしまうのではないかと。

 

 中学の三年の間、彼女のこういう噂はどんどん更新されていった。

 けど、彼女と誰かが付き合った、という噂は聞かなかった。

 

 それは、僕にとって救いだった。

 

 僕が彼女に良いところを見せれるのは、年に一度の学校の体育大会か、部活の大会だった。勉強は僕と彼女に差はなかった。

 

 良いところを見せて彼女から告白してもらおうと思うことはなかった。それはなんだかダサくて悲しいと思ったから。

 

 だから、告白するのは自分からが良いと考えていた。そっちの方がカッコいいから。

 

 けど、告白するタイミングが見つからない。

 

 一回目は、僕の弟と彼女の妹が大会の優勝で手に入れた遊覧船の五人組無料チケットを使って船の上で。

 これは、僕がチキンだったのと、彼女に妹さんがずっと付いていたのが原因で、失敗。


 二回目は、作戦とは言わず、彼女が1人になったタイミングで告白する、という、行き当たりばったりなもの。

 これまた、チキンが発動したのと……

 彼女はコミュ力お化けかっ!

 

 部活終わりは彼女の友達がいて、大会の時は他校の友達がいて、それもどんどん増える。ドユコト? 僕には真似できん。


 そして、やっと、ようやく、見つけたタイミングは、中学三年の夏。大会帰りに彼女の親が迎えに行けず、いつも電車帰りな僕とたまたま、そう、たまたま一緒になった時だった。


 ここでしなきゃ、もうタイミングは見つからない。


 そう電車の中で覚悟を決め……

 

 到着して、一緒に歩いている歩道橋の別れ際、


 僕は人生最大の勇気を出した。





「好きです! 付き合ってください!」




 


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