第6話 幼馴染の魔法

 どうやら才菜とフェニックスが話終わったみたいで、ダークアイ・ドラゴンの頭上にいたはずのフェニックスがいつの間にかいなくなっていた。


「才菜、フェニックスとの話は終わったのか?」


「鳥さんなら私にコレ渡してどっかに飛んで行っちゃったよ。」


才菜の手には何かの辞書のようなものがあった。才菜いわく、俺のオリジンノートとは違い、全てのページが英語の文で埋まってた。俺は英語が大の苦手でありなんて書いてあるのかさっぱりだったが才菜には分かったらしく俺にその辞書と才菜が使えるようになった魔法について詳しく話始めた。


魔法単語辞書【マジック・コマンド・ディクションリー】&新型魔法【プログラム・マジック】

才菜が使えるようになったのは【プログラム・マジック】という魔法らしい、このマジック・コマンド・ディクションリーと長ったらしい名前の辞書に魔法のプログラム言語のようなものが書かれており、その言語でプログラムを組むことで魔法を思った通りに扱えるらしい。

使い方しだいではかなり強いものなんだろうだけど、その分厚い辞書に書いてある単語を覚える必要があるわけで、才菜は平気で覚えそうだけど。


「蒼木君、私早速試してみたいから今日はもう帰るね。また明日学校で!」


才菜はそういうとキラキラした目で帰っていった。

時計を見ると時間は5時を過ぎていた。明日は学校だから準備をしておこう。





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いつもよりも早く目が覚めた。そういえば昨日は神様に呼ばれなかったなぁ、まぁいいやとりあえずシャワー浴びてこよう。


速く目が覚めたこともありいつもより1時間半早く家を出た。家にいてもやる事ないので才菜の家を寄って行くことにした。才菜は昔から何かに夢中になると徹夜することが多く、中学の時は計12回遅刻した。それでも俺が起こしに行って、ギリギリ遅刻せずに済んだ事もあるので実際もっと多い。そして昨日の帰る時のあのキラキラとした目、危険だ。


スマホを開くとメールの通知が来ていた、才菜のお母さんからだ。


『今日は大事な会議があって、いつもより速く会社に行かなくといけなくて、申し訳ないんだけど家によって才菜を起こしてやってくれないかな?鍵は玄関前のポストに入れとくから。』


やっぱりか・・。「分かりました。」と返信した。


ポストに入っていた鍵を使って才菜の家に入り、一応「おじゃまします」と言ってから入ったが返事は返ってこなかった。才菜の部屋に入ると案の定気持ちよさそうに眠っている才菜がいた。


「やっぱりか・・・全く・・・仕方ない。」


俺はノートに何の変哲もないハリセンを描いた。昨日寝る前に俺も自分の魔法を色々試していた。分かったことは、意思を持たないものでも現実世界にあり尚且つどこのメーカーか分からないデザインのものであれば生み出せることが分かった。絵のハリセンを実物にした俺は才菜のほうに近づいた。


「才菜・・・起きろ!!!」


ハリセンで才菜を叩くといい音がした。


「いったぁ・・アレ?蒼木君?何でここに?」


「お前の母さんに起こすよう頼まれたんだ、今何時だと思ってるんだ!俺が朝飯作っとくからその間にシャワー浴びてこい!」


「蒼木君、私より女の子みたいw」


「呑気な事言ってないで早くする!」


「分かりました。」


才菜が寝ぼけながらも浴室に向かった事を確認した俺は才菜の家のキッチンをお借りして才菜の朝飯を作り始めた。




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「やっぱり私より女の子してる」


朝飯をお皿に盛り付け、自分でいうのもなんだがいい出来だったので記念に写真を撮っているとシャワーを浴びてきた才菜が全裸でリビングに来た。


「何でなんも着てないの!?」


「いつもこんな感じだから。それにしてもこのにおい・・やっぱり!私の好きなオムライスだ!。さすが蒼木君、私の事分かってる♪」


「いいからはやく制服着てこい‼」


はぁ・・。


才菜が制服に着替えおわり朝飯を食ってる間に使ったものを洗い、ふと時計をみると、いつも家を出る時間になっていた。


「結局いつもの時間か・・。」


別に速く着いた所で何もないのだが、なんか損した気分になる。


「ごちそうさま。」


才菜が使った皿を洗ってから俺は才菜と共に登校した。




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「いやぁ、蒼木君が来てくれなかったら私遅刻するとこだったよ。」


「どうせ昨夜、寝ずに何かやってたんだろ?」


「そりゃあ、あんな面白い物もらったら寝ていられないよ」


おもちゃ貰った時の子供か!


「それで、何かできたのか?」


正直気になる、自分以外の魔法を見たのは神様が使った時ぐらいだ。


「攻撃魔法みたいの奴と大きな音がしそうな魔法は試せてないけど、光らせるみたいなことはできた。」


「あの辞書は何処まで読めたんだ?」


才菜の事だあんなに分厚い辞書の半分を読み終えていてもおかしくない。


「読み終えたよ全部、でも読み終えた時に時計みると3時になってたけど」


俺の家を出たのが確か5時過ぎだったから、てことは9時間であんな分厚い辞書読み終えたのか、そりゃ起きなかった訳だ。


「お前ら朝のHRはじめるぞ。」


俺達の担任の長井先生の号令でHRが始まり、またいつも通りの1週間が始まるはずだった・・・。

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