第2話 幼馴染を狙う怪しい影。

目が覚めると朝になっていた。


昨日の事は全部夢だったのだろうか。そんな考えを否定するように昨日置いてあったはずの隕石の破片(魔石)が消えていて代わりに神様から貰った本とペンと、【サンセット教神器 オリジンノート& ペン 説明書】と書かれた子冊が置いてあった。


これまたご丁寧な神様だこと、てかあの本とペンってそんな名前だったのか。


説明書には使用する時の注意事項と所有者登録について書かれていた。

内容を簡単に要約すると、この本とペンを他人貸したり上げる事の禁止、このノートに封印していいのは魔法によって生み出された生き物のみ、それ以外の生物をこの本に封印する事の禁止。


普通に使ってる分には何の問題もなさそうだ。問題なのは所有者登録の方、方法自体は昨日授かった魔法に名称をつけるだけと簡単なのだが、もし今後いろんな人に魔法の名称を教える機会があるなら、《オレジナル》みたいな親父ギャグ感が半端ない名前にすると黒歴史確定…。


『青木 奈太郎様 貴方の魔法は≪オレジナル≫で登録されました。登録が完了しましたのでオリジンノートとペンの所有者は貴方になります。』


は?ちょっと待ってくれよ俺の心を読んで勝手に登録しないでくれよ!いや説明書を読めばどっかに名称の変更方法くらい乗ってるだろう、多分このページのどっかに……。


あれ?嘘!マジで!?何回読み返しても書いてない…。嘘だろ?まさかこんなくそダサい名称で登録されてしまうとは…。


へこんでても仕方ない。気分転換に昨日と同じようにして仲間を生み出してみるか。


【クロレ・騎士ナイト

黒い鎧を身に着けた騎士。見た目も、発言も痛いがその強さは英雄並、痛い発言をするほど身体能力が上昇する。

「我の名はクロレ・騎士闇の力を使いこなし貴方様に仕える最強の騎士であります。」


【コ・スパイ・カメラ】

小さい体で蜘蛛のような手足を持つカメラ。通話機能を持つ電子機器ならどんな物でもカメラからの映像をリアルタイムで表示させたり通話で遠くからの支持もうけとる事ができる。

「( `・∀・´)ノヨロシクネ。」


髑髏どくろへび

人骨と3匹の蛇で構成されたクリーチャー。見た目と違い知能が高く隠密行動を得意とする。刀の腕は人間顔負け。

「主から頂いたこの命に誓って主の頼れる力になって見せます。」


カメラを生み出すことに成功したのは意外だった。もしかしたら意思のようなものを持っているならば機械のような無機物でも生み出せるのかも知れない。これは試してみる必要がありそうだ。


それにしても、一気に3体も生み出したからか部屋から一歩も出てないのにすっごく疲れた‼小説とかで出てくる魔力を使ったのかも知れない、今日これ以上生み出すと才菜の家に行く前に寝てしまう自信がある。


俺は今生み出した仲間を昨日のダークアイ・ドラゴンと同じようにオリジンノートの中に帰ってもらった後、眠たい体を起こして出掛ける準備を始めた。




======




 才菜の家に着くと、いかにも今から探検にいきますよと言わんばかりに探険服を身にまとった才菜がいた。


「才菜、なんだよその恰好」


「今から山に行くんだよこれくらいの服着てもおかしくないでしょ?」


「ちょっと待て!山に行くなんて聞いてないぞ」


「言ってないもん、でも登山するわけじゃないから」


そんな堂々と言われても困るんだけど。


「そういえば昨日渡した隕石の破片ちゃんと持ってきた?」


「すまん持ってくるのすっかり忘れてた。」


「じゃあまた新しいの上げるから。もう昔から物忘れ多いけどいつになったらなおるのかな?」


「あははは…。」


昨日と同じ見た目の隕石の破片(魔石)を才菜からもらった、決して忘れた訳じゃないんだけどな……。





======





あの後才菜の父さんに車で送ってもらい、山に着いた俺は目的地がわからないのでとりあえず才菜後ろをついて山道を歩いていた。


「そういえば今日森に来た目的って何だ?」


「あの日の夜この山にも小さい隕石が落ちてくのを見たから、もしかしたらまだ誰にも見つかってない隕石の破片があるかもしれないからね。」


「え?もしかして手のひらサイズの小さい石を山の中から探す気なのか?!」


「だって、それしか方法なくない?」


登山なんかよりよっぽどハードじゃねーか!今さら帰るって言った所で才菜に止められるだろうし、帰れたとしても月曜日に学校に行ったとき、山に女子を置いていく最低な奴と言われかねない。速く隕石の破片を見つけられことを祈って渋々探すしかないか。



あれからだいぶ時間が過ぎ、空もオレンジ色に染まってきた。未だに才菜から渡された魔石のような物は見つかってない。


「コレだけ探してないんだったら、もう誰か見つけて持って帰ったんじゃないか?」


「そうだね諦めようか」


才菜は一瞬落ち込んだような顔を見せた後、何か見つけたようで俺の袖を引っ張った。


「もしかしてあれって」


そう言って才菜は来た道を指さした。そこにはさっきまでには無かったはずのお目当ての隕石の破片があった。


「こんなところにあったんだ♪ なんでさっきまで気がつかなかったんだろう?」


そういって才菜が破片を手に取ろうとした時、何処からか大きな鳥が才菜目掛けて飛んできた。


「へッ?」


飛んできた鳥は一瞬の内に才菜攫ってった。あまりに突然の出来事に俺はパニックになりそうながらも俺はすぐさまオリジンノートを取り出して今朝生み出した髑髏蛇を呼びだした。


「髑髏蛇あの大きな鳥を追いかけて!」


「御意!」


本から飛びだした髑髏蛇はもの凄い速さで才菜をさらった鳥を追いかけ始めた、髑髏蛇は隠密行動を得意とする仲間、アイツなら鳥を見失う事もないだろう。


「才菜…どうか無事でいてくれ!」


俺も必死になりながら鳥を追いかけ始めた。

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