14話 マジックテロリスト

 『研究室がある』それだけ言われ、その場で地図を書かされた。辿って行けば建物があり、中へ入ればパソコンと、いつの日か何かに使っていたであろうと大きなモニターが奥の壁に。


「即席クローンです。何に使うつもりだったのでしょう、一度きりの使い捨て、複数用意があるので何度か使用できますが一度見れば警戒しますよね」


「けっ、そういう事かよ!」


「そういう事です。

他にも幾つか技術の賜物を拝借しておきました、野蛮な事は嫌いですが仕方ありません。」

一つだけ嘘をついた

爆弾を仕込まれデータを壊されたと嘆いたが、その時点で既に、中のデータは会得済みだ。しかし中身は為にならない技術の塊、身を護る安全グッズの話題ばかりだった。


「これは提案なのですが、そこをどいて頂けませんか?」


「はぁ⁉︎

なんでだよ、逃げんのか?」


「はい、逃げます。」「マジかよ!」

戦闘など持っての他、血の気の多い事柄は事件以外関わりを持ちたくは無いと考えている。


「だったらノかしてみろよっ!」


「..結局そうなりますか、『いいえ』を選択しても戦闘じゃないですか。」

複数のゴムボール爆弾を空へ撒く、ゴム天井に当たり弾け、スコールのような水を下へ垂れ流し探偵を襲う。


「これなら逃げ場はねぇだろ!?」


「やれやれ..。」「あん、何だソレ」

四角い小さなカプセルから傘を取り出し真上に差した。開いた傘は頭上を覆い、スコールを全て受け取る。


「雨は降らないと聞いたのですが..」


「バカにしてんじゃねぇ!」

指をパチリと鳴らし起爆する、しかし傘に満たされた水は物音を立てず吸収され先端へ集束する。


「エネルギーチャージ完了...」


「なんだ、傘の先が光ってる。」


「発射!」「おいおいウソだろー⁉︎」


 アンブレラバルカン

傘を開き、受けた衝撃を吸収し放出する。兵器としての量産も考えたが、破損しやすく脆い為却下された。


「おや、壊れてしまいました

一度きりのお祭りという事ですか。」


「ケホッ..」「大丈夫ですかー?」


「誰にだんじり踊らせてんだ..。」


「貴方が音楽を掛けるからですよ?」


「くっ、こりゃ効くぜ..。」

爆発し床に倒れた者の事など考えた事も無かった。爆発するのが中心で、他は見る必要が無かったからだ。


「暫くそこに寝ていて下さい。僕は外に向かうので、用があればまた外にてできれば二度とお会いしたくはないのですがね。面倒なので」


「お前口悪いよな、ホント。」

「いいえ、悪いのは性格ですよ」


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 火、水、雷と続くエレメントは各々特色を持ち引き出し方が皆異なる。火は拳や刀、近接的な武器に直接纏わせる事で威力を高めより強力なものとする。水は飛び道具や範囲攻撃を繰り出し、点というよりは面の大幅な攻撃を得意とする。雷は趣向を変え、拘束や状態付与、派手さは無いがじわじわとした攻撃、尋問をする警官がよく使用する。


残す木のエレメントだが、これは例外

他の三つとは分けた性質と考えた方が適切だといえよう。


「四方確保、樹社設立!」

注連縄しめなわによって祀られた四隅の柱から樹木を伸ばし、中心に社を建設する。


「うわすごい、建物が出来た..!」


「見ていろお嬢ちゃん、木のエレメントは水を受けるとふやけるだろ?

だがこの社はな、成長をし続ける。」


何も知らない即席魔人達は社に水をかけまくる。その度木々は成長し壮大な建物を建設する。


「これが木の部隊..流石だわ。」


「君はフォトン家だったか、あそこは争いを好まない。良心的な家に育ったんだな、良いことだ」


「それ程..自由は無いけど。」

魔力を持て余した結果、エレメントの使用方法をまるで知らなかった。


「これってさ、自分が思ったより大きくなったりはしないの?」


「安心しろ、囲った四隅を越える事はない。ただ縦には延びるから、高い所が苦手な人間には向かないかもな。」


「こんなに伸びしろあったんだ」

隊を編成するにあたり、エレメントを保持した若い因子は片っ端から声を掛けられた。それは近親者であったり実力者、しかしライムはただ道を歩いていたら声をかけられ、気付けば大きな木の櫓の中にいる。


「ま家よりは、居心地いいかな..。」

制約もなければ親もいない。自由があるとはいえないが暇という感覚は極端に少ない。娯楽と呼ぶには充分だ。


➖➖➖➖➖➖


 水族館


「おい、これはどういう事だ?」


「通信を聞く限りですと、水の人々は皆木の部隊の方へ向かっている模様」


「なにぃ!?

あのウッディ野郎共、エモノを持っていきやがったのか許せん!」


「いや隊長、エモノがあっちに向かっていったので木の連中が奪った訳でな決して無くですね..」


「許せんぞ木の部隊たち!」


「話聞けよ..。」

 水の部隊がマイペースを歩んだせいで少しばかり敵の配置にズレが生じている。雷の部隊は通常水のエレメントを制圧する筈だったが、急遽相手が変化してしまっていた。


「しかもよりにもよって同じ雷タイプか、ここ水族館だぞ!!」


「僕に文句言わないで下さい。仕方ないじゃないですか、不運でしたけど」

街を護る為出動した部隊がかえって環境を壊しかねない。特に生物の多くいる水辺の水族館では大きな影響を与えやすい。


「サンダー・ボール!」「うおっ!」


「何驚いてるんですか、見慣れた雷の魔術でしょ。」


「いきなり投げてくるんだもんそりゃ驚くよ、拘束してといて。」


「...え?」


「拘束だよ拘束、ここじゃ攻撃呪文は撃てんでしょ。だから縛るの!」


「駄々こねないで下さい子供じゃあるまいし、そういう事なんで。わかる?

皆拘束魔術に切り替えてー?」


雷の利点をフル活用する方向でズレた時間軸を調節した。このように、拘束される者たちもいればそれを解かれ、面に再び顔を出す者たちもいる。


「いきなさいガーゴイル!

邪魔なハエを薙ぎ倒してやりなさい」


「直接手を触れずとも、糸さえ引けば人なんて殺せんだよ!」

いつかみた召喚師や魔樹師が顔を連ね街へ侵攻しては破壊を繰り返していく


「あのメイド!

なんで外にいるんだよ、投獄されていた筈だろ⁉︎」


「こちらが見知った顔も何度かいたな纏めて開放されたのか、誰の仕業だ」

復讐者というのは身が軽くなったとき真っ先に一番恨みを売った人物を刈りにいく。その相手として警察は、これでもかという格好の相手なのだ。


「おいおい、これじゃエレメントがどうとか関係ないぞ!」


「見境無く人を襲うという点では以前と同じだが?」


「頭固いのかお前!

異常な事態だって言ってんだ!」


「あら、自覚はあるのね。」


「犬の口から女が出てきた!?」


「丁寧に説明するんだな、お前。」


冥府の犬が吠えるとき

そこには災いが訪れるという。


「あら自覚はあるのね」


「あら自覚はあるのね」「ん?」


「あら自覚はあるのね」「おいおい」


「あら自覚はあるのね」「止まれ!」

女の声が増えていき、犬が次々と口を開ける。群れの遠吠えである。


「あら自覚はあるのね」


「まだ増えるのかこの女!」


「くだらん..。」

高らかに跳躍し、火炎を纏う刀身を地面に突き立てた。


「炎剣・獄焦!」


「おい何するつもりだお前!」

火柱が地面を走り足の付いた対象を次々に燃やしていく。


「危ねぇなお前!

やるならやると言ってくれるか!?」


「..なんだ、避けたのか。」


「狙ってたのかよ、俺のこと!」


「ギガンテス!」「うるせぇ化物!」


「巨人獣を蹴り一発で、中々やるな」


「褒めてる場合か!

チャラにならんぞそんな事しても」

かたや一振りで軍隊を鎮める剣豪、もうかたや一蹴りで召喚獣を吹き飛ばす暴君。おそろしいのは、この二人が街を護る為に肩を合わせていることだ。


「元凶はどれだ?」


「ここにはいまい、際立つ者は爪を隠すらしいからな。

..脳があるかはわからんが」


木の部隊が四つの柱を囲ったように、大概の世界は四隅を取れば勝ちを得る。オセロもしかり家もしかり、ならば街も国も同じ事。角を狙う駒がいる。


「ヒュー♪

派手にやってんじゃないの!」


「お次はなんだ?」


「..敵か、もしくは変質者だろうな」


ビルを椅子代わりに街並みを見渡し声を弾ませる。地獄絵図をパレードと捉える規格外のセンスを持つようだ。


「お前、何者だ?」


「名乗る必要があんのかよ?

..でもそうだな、知りたきゃいいぜ。名刺渡すから好きに拾えや!」

空を覆う無数のゴム玉が一斉に弾け、太陽の下にて大量のスコールを流す。


「なんだアリャ..雨?」

「理解は出来んが避けておけ。」


建物の木陰に隠れればやり過ごせない事もないが相当な範囲に及ぶ雨量を誇る。ただの雨でも難儀な事だ。


「ちゃんと浴びたか?

だったらいいぜ上出来だ、俺の催し雨カーニバル、好きに踊ってくんな!」

ビルの男が何度か指を大きく鳴らすと雨に濡れた人々は青白く光を上げ、鳥の金切り声の様な音に包まれる。


「..おい、何なんだよあれ」


「言うことは一つだ、離れろ!」


「うっひゃ〜大爆発!

これこれ、やっぱ世界はいいねぇ!」

爆破連鎖を繰り返し隅々までも破壊する。人々や建物がドミノ倒しのように崩れる様を見てケラケラと笑う男の顔には笑みが張り付いているが、確実に心は無い。悪事の具現化である。


「酷いもんだ、殆どやられちまった」


「あん、なんだよ燃え残りか?

何で濡れてねぇ、冷めるぜそんなん」


「濡れてないのに冷めるのか?」


「揚げ足とんなよ、どうせ刑事だろ。そんなつまんねぇ顔してるよ」

楽しい祭りに水を刺されて不満げな顔をしてはいるが前述の破壊への反省はまるで無し、寧ろ取りこぼしが見つかった事に腹を立てている。


「グル..」「なんだ、犬?」


「っはぁ!」「うおっ女が出てきた」


「お前、生きてたのか。」


「当たり前でしょ、漸く表に出たのに死んでたまるもんか。舐めてんの?」


「威勢がいいな、でないと犬の口になど隠れようとは思わぬか。」


「なんだその女、気持ち悪ぃ..!」


「誰が言ってんのよ?」「あん?」

男の背後に黒い影。頭部を刺激され、気付いた頃には地上へ真っ逆さまに向きを変えていた。

「てめぇ..召喚師か!?」


「ガーゴイル、ありがとう。

..まだ終わらない、ヌエヒヒ!」

地上スレスレの位置から、赤く大きな拳を振り上げる猿の群れに囲まれる。


「ぐおっ..なんだコイツ離れろこの、でかいクソ猿共が!」


「ヌエヒヒはじゃれるのが好きなのよ、存分に殴られなさい。」


「やめろ..離れろ、痛ぇな、おい!」


「あは、アハハハハ...アハハハ!」


「..恐ろしいな、あの女。」


「じゃなきゃ投獄されないだろ?」


犯罪が後を絶たないのは、継続的に誰かがそれを続けるからだ。出来なくなれば方法を探す、彼らは間違いを犯しながらも、地道な努力を続けている。


「....だから離れろって言ってんだろ」


「キキッ..」「ヌエヒヒ?」

近く見た青白い光がヒヒを包み跡形も無く爆散させた。心なしか以前より爆風が強い気がする。


「あんた、生き物を粗末にするよね」


「おれを舐めるからだ、バカにするのはおれの特権、他に奴には認めねぇ」


「ちっちゃい男だわ。」


「..うるせぇよ、クソ女!」


人を小馬鹿にする奴の大概は悪口を言われ慣れていない。己が言う事でスライドさせ、『言わせない』という環境を作り出しているからだ。少しの事で切れる人間は酷く打たれ弱く、脆い。


「原型留めなくなるまで爆破してやる二度と笑えねぇぞ、女ァ!」


「....そんな怒る?」


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 火の部隊、といってもエレメントごった煮エリアだが苦戦を強いられ悪戦苦闘しているが、木の櫓はいまだ健在どころか軌道に乗っている真っ只中でみこしを担いでいた。


「どうだ雑魚共!

お前たちが水を掛ける度こっちはでかくなり続けるんだよ、ざまぁみろ!」


「なんか前より..口悪くなってる。」

物理的な肥大だけでなく、態度にまで変化が起きている。


「なんかヤだな、この感じ。」


「仕方ない、木のエレメントは樹木の成長に応じて肥大化する。性質上大概が気分を大きく振る舞うように出来ているんだ。」


「ちゃんと理論あるんだ..より嫌だ」

太い幹と大きな態度を砕くには、燃え滾る対のエネルギーが必要となる。


「おらぁ!」「なんだ!?」

根の元を刺激する赤いエレメント、炎の暴君が侵攻を始めた。


「何あのパンク男、今時モヒカン?」


「こんな目立つ場所にでけぇ木立てやがって、邪魔くせぇぜデク共よぉ!」


「でかい木の木偶って同じ意味だよねあんまり頭良くないのかもねあの人」


「あん、何か言ったか?」


「ウソ聞こえてんの。」「たり前だ」

特大のフレアブレスが社の本体へ。全体を大きく揺らし安定性を崩したところに、追撃のフレアブレス。


「落ちろデク共!」


「崩れそうだけど、大丈夫?」


「仕方ないな、規模を縮めよう。」


「そんな事も出来るの?」

四隅を固めておけば形状は自在、高いや低いなどの調整に加え防御体制を整えたり、逆に攻撃性を高め、強力な一撃を与える事も可能である。


「フォレスト・ルーム形状変化、直接狙うぞ。タイプ・スティンガー!」

屋根となっていた先端に幹を集束させ長い槍とし、標的を穿つ。勿論的となるのは地上で騒ぐ大柄な炎人。


「甘めぇんだよ、ちっとな」

腰にさした斧に火を纏わせ大きく拡がった刃で四方を固めた櫓の脚を切断する。肥大化した樹木は安定性を完全に失い、槍は標準を大きく鈍らせる。


「くっ..やられた!

シフォン、足場を頼む。」


「はいなお師匠さん、いくアルよ!

ワッタワタ、綿の木!」


柔らかな木の葉が足場となり床を作る。木の部隊は隊長のダイルを筆頭に多種多様の植物を扱うボタニカル集団部隊員の一人シフォンは主に補助を賄い危険な場所の安全確保、光合成による回復の役割を担う。


「ふぅ..なんとか助かった。」


「当然アルよ、わたしシフォンよ?」


「ご存知みたいに言わないで..。」

ライムにとっては全てが初見、愛想の悪さは不慣れな証拠だ。


「やっと降りてきやがったか、デク」


「それそんなに刺さらないよ?

悪口のつもりかも知れないけど。」


「あぁん!?

てめぇ誰だよ、サツじゃねぇよな。」


「その子は学生だ、私が招集した」


「隊長が直々にかよ、面白ぇ。」


「あぁ、だがお前が触れる事は無い。

私の分身が相手だ!」


「..ちっ、またデクかよダリィな。」


地中に根を張り人形や建物を作り戦うこれが木のエレメントの基本スタイルだ。余り自力で動かないところを見ると、召喚師に近いとも言える。


「ソード・スティング・シールド。」


「形変えても同じだボケ!

デクはデク、ただの木の皮だろが!」


剣の人形は堂々と真っ向から斬りかかる。充分素手で受け止める事が可能だが木の戦い方の厄介は、タイミングを見計らい、自発的にいつでも形状を変えられるという事だ。


「わざわざオノを振らせんなよ!」


「勝手に警戒しているのはそっちだ」


「あぁん!?」「図星か?」

集中を解くと警戒も薄れる。火のエレメントを持つ者との戦い方は熟知している。少しだけ動きを鈍らせれば、ボロは直ぐにでも取り出せる。


「シールド全身、押し当てろ」


「....うざってぇんだよ!」


「デクには腕を振るえ、声は届かん」

言うならば応えると火を纏わせた斧で盾をかち割ると、破られた盾の隙間から槍の先が顔を出す。


「おい!」「だから腕を振るえ。」

斧の大きな振る舞いでは反撃がままならず槍の的として、身体を預けるに至った。木の力といえど槍の突き、痛みを伴わない筈がない。


「てんめぇ...!」


「さっきから口数が多いな、余程腕に自信がないみたいだ。」


「ふざけてんじゃねぇぞ!!」


「手を舐めた、汚っ。」

舌で手を舐め構えると、掌から火炎が放射される。唾液をエレメントにより炎に変えたのだ。大構造と火の応用はエレメントと身体が密接に結合していないと出来ない高等な技術。


「ぶらあっ!」「木人形が!」


「心配するな、こうなれば人海戦術だシフォン、ハブラナ、ゴルミー!」


「ハイな!」「あいよ〜。」「ふう」


消滅した木人形もくにんぎょうの隙間を埋めるのは木の部隊の三竦み。


「ワッタワタ〜!」


「んでもってツッタツタ〜っと。」


「光を喰ってヒエトリソウ..」


ツタの葉により身体を拘束、綿草で上から全体を包み、日取草を咲かせる。


「ヒエトリソウは太陽の光を食べるって変わった草でね、ゲップをするんだけどそれが太陽光そのものだから物凄い熱いわけ、水は周りがくれるし...」


「あーもう説明長い、いくアルよ!」


「直ぐに終わるよ、そ〜直ぐに。」


「離せ!

燃やしちまうぞ!離れろクソデク!」


「思った通りだ。」「あぁん?」


「お前の火は随分と燃費が悪いんだな

使った分だけチャージが必要。」


「そういうもんなんだよ、火は!」

火のエレメントは放出量が他のエレメントと比べて多い為、調節して使わなければ直ぐに枯渇し火力を落とす。だからこそ皆刀や武器に媒介し使用する。直火など以ての外だ。


「そうなのか、だから普通なら焼き切れそうなその植物も燃やせない。」


「だったらなんだ!」


「終わりだろうな、それならば。」


「はい皆離れて〜。」

ヒエトリソウは寿命が短く、その死因の殆どは自らのゲップの影響である。眩い光の灼熱により、身を焦がして灰になる。そんな簡素な生涯を送る。


「ハイ終ーわりヨロシ!」


「片付け無いからラクだよねー。」


「また一つ命が減った、いや二つか」

斧の燃え残りが骨のように散らばって終焉を物語る。エレメントが傷付けば本人も機能を停止する、しかし完全に消滅したとき、一体持ち主はどうなるのだろうか。


「あいつ何処いったんだ?」


「消し炭だろうな、あれじゃどうやったって生きちゃいないだろ。」


目には目をという言葉を聞いた事がある。しかしそれは同じ性質同士で撃ち合いをすれば同時に打ち消し合い無くなるという意味だ。今回のそれはまるで違う、炎と植物、本来相性は非常に悪く上下の関係にある両者によって起きた消滅。目に点眼薬を入れたら、目を痛めたという現象に近い。


「副作用とかは無いワケ?」


「何の話をしてるんだ嬢ちゃん、どう見たって完全にアイツは死んでる。」


「誰が死んだって?」


「おじさん、後ろ!」「なっ..⁉︎」


「邪魔だデクじじい。」

火達磨の右腕が炎上をもたらす。理性を保ったまま太陽光を従え、エレメントに帰属させた。消滅を防ぎ順応したハイブリッド体になり得たのだ。


「邪魔だっていってんだ!」


「ちっ..ソード・ドール」「どけ!」

手を振り上げた風圧のみで人形を燃やし尽くす威力を誇る。最早木の部隊では手も足も出せない天敵となった。


「嬢ちゃん離れろ!

シフォン、ハブラナ、ゴルミーはこっちのケアとサポートを頼む。」


「ハイな!」「りょ〜。」「あーあ」


「まだ勝つ気でいんのかテメェら?」


本来魔法部隊の目的は平和をもたらし人々を救う事、彼らの行っている事は現在、町の守護ではなく人の護衛、逃しさえすれば死もいとわない。


「走れ嬢ちゃん!」「..はい!」

とは言っても周囲は敵の山、常に蔓延る水の魔人は木のエレメントに影響を及ぼす。かといって立ち止まる選択肢は取れず必死に掻き分け足を動かす。


「何処いくつもりだ、テメェ?」


「え..」「瞬間移動か!」


「光の速さってこんなスゲェんだな、お前体現した事あるか?」


「あ、あ..!」


「なんだよ、そんなに熱ちぃか?

オレは慣れたぜ、とっくの前によ!」

判断を誤った。

護衛をするなら逃げた先にも、守りを固めるべきだった。墓穴すら掘れない


「死ね」「嘘でしょ..⁉︎」

死に際の事を考えてみたことがあった

どうやって命を終えるのか、どう死ぬのかと。残酷ではあるがやはり最後は静かにゆっくり鎮まりたいと願った。


「炎に焼かれるなんて嫌..。」


「ハッハッハー!くたばれ女!」


魔力が小さい人間が魔術を使うとき、方法が二つある。法外な人体実験により力を宿すか、もう一つは...。


「....あぁん、何だこれ。ガラスか?」

拳の炎が湯気を上げ浄化している。表面に水分が付着したようだ。


「おい、そいつからはなれろ化物。」


「あぁ⁉︎ 何モンだテメェ?」


「..何でここにいんのさ。」


「起きたら〝部屋〟の鍵が開いてて、少し痩せたライムちゃん?」


「話しかけないでよ

兄さんの仇のくせしてさ。」


「ごめん、やっぱり嫌われるよね」

いつかの敵は今日味方ヅラ。兄を殺めたその腕が、今や護る為に向けられている。色違いの瓶を携え


「犯罪者か、ならオレと合いそうだ」


「悪いけどゴメンだよ。見境無く殺すのと訳が違う。」


「格好付けるなって、同じだから」


「あぁ、そうだ。

オレは見境ねぇ、だから死ねや!」


「妖精の瓶・蒼」

妖精シリーズ珠玉の小道具、青色は水の力。手軽に水攻撃を放てる一品。


「効かねぇ効かねぇそんなもんは!」


「ダメか..。」「嘘、終わり?」

小道具は所詮小道具。一端の魔術には到底及ばない、一端の小道具ならば..


「...ん?」「ビンゴ。」


「何だこれ、身体が動かねぇ!」


「あんた何したの?」「小細工さ。」

瓶に仕込んでおいた凝固剤が水として流れ身体に馴染むと、エネルギーとは別の薬品である効果を物理的に与える。


「ダメージは少ないけど拘束は出来た

あとは力強い人達に任せるよ。」


「でかした青年!」


「褒めてるけど兄の仇よ?」

水によって表面が溶岩のようにドロドロと溶け、凝固したまま地面に接触している為岩のように張り付いている。


「くそったれが!

何だこれ、うざってぇんだよ!」


「静かにしててくれ、留め刺すから」


「留めだぁ!?

デクがオレに何できるって...おい。」


「悪いな、でかい拳で殴る事くらいだ

なぁ大木人。砕ける程やってやれ」


以前の建物より三倍近く大きな木人が右の拳を振りかぶり降ろしている。それはさながら隕石の如し光景である。


「アハハハハ!やるじゃねぇか!

でかくて取り柄があるのは最高だな!

オレを倒す為の木なんて良い気分だ」


「良くしゃべるなあんた。

木人とは似ても似つかないだろう」

打ち当てた拳と腕を残しあとの身体をボロボロに鎖落とす。水や栄養を与えずに急速な成長を遂げた木の幹はエネルギーが行き届かず直ぐに崩壊するそれを見越して初めから、一撃を与える右腕のみに力を絞った。


「......」


「漸く黙ったか。」「ムッゴ何これ」


「さて、後は周りのコイツらだけど」

木を育てる際は良質な栄養源だが、戦うとなると骨が折れる。


「..アァ...」「何?」「まさか..。」


「アアアアアァッ!!!」「マジで」

紅く太い火柱にひび割れ避ける木の拳が呑まれるように焼き尽くされる。


「まだ生きてるアルか!」


「しぶといね〜。」


「..いや、死んでるよ。でも身体は動いてる。太陽に照らされて。」

火のエレメントを完全に砕かれ、纏った太陽の光が男を炎の化身に変えた。

全身を赤く燃やしたその姿は、憤怒の鬼、もしくは悪魔のようにも見える。


「何か策はあるか、隊長さん?」


「..正直言うとヤバすぎる。あれは人じゃない、太陽そのものだからな。」

空に拘束されている太陽が地上に降りてきた。それはすなわち、注ぐ光の量に隔たりが生まれるという事だ。


「アアアァァッ!!」「来るぞ!」

地面を伝う連続の火柱は根本深く鉱物を溶かし熱波を放ち侵攻する。


「避けろライムちゃん!」


「指図するなわかってるよ!」

一撃でも受ければ灰も残らない。蠢く太陽は多様な動きを見せ、今度は口から炎の息吹を放出しようとしている。


「あれ避けきれんの⁉︎」


「範囲にもよるだろうが、普通に考えて控えめに絞る筈が無い。」


「それ逃げ場無いって事だよね?」


「アァッ!」


閻魔の息吹が災いを投げ掛ける。生きるのを止め、死の準備を施すべきだと肩を落としたその時、突如悪魔の動きが停止する。


「……何が起きた?」


「拘束完了っと、てか何アレ?」


流浪に流浪を重ね辿り付いた先は腐り果てた樹木と燃えたぎる悪魔の巣窟。初見で参るは杖の魔術師、魔女講師


「バイラルちゃん参上♪」


「そんなキャラだったっけ、アンタ」


「....キャピついたら違和感感じるの、やっぱあんまり向いてないみたいね」

魔女っ子がウケると聞き道中に試行錯誤を重ね最良のポーズ声色で決め文句を披露すれば不発の極み、やはり可愛いは人を選ぶようだ。


「放っといていいのか?

いくら雷の拘束具だといっても限界がある、特にあんな狂人じゃあな。」


「..誰この人?」

「それ犯罪者、兄さん殺した」


「あ、そうなの。激ヤバじゃない。」


「アアアァッ!」


「もっとヤバいのいるけど」「だね」

 旅館の湯を介してもこの程度の仲だ、水入らずなど幻想だ。しかしそんな事を気にしていては太陽に呑まれる。バイラルは一旦それを隅に置き、攻撃魔術を放つ事にした。


「マリン・シャワー」

水のスコールを頭上へ振らす。


「追撃のライトニング!」

いわずもがな雷の範囲形魔撃。

水気を募らせ雷を与える事で増力を狙った蓮撃的魔術作法。


「蓄電してきた?

なら水の風船で包みましょ、炎と擦って火花を上げて、火と雷は好相性♪」


「また無理してるあいつ。」

雷の帯電、纏う炎との摩擦により異常が発生する。それを水の膜で隠し隔離する事で逃げ場を塞ぎ、周囲のみに範囲を絞れば悪魔の身体は一人でに焼き切れ連鎖的な爆発を起こす。


「無茶苦茶だけど科学じゃないから、そういうトコが魔術ってスゴイよね」


「ア、アアァァッ..!!」


水風船が割れるとき、太陽は沈み空へ還る。その後上がる光は果たして、前と同じように平等に人々を照らし続けてくれるだろうか?


「悪魔を払って一網打尽!

マジックウィザードバイラル、今日も平和をお守りいたしますのだっ♪」


「...それはヤバいよ」「やっぱり?」


魔女の加減が上手く掴めない現役杖魔術師のウィザードバイラルだった。


➖➖➖➖➖➖


 街で活動するのは魔力を保持するものばかりでは無い。人間の力のみで人を護る危険を強いられる者もいる。


「うっわ怖!

こんな環境で良く無事だった人がいるよ、皆さんお怪我はありませんか?」

奇跡的に魔力を受け取らず平常を保つ事のできた街人を掻き集め、保護をしながら周囲を警戒する若い刑事は魔力を持たず、なけなしの拳銃を構え備え続けるしかなかった。


「すみませんこんな場所で..。随分と皆さんを走らせてしまいましたけど、偶然こんな広い倉庫があったから良かったです。ここで先輩が来るまで待ちましょう!きっと来ますから!」


「あなたが助けてよ。」


「え〜無理っスよ〜!

だって普通の人間っスもん。先輩も普通だけどあの人は超人だから、もうゴリラっスよあの人マジで!!」


「はぁ..大丈夫かしら。」

危機感はあるようだが緊張感が無い。気が休まらないのは殆どこの男のせいだ。心から身を預けられない。


「外静かっスね..平和が訪れたかな?な訳ないか〜、虫が良すぎっスね!」


「いい加減にしてくれないか!」


「うおっ、どうしたんスか⁉︎」

ヘラヘラとした若者を長く生きた老舗の人間は頑なに許す事が出来ない。


「私たちは気を急いでいるんだよ!

いつどうなるかわからないこの状況で不安で仕方ないんだ。君は人を護る立場だろ、真面目にやったらどうだ⁉︎」


 〝最近の若者は〟と肩を落としたい気持ちもわかる。利害の不一致だ、最早どちらが正しいかそれもわからないもしかすると、正しさの概念など既に無くなっているのかもしれない。


「..気を急いでいるのなら、紛らわす方向に身を置きましょう。どうせそんな感覚で物を考えても無駄でしょう?

皆安定の為にこうしてるんです、少しばかりふざけた方が気は紛れます。」

思考力は誰よりも、脳裏をグルグルと駆け回っている。刑事のカンと言えば聞こえはいいが、単純な本能。蠢く理性が脳を刺激し動かしているのだ。


「イライラするのもわかるっスけど、我慢して下さいよ。僕が様子を見て来るっス、絶対ここを動かないように」

拳銃に弾を込め、様子を伺い倉庫の入り口を開く。


「では、行って来るっス!」


「若いの。」「はい?」


「気をつけていけ」「...はいっス!」

堅物な老人から忠告を受け、おそるおそる周囲を警戒しつつ歩みを進める。


「いやぁ〜決まったっス〜..。

一度言ってみたかったんスよねああいうの、カッコよかったよな〜今の。」


刑事になる要因として色々なものがある。


幼い頃警官に憧れを抱いた者、上司の姿に惚れ精進していく者。その中でこの男エイジ・ブラームスは確実にドラマで憧れを見出した例だ学生の頃見た

『ポリス・オブ・フィジカル』。体を鍛え、体力と本能だけで事件を解決していくパワーポリスストーリーは青年の心を鷲掴みにした。視聴率はゴールデン21時台で異例の3.5%という偉業を成し遂げたが、彼にとっては替えのきかない特別な存在だった。


「今日もボディが真実だった!

フィジカルの決めゼリフはいつ聞いても色あせないよね〜。...それよりも」

英雄の言葉に惚れ惚れしながら歩いていると、不自然な違和感に気付く。


「なんでこんなに人がいないんだ?

ここ、水族館..て事は客もいっぱいいた筈だよな、どこに消えたんだろ。」


流石にボディでは解決出来ない異業の謎だが水族館を散策し進んでいくと多数の人々を雷で縛り上げる部隊の集団を見つけた。拘束された人間は明らかに理性が無く、獣のように血走った目をしている。それを見る限りで何となく理解をする事が出来た。嘘は無いやはりボディは真実なのだ。


「何者だ?」


「あ、えっと..刑事のエイジ・ブラームスです。近くの倉庫で人を保護してるっス、力貸してくれないっスかね」


「..本当に刑事か?」


「いやいや刑事っスよ!

ほら手帳に拳銃、スーツにネクタイまで付いてるんスから、ね?」


「後半別に関係ないよね。」「スね」

敵意は無い、かといって刑事の威厳は無い。だが疑う理由も特に無いので、晒したアホ面を信じ、保護に協力しようと意思を決定する。


「行こう、直ぐに行こう、ここ安全だし多分。で、中で少し休もう」


「イイんスか!?

やった〜マジ助かるっスよ皆さん!」


「いやね、こっちもヒマだったのよ〜

水の連中が勝手な事するもんだからさ参っちゃうよね〜困る困る。」


「わかるっスよその気持ち、僕も先輩に仕事おしつけられてしんどかったっス、『ボディが真実』でなんとか頑張ったっスけどヘトヘトっスもん。」


「………それフィジカル刑事?」


「そうっス!わかるっスか!?」


「わかる〜、俺みてたもんさ〜!」


「いいっスよね!?

最高っスよねフィジカル刑事!!」


「偉い気が合いますよねお二人..。」

ボディの真実が、二人を繋ぎ合わせた

乱戦の世に平和が一つささやかに。


➖➖➖➖➖➖


 舞台は荒れ狂う街、演者は雷の英雄と海の守護者。豪雨の滝とさんざめく雷鳴の唸り、牙を立て爪を立て、血肉をみて、残るのは骨か魂か....


「うるさいんだけど、黙ってて。」


「駄目よマルミ、あの人ああやって派手に目立ってないと不安で死んでしまうのよ。成金のウサギみたいなの」


砕けたビルの上から姉妹を見下ろし狂言を廻す。そうする事でショーを円滑に進めたいらしい。


「おやおやミロク、いつ転職したんだ

姉妹で顔を拝むとは物珍しい。

だが周りを見てみろ、隊は全滅。周囲の雑魚魔人を一蹴したそうだが、倒れていては無意味だ、そうだろ?」


「話が長い、短くして。」


「無理だよマルミ、あいつは敢えて言葉を長くする事で凄まじいことを話してる感じにして高尚かつ感覚の違う人間みたいに見せたいだけなんだから」


「随分な物言いをしてくれる。」


「ほらあれもそうだよ、普段は物静かなタイプなんだよきっと。」


「あ〜憑依型ってやつ?」


「うん、でも自然と憑依させる事が出来てしまうならいいけどあの人の場合意識してしてるって感じだから、それとはまた違うと思う。」


「いや、別にそういうんじゃない」


「必死なんだね」「ギリギリだよ。」


「必死とかいうな!

ギリギリとかでも無いからホント!」

高飛車な彼は本当は凄く傷付きやすくプライドの高さも不安からくるもの。彼女たちはそれを理解し受け入れる、心の優しい天使なのかもしれません。


「そうか、君達は死にたいんだな?

なら直ぐに楽にしてやろう。」

指先に雷を溜める、雷も応用すれば傷を与える大きな刀になる。


「食らえ、ボルテック・カッター!」


「阿吽の水龍・阿魏」「え?」


「阿吽の水龍・吽魏」「嘘だろ?」


二対の首を伸ばす阿魏あぎょう吽魏うんぎょうが絡まり重なり合い一対の阿吽となりて制裁を下す。


「飼育員のときは魔術を制限されて限定的にか使えないけど、普段ならこのくらいはできるのよね。」


「まぁ阿吽の水の魔術は二人いないと出来ないから、こういうときしか使いどき無いんだけどね!」


「....え、嘘、俺これで終わり?」


「みたいね」「じゃねー。」「うぶ」

実力を見誤り、己に過信をし過ぎた結果の悪化ない幕引きだ。敗因は客観性と、単純な魔力の大きさであろう。


世の中は浮き沈みが激しく、悲劇は連鎖を生むが、生じるときは、幸運も連続して起こる。戦においても同じ事。勝利は、次々とツキを生む。


「がはぁっ..!」


「観念しろ。」「もう動けないだろ」

首元に刀と脚を同時に突き立て、暴力という名の説得を終えたところだ。


「刑事の癖に踏みつけか?

嫌なマネすんなよな、正義語ってよ」


「もう俺は語り尽くした。後はお前が言う番だ、黒幕はどこにいる?」


「話すと思うのか、馬鹿だなテメェ」


「いや、おまえは話す。

己の命以上の重みを知らんからな」


「..あぁ、その通りだぜ。

だから聞いたんだ、わかるだろ?」

踏みつける脚が浮かび上がる。身体が膨らみ脚が踏みつけた元の位置を保てなくなっているのだ。


「こやつ..自爆する気か」


「離れろ!」「遅せぇよ!」

確実に呑まれる。そう理解したエビスは途中で足を止め、逃げるのをやめる


「おい、何してる⁉︎」


「お前は距離を取れ、二人は庇えるかわからん。手は一旦打つ。」


「何だというのだ..!」


「じゃあ何猿共道連れだ、ウキー!」

拡がる爆風。津波のように押し寄せ、逃げ場など乏しいもの。潔く死んでくれと言っているようなものだ。


「炎剣・陽炎...!」

爆風が刃に触れたとき、刀を十字に振り上げる。爆風は四方に断たれ、近くのビルや木々を破壊した。


「あいつ、爆破を斬ったのか...?」

「容易い事だ、少し焦ったがな。」


➖➖➖➖➖➖


 某研究室

「……ふん、こんなものか。」


「やはり帰ってきましたか」


「待ち伏せしてたのか、周到だな。」

白髪の下の濁った瞳をより汚らわしく歪ませてぐにゃりと微笑む。


「犯人は必ず現場へ帰ってくる、貴方が犯人ですよねアオイさん。」


「憶測でモノを言うのが好きみたいだな、勝手に知られるのも迷惑な話だな干渉が好きなのか小僧?」


「好きなのは僕ではありませんよ、教えてくださったのはこの方です。」


「....アオイ。」「キュレフか」


かつての旧友、研究室の友。

以前から法外に近い実験や犠牲を産み危険な実験を繰り返していた。犬を飼っていたのは可愛がりたい訳では無く薬を投与して経過を観察したかったから。結果的に投与し過ぎてしまい死を迎えてしまった。


「もう逃げ場はありませんよ。さぁ、魔王を倒しに向かいましょう」

アイテムはいらない、魔力もいらない

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