美味しいキスはワインの前に
ざわみざわざわわ
第1話 魔女とキスを
魔女。
人々は彼女のことをそう呼んだ。
なぜそう呼ばれているか、理由は定かではない。
若い女の血を飲んでいる。なんて、よくわからない噂まであった。
そんな彼女が今、私の目の前にいる。
我が家のベランダでワインをあおりながら、静かに空を見上げている。
「どうかなさいましたか?」
そう問いかけても答えはない。
沈黙が続く。生憎私はこれ以上彼女にかける言葉を持ち合わせていなかった。
しかし彼女はそんなことなんともおもっていなかったかのように
「今日はいい日ね。泣けてくるほどにいい日ね。」
ワインを飲み干し独り言のようにつぶやいた。
あの時彼女は何を思ったのだろうか。私にはわからない。
わからないが、あの時の彼女はこの世の誰よりも美しかった。
惚けてるいると彼女は、
「帰るわ。またね坊や。」
と私にキスしベランダから飛ぶように去ってしまった
キスは少し苦くて渋い味がした。
これはとある魔女に恋をした私の魔女との別れの物語である。
美味しいキスはワインの前に ざわみざわざわわ @aoharu0704
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。美味しいキスはワインの前にの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます