第8話 家庭不和見た!

「そっちの状況は?」


「もぉ聴いてよ! 小島さん学校を拠点にしようって聞かなくて無理矢理決めちゃったんだよ、他にも無茶な指示を出してばっかりで何も進んでないの」


「相変わらずだな、こんな時でも自分から動かないのか」


「みんなから不満がすごいんだよ、誰もあんな人についていかないよ」


「小島さんにも考えがあるんだろうけど、そうなるよなぁ」


「耕助の第二チームは何か見つけられたの?」


「マネージャーは見つからないけど、今俺達がいるこの場所の事は少しずつ理解できてきてる」


「さすが第二チーム、私も第二チームがよかったなぁ」


「そうだね、それなら一緒にいれたのにな」


「そしたら私達のことすぐバレちゃうかもね」



おいおいおいおい……

上田と金子がなんかイチャイチャしてるぞ……


こんなところでなにやってるんだよ、誰かに見られてたらとか考えないのか?


っていうか何より、2人とも既婚者だろ!

金子はいつも家族のことばかり話ししてるし、上田だって机に家族との写真を飾ったり割と仲良く家族と過ごしてる話をしてたはずなのに……



2人はしばらくの間小鳥のようについばみあって、また会話を始めだした。


「ねえ、耕助はどんなスキルなの?」


「俺? 知能スキルだったかな」


「プッ……えぇ〜耕助が知能スキル? 全然らしくないよ超意外」


「笑うなよ、愛の筋力スキルだってらしくないだろ」


「筋力じゃなくて走力! もぉ、本当に知能スキル?」


「あそっか、似たようなのが多くて覚えきれないな」


「第二チームの他の人はどんなスキルだったの?」


「うちは竹内さんが走力って言ってたな、あとは沖田ちゃんが筋力で丹澤さんが感知力だったかな」


「へぇ、竹内さん私と一緒なんだ、足早くても何の役にも立たないよね、外れだぁ……」


「そう? 竹内さんは気に入ってるみたいだったけどなぁ、で、愛の方のチームのスキルってどうだったの?」


「あの人はポジティブだからなんでも喜ぶのよ、うちのチームはね、小島さんが防御で、杉原さんが視力、(菅原)繭ちゃんが読心術で、山田さんが炎だったかな」


「あれ、他にも黒沢さんと、それに一緒に中村さんも行ったんだよね?」


「あの2人はダメ……聞いても答えてくれなかったの舞ちゃんはとにかく、黒沢さんも可愛げがなくてつまらないよね」


なんかすごいな、こんな情報をこっそり手に入れられるなんて思わなかった。

上田も金子も俺が覗き見てるなんてまさか思ってないんだろうな。


ククク……金子風に言ったら俺のは大当たりスキルだろうな。


「第一チームは今頃なにやってるんだろうな」


「あそこはダメでしょ、みんないつも下向いてて暗いし……」


…………、うちのチーム金子からの評価低いなぁ……


「そんなことないよ、箕輪ちゃんとか結構いい奴だよ」


おっ、上田に褒められるなんて、いいぞいいぞもっと褒めてくれぇ!


「ええぇ、あの人一番気持ち悪いでしょ……話しかけ辛いし、一番苦手」


…………金子…………こいつとはとことん合わないな……クソっ!



まぁそれでも面白い情報が聞けた、第二チームと品質評価チームの大体のスキルをこれで知ることができた。


読心術とか面白そうだな、あと炎ってすごそうだ、寺田の氷結ってスキルもだけど、中には当たりっぽいスキルを持ってるやつがチラホラいるんだな。


おや、金子の顔がちょっと真顔になった。


「ねえ、2人でここから逃げれないかな」


それを受けて上田も襟を正して向き合った。


「逃げるのは無理だ、ここは見えない壁で隔離されてい武蔵丸子から離れると止められてしまう」


「そっかぁだから公園の先にも進めなかったんだ、でもさ耕助も殺し合いなんてしたくないでしょ? 一緒にどこかに逃げようよ」


「そうしたいんだけどエリアもそんなに広くないし、誰かにバレるのもまずいだろ?」


「こんな状態なんだしもうバレちゃってもいいんじゃない?」


金子の発言を聞いて、上田の顔がこわばった。


「それは……それはまずいよ」


「なんで? 私は耕助と一緒なら家族なんて捨ててもいいよ」


上田の表情がますますこわばる。


「そんなこと言ったらまずいでしょ……子供だっているし……」


「いいの! 耕助と一緒にいれたら葵だっていらない!」


やべぇ、なんかドロドロしてきた……

金子ってこんな奴だったのか、家族を大事にしてるサッパリした性格の人だと思ってたのに。


それにしても上田ってモテるんだなぁ……

奥さんも子供もいるのになんで別に女作ってるんだよ、しかもよりによって金子だなんて。



その後も金子の狂信的な要求に上田はしどろもどろになっていた、その姿に金子は徐々に苛立ち、雰囲気は険悪になってきていた。



「もういい! 耕助のバカ! 私のことなんて何もわかってくれてないんだから」


そういうと、金子は上田に背を向けた。


あーぁ、金子が拗ねちゃったよ、悪い男だねぇ耕助くん。

ククク……モテる男なんてみんな不幸になってしまえばいいんだ。



あっ! 上田が背を向ける金子を抱きしめる。


「愛のことが一番大切に決まってるだろ! でも今は待ってくれ、かならず愛だけを幸せにするから、俺には愛しかいないんだ」


かぁぁぁ! そうきたか耕助くん!

ドラマだ、こりゃドラマを見てるような気分だ。


ただキザ過ぎて今時そんなセリフじゃ誰もなびかないだろぉ……


「耕助……好き……」



…………クソっ!…………クソクソクソっ!!!

茶番だこんなもん!

2人とも爆発してしまえ!




って……あれ?

2人の奥に人影がないか?



上田も金子も気が付いてなさそうだが、人影は2人に近づいていく。



黒沢? 品質評価チームの黒沢だ。


近付くこの女に2人も気が付き慌てて抱きつく手を離した。



「フフフフ、みぃちゃった……」


黒沢が嬉しそうに笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る